作品紹介
あらすじ:鴉の濡れ羽島で起こった密室殺人事件から二週間。京都、私立鹿鳴館大学。「ぼく」こと”戯言遣いいーちゃん”が級友・葵井巫女子とその仲間たちと送る日常は、古都を震撼させる連続殺人鬼”人間失格・零崎人識”との出会いによって揺らめき脆く崩れ去っていく——。そして待ち受ける急転直下の衝撃。一つの世界が壊れる”そのとき”を描ききった新青春エンタの傑作!(本書裏表紙より)
キャラ :★★★★★
ストーリー:★★★☆☆
結 末 :★★★★☆
総 合 :★★★★☆
戯言シリーズ第2弾!前作が素晴らしかったので大きな期待とともに読み始めました。登場人物紹介を見てみたところ、前作からの継続のキャラは「ぼく」と玖渚と哀川のみ。なんだかがっかりしながらも、その2人の活躍に期待しよう!と思って読みすすめていくと、玖渚は最後しか出てこず、哀川は大した役どころをせず、実質主人公以外全員新登場みたいなものでした。ではキャラの面では期待できないのか…?
まぁそんなことはぜんぜんなく、読んでいる方を面白くさせてくれます。歪んだ価値観を持っている主人公の「ぼく」はもとより、その「ぼく」に寄ってくる女の子の葵井巫女子が面白い!妙な比喩が笑えて…しばらくの間比喩にはまってしまいました。他にも『人間失格』零崎人識。強烈なキャラクターを持っていて、「ぼく」に似ているというのも頷けます。殺人鬼の癖にどこかいい奴で、彼と付き合った「ぼく」の気持ちもわかります。これからもっと活躍をして欲しいところです。あとは巫女子ちゃんの友達でいずれ「ぼく」の友達になっていく3人組もなかなか。第一被害者の知恵ちゃんが、まぁ言ってしまえばどこにでもいそうな感じではあるんですが話を引き出す為にいい役割を果たしています。知恵・むいみ・巫女子の「良い子悪い子普通の子」は結構笑えました。
ストーリーは、京都で連続殺人事件が発生し、それとは別に主人公の友達が殺されるというもの。全く別の事件のはずなのになぜか「ぼく」は両方に関係していて、全く別の交友関係を持ちます。言うならば巫女子ちゃん達が「陽」ならば零崎は「陰」といった感じ。「ぼく」はそれぞれに複雑な想いを抱くものの結局はいつも通り振り回される…かと思いきや、零崎の方では「自分」を主張し、本来のものを出せているような感じがします。そして零崎は着々を殺人を進めていく中、「ぼく」はまがいなりにも巫女子ちゃんたちと友情らしきものを続ける…が。「ぼく」と巫女子ちゃんのやり取りが妙にはまっていて面白いです。特に悪いところは見つからなかったのですが、やっぱり文章が…これからに期待です。
結末は、犯人は普通に分かったのですが、さすがにその後は予想できませんでした。「戯言遣い」っぽくない積極的な「ぼく」には驚きましたが、それでも悲しげな胸中を考えると切ない話だったのか、と認識を改めさせられます。そしてあの4人の友情とはなんだったのか…前回のどんでん返しは前提を覆すものでしたが、今回のは雰囲気を覆す、と言った感じです。ただミステリーとして読むよりは学園ものとして読んだ方がよくなるかも…
結論:面白いです。結末の役割から考えると前作が「すごい」だとすると今作は「面白い」です。これほどの読んでいてひきつけられるような魅力はそうそうないでしょう。結構お勧めできます。
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