作品紹介

あらすじ:絶海の孤島に隠れ棲む財閥礼状が”科学・絵画・料理・占術・工学”、五人の「天才」女性を招待した瞬間、”孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする!工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友(♀)とその冴えない友人、「戯言遣い」いーちゃん(♂)は、「天才」の凶行を”証明終了(QED)”できるのか?新青春エンタの傑作、ここに誕生!第23回メフィスト賞受賞作。(本書裏表紙より)

 キャラ :★★★★★
ストーリー:★★★★☆
 結 末 :★★★★★
 総 合 :★★★★★

 以前からよく、「西尾維新」という名前は聞いたことがあって、なかなかの好評判だったのですが、どうしても買う気になれなかったのが表紙。どうしてもアニメっぽい絵が受け付けなくて><ただまぁ勇気を振り絞って(大袈裟)読んでみると…

 まずキャラ。完璧と言ってよいほど完成度は高いです!5人の天才と5人の屋敷関係者そして2人の凡人、計12人が屋敷で繰り広げる話なのですが、そのうち2人の凡人を除いた全員が女性、と言う一風変わった話。それぞれ1人1人しっかりとしたキャラが作られており、無駄と思えるような人は誰一人としていません。主人公にしてもまわりのキャラにしても感情移入できる場面が多く、よく読者の心情を理解していると思います。キャラに関して私的にはナンバー1の評価をつけたいです。

 次にストーリーですが、こちらも素晴らしい!主人公である「ぼく」が語り部として一人称で展開していくのですが、普通の小説とは違って笑える要素満載です。語り部が歪んでいる為に普通とは違った視点で見ているのもまた◎。鋭い突込みなどもこの作品の見所です。ストーリーに関しては★5つつけてもよいのですが、やっぱり文章が読みにくい…あと、「結局戯言なんだよな…」の一言は、言いたい事はわかるのですが少し言い過ぎ。途中からうざったく感じるかもしれません。

 ここまできたら期待を裏切らないで欲しい結末、これまたすごい。途中から予想できるところはあって、大方の線は予測できます。しかしその裏には大きな罠が!例えていうなら80だと思っていた答えが100だとわかって、惜しかったな、なんていうことを考えていると実は本当の答えは−100だった、といった感じです。ここまでくると芸術といって過言ではありません。大方の線が予想できたのも実は最後のどんでん返しのための布石だったのか?と思ってしまうほど。それと、事件には関係のないところで哀川に関しても「やられた!」という感じでした。これに関しては何にも言っていないのに勝手な先入観を持ってしまったが為に起こったことなのですが。こちらは引っかからない人も多いかもしれません。それやこれやでもう文句の付け所がありません!

結論:自信を持ってお勧めします!全てにおいて完璧、唯一足りない文章力にしてもこれから伸びる余地が十分にある分野なので期待がもてます。そして題名が暗示している結末、全ての面でよく練り上げられています。ERシステムとか玖渚の兄とか2人の過去とか…そういう不明な要素が明かされていくかもしれない、そういう意味でもこれからに期待が持てる作品です。


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