作品紹介

著者:高里椎奈
あらすじ:大音響を轟かせ、きらめきとともに落下した巨大なシャンデリアは、二人の人間を押しつぶした。だが、事はそれだけではすまなかった。空っぽになってしまった高い天井——そこに、奇怪な物が吊られていたのだ。だぶだぶの服をつけ、真っ白な化粧をした道化師の死体が…。おなじみ薬屋三人組、今回の請負仕事は大変だ!?(本書裏表紙より)
 
キャラ :★★★☆☆
ストーリー:★★☆☆☆
 結 末 :★★★☆☆
 総 合 :★★★☆☆

 今回、薬屋シリーズの売り物であるキャラクターには少々落胆の色が隠せません。というのも、今回無駄に多く出てきたマッケンマイヤーの客人である外人達。いくら捨てキャラで、今後出す予定がないからといって少し印象弱すぎです。座木と一緒にいて、今回の重要人物であったメアリも、特に取り立てて登場させる必要があったか、と問うと些か疑問に感じます。また、『登場人物紹介』での不必要なまでの長さも印象が悪い。そういう点ではキャラを★2つ、にしてもいいのですが、後半出番が多くなる胭李に恐ろしいほどはまりました。彼のエピソードだけでも読みたいもの

 ストーリーはというと…何と言えばいいのかなぁ。話自体におかしいところはないし、トリックも中々よくできている。けど、悪く言えば「それだけ」なんですよね。正直な話、推理は半分クリアで終了し、残りはジャンとジェシカの話。最初のほう読んで、座木と秋の対決が見れるのかな!?ということを楽しみにしていた私は少しがっかりしました。後半のジャン達の話は良かったのですが。まぁ要するに、今回の本はミステリー、だとか推理小説、という風に読まないで、物語だと思って読めば中々いい話ですよ。それだけは保証します

 結末は…可もなし不可もなし。ジャンとジェシカのエピソードはよかったけれども、肝心の「現代」の結末は何の感動も感じませんでした。そういうわけで中間。

結論:正直、あまりお勧めしません。前半が期待を持たせておきながら実際大したことはないので。後半の話は良かったけれども、ミステリー、という点では大きくかけ離れているので。まぁ唯一の見所と言えば座木の切ない恋の話と、以前あとがきで著者が示していた、薬屋シリーズの疑問、『なぜ座木はリベザルにだけは敬語を使わないのか』というところでしょうか。


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