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天上天下唯我独尊、まさしく秋を端的に表した言葉です。達観した価値観、言動、そして雰囲気、全てが秋の魅力であり脅威であります。これは本筋とは多少離れたところにある回想シーンとも言うべきシチュエーションで発せられた 言葉ですが、シリーズの中で秋を表現する上で外せない一言だと思います。物事の善悪を問う相手に対しての返答、ただそれだけを聞けば我侭ともとられかねない発言ですが、秋の信念にしたがった結果出た言葉、決しておかしくはありません。
自分の大の恩人である七糸様の塚を護り続けるはずだった柚之助は、その塚を蹴り倒されたエリカに対して忠告するも、全く反省の見えない態度に対して憤慨し、復讐にはしろうとします。全ての真相が分かった後、七糸に対して自責の念に駆られている柚之助を救った秋の一言。弱気者の味方(?)である秋はその人にとって最もふさわしい言葉をかけてあげられます。強さと優しさと意地の悪さを持ち合わせた秋だからこそこれほどのカリスマ性を発揮できるのでしょう。
火冬(秋)のクールな態度により座木は誤解をし、二人の間にしばらく険悪なムードが続きますが、その誤解も全てが終わった後にリドルによってとかれます。そして、二人の間で微妙な雰囲気が走っている最中に発した火冬の言葉。完全無欠で無敵の秋ですが、素直でないことが言葉の節々からうかがえます。その中でもトップクラスのセリフで、珍しく内面が容易に想像できます。決して目を合わさないようにして独り言のように呟いたと思いますが、その時の火冬の顔を一度拝見してみたいものです。
事は全て解決し、犯人も判明した後、病床に伏していた秋から一抹の不安を抱いた座木は先に死なないで欲しい、と頼みますが、秋はそれに対して問いかけをし、正解したら約束する、と言いました。しかし座木はそれに答えても、正解はどちらでもなく、本当は秋自身すらも知らないのだ、として話をはぐらかします。それは果たして真実であったのか嘘であったのか、そして問いかけをしたのは、ただ面倒で話題を変えたかっただけのか恥ずかしかったのか…それは秋のみぞ知る、と言ったところでしょうか。