4月17日 土曜日 世界一周デート


 ちょっぴりカミングアウトするが、世界一周が僕の夢だ。2年前にインドに行った時に見た、あまりに今の自分達が暮らす日々とかけはれた世界。あれを見てしまったことが、世界を巡ってみたいと思いはじめたきっかけであった。世界には僕の知らないことがたくさんある。それを見たい。インドでは、野生の牛が街の中を徘徊し、買い物する人々と混じりあって日常の風景を作っている。人々はガンジスに祈りを捧げ、母なる川に感謝し沐浴をする。そこから少し離れたその川の岸にはどこかで朽ち果てた人が打ち上げられていて、その風景に唖然としていると、その横では子供がそんなことなど気にすることもなくサッカーをして遊んでいた。スペインのアンダルーシアでは、白い家が立ち並ぶ奇麗な村で女たちが魂の踊りを歌に合わせて踊っていた。歌は何を歌っているのかは解らなかったが、多分生きていくということ自体を表現していたのだと思う。いつも明るく騒がしいスペイン人であったが、その踊りのトーンは悲しみがベースにあるように感じた。心が動いた。タイでは「この国は微笑みの国だ」と誇らしげに言うタイ人にお世話になった。日本よりも全然豊かではないけれど、僕らよりもずっと幸せに暮らしているようにも見えた。こんなに色んなものがうずめいている地球に生きているのに、こんなに知らないことばかりが世界中に散らばっているのに、自分の周りのことだけを世界のすべてだと思い込んで、「既成概念的幸せ」に寄り添って生きていくなんて、なんだかもったいないように思えてしまうのだ。経済的に恵まれている日本人なら、ちょっと働いてお金を貯めてしまえば、あとは航空券を買うだけである。誰にだって出来る。一歩踏み出すだけだ。

 今日は、本サイトからもリンクを貼らせていただいている「世界一周デート」を運営する夫妻が、帰国を記念し、サイトの購読者をあつめてパーティをするというので、藤井氏と妻を連れて参加をしてきた。彼等は結婚を期に、夫婦で会社を辞めて600日あまりの間、新婚旅行と称して世界中を巡っていたのだ。藤井氏と「怪しい会だったらどうしようね」なんて、おっかなびっくりだったのだけど、始まってみれば主催の夫妻も言っていたように、30名ほどの参加者が各々で勝手に混じりあって、とても楽しい会となった。みんな「旅行」という共通の話題を持っているから、話の取っ掛かりがつかみやすいし、感覚が似ているから話が早い。普通「僕、世界一周旅行がしたいんだ」なんて言った日には、まず足下を固めるのが先だろだの、勇気あるねだの、将来どうするつもりなのだの、とんちんかんな(いや、一般的に言うと正論か…)答えが返ってきて、こちらとしても気が滅入るわ、話し相手は「私、理解できない」的リアクションを続けるわで、いいことまるでなしのため、冒頭でカミングアウトと言ったように、僕としても通常そのことを口に出すことは少ないのです。しかしながら、この日は主催者がそういう人たちだし、会場にも世界一周をしてきたひとが他にもいたし、「私たち、来月から世界一周の旅に出ます」なんて夫婦もいるしで、そういう心配がまるでない。しかしながら、自分の話よりもなによりも、他人の話がとても面白かった。世界には、やはり僕らの知らないことが渦めいているようだった。ちなみに世界一周をしてきた人たちは、そのために職を一度捨てているが、その後はみんなどうにかなっている様子だったし、そういう選択をしたことを後悔などさらさらいたしておりません、という感じであった。良い意味で、思った通りであった。ちなみに、僕もまだ見ていないのだけど、今月のBRUTUS(特集:TOKYOの噂)で1ページ取り上げられているようです、このご夫妻。そうそう、世界一周もいいけど、TOKYOだって面白い街なのだから、ちゃりんこも絶好調だし、旅行気分でTOKYOを探険しようというのが、今の僕の気分でもあります。

中央が吉田友和さん(夫)、右が松岡絵里さん(妻)。
絵里さん、毎度ですがいい顔してますね。下の娘がうちの家内です。
おかげさまで楽しませていただきました。ご夫妻、おつかれさま!

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