呪縛
ゆるやかに けれど確実に時は流れていく
さらさら さらさらと 音を立てて指の間から零れ落ちる砂のように
己の命が零れていくのを感じている
死を見つめる事は苦痛ではなかった
死は決して恐ろしいものではなかった
鬼になると決めた刻から 死は常に隣り合わせに存在していたのだから
では わたしは何に対して恐れを抱いているのだろうか?
あぁ 今日も隣の部屋で貴女が泣いている気配がする
息を殺し 声を殺し それでも微かに洩れる嗚咽が聞こえてくる
だが その痛々しい様を思い どれほどに抱きしめたいと望んでも
消え逝くばかりの己に一体何が出来ようか?
未来(さき)ある貴女に一体何が残せようか?
否
何も出来はしないのだ
何も残せはしないのだ
胸に陰い火が灯り そうして気付いた
わたしの恐れは貴女を失うこと
いま 泣いている貴女は わたしのモノ
では 泣き止んだ貴女は 誰の モノ—————?
死の間際 苦しい息の下でわたしは貴女に告げた
———わたしを忘れ 誰かのもとへ嫁して幸せになりなさい———
想いとは真逆の言葉
裏に潜む醜く歪んだ想いに 貴女は気付くだろうか?
果たして
末期の目に映ったのは 綺麗な綺麗な笑顔の貴女
鮮やかな朱唇が 大丈夫ですよ と囁いていた
いまも
未来も
全ての貴女がわたしのモノ
愛という名の美しい妄執が 貴女を永久に呪縛する
セイちゃーーーーーーん!
うわーーーーーーーーん!!
というか、ほんとに奇麗なニホンゴですよね。
すてき…vvv