抜け殻
【抜け殻】
隣室で あの人の咳き込む声が聞こえる
ドロリとした暗い予感に苛まれ
気付かぬフリでもしなければ きっと二度と立ち上がれなくなるだろう
それもいいかも知れないと心の片隅で囁いた
いづれ喪われるあの人と 一緒に逝くのもいいかも知れない
そんなことを考えていると知られると きっと怒られると思うけれど
一度手に入れてしまった幸福を喪った後に残るのは
わたしという名の付いた ただの抜け殻
ああ、切ない。
ほんとうに、史実というものは、
現実なんですよねぇ。