秋桜
暖かい風が、やさしくとおりすぎる。
黄色い羽を持った蝶々が楽しそうに行ったり来たり。
空には一片の雲も無く。
ただただ青い空が広がっていた。
吸い込まれそうなその空には、太陽が何もかもを包むような顔をして笑っていた。
「すき」
桃色の花弁が、一枚、バッタの上にかぶさった。
バッタは逃げるように飛んだ。
「きらい」
また舞い落ちるその桃色の花弁。
ひらひらと、何かをくるむように。
「すき」
少女の足をふわりと触って落ちる花弁。
「きらい」
少女の小さな足を囲むのは桃色の秋桜たち。
その足の先に広がるその花ばたけは、青空によくはえる。
「すき」
綺麗に咲き誇る秋桜の中で、またひとひら落ちた。
「きらい」
踊るように、舞って。少女の想いをのせて。
「すき」
少女の想いが、その桃色にうつるもはやく落ちていく。
少女の手が止まる。
少女の手の内のその花に残されたのは、あと、一枚で。
あと、一枚で。
少女の気持ちも露知らず、秋桜は咲き誇る。
「すき」
桃色の花弁が、少女の頭にひらりと落ちた。
一枚、桃色の花弁が。
どこからともなく、落ちてきた。
「秋桜はきらいから始めなきゃだめじゃないですか」
楽しそうに笑うその人。
愛しい笑顔でいつのまにか。
少女と同じように。
秋桜を一輪持って、そこにたたずんでいた、愛しい人。
少女は、あと一枚残ったその秋桜を、
ぽとりと、落とした。
ほのぼのを書いたつもり★(つもりかい)
う〜ん…
かわいすぎだろう…
(ツッコミどころ多々有り)