クリスマスの思い出


クリスマスの理想の過ごし方・・・

愛する彼と二人っきり、静かなレストランでお食事・・・
その後は、うふっ・・・
ロマンチックですよねぇ。

家族で過ごすクリスマス・・・
手作りのケーキを囲んで、家族愛を噛み締める・・・
幸せなひと時ですよねぇ。

私のクリスマスの思い出は、少し物悲しい・・・
だけど、我が家らしいクリスマスの思い出・・・

子供の頃、クリスマスの楽しみと言えば、ケーキでしたよね?
学校帰りのおしゃべりで、
私は今年はアイスのケーキ!
私はお母さんの手作りよ!
私は不●屋のケーキ!
そんな会話を聞きながら、私はがっかりした気分で家路に着くのでした。

「お母さん、ケーキまだ?」
「もう遅いから寝なさい!明日の朝、食べればいいから!」

我が家はクリスマス・ケーキを買ったことがなかったのです・・・

クリスマス・ケーキは・・・お父さんと一緒に我が家にやってくるのでした。
それも、深夜遅くに我が家の食卓に・・・

お父さんはイブもクリスマスも、私たちと一緒に過ごせなかったのです。
夜の外交が忙しくて・・・
一晩に数軒のバー&クラブを飛び回るお父さんは、
帰還する時には、千鳥足で両脇に3個以上のケーキを抱えて、
酔いどれサンタさんに変身しているのでした・・・
「メリ〜クリスマ〜ス!ひっく!」
そして必ずクラッカーをパンパンして、お風呂も入らずに寝てしまうのでした・・・
私はそんなお父さんの浮かれた声を布団の中で聞きながら、
明日からの悲惨な食生活を憂いで、眠りにつくのでした・・・

翌朝、食卓の上には待ちに待ったケーキの箱がいっぱい載っています。
「朝ごはん、ケーキだからね!」
待ちに待ったケーキですから、
初日の朝のケーキは、おいしいのですよ。
お口の中に甘〜く広がるクリームの味・・・

学校から帰ると、おやつにケーキ・・・
その日の夕食の後もケーキ・・・(一応クリスマスですからね)
お父さんは相変わらず忙しくお出かけ中で帰ってません・・・
そして・・・
夜遅くに、ケーキの箱をいっぱいかかえて帰宅するのです・・・

クリスマスが終わった朝も、朝ごはんはケーキ・・・
この頃になると、気分もうんざりです・・・
「ちょっと、このケーキ貰ってくれる人いないかしら?」
お母さんは、毎年26日になると、貰ってくれそうな人を思案し始めます。
だったら、25日から考えればいいのに?と思うのですが、
とても食べきれないとは解っていても、
土壇場にならないと、勿体なくて人様に差し上げる気分にならないみたいです。

お母さんは、賞味期限ギリギリのケーキを処分するために奔走し始めます・・・
精一杯さばいても、まだ残ってるケーキたち・・・
翌朝もまた、ケーキを食べさせられる私・・・

お母さんは、ケーキにクンクンと鼻を近づけて、
「大丈夫!まだ食べれるから!」
そういう問題じゃないと思うのだけど・・・
まともな朝ご飯が食べたいのに・・・
甘くない普通の朝ご飯・・・
ご飯とフリカケだけでもいいから・・・
でも、大人しくていい子だった私は我慢して食べ続けるのでした・・・

クリスマス・ケーキの苦い(味は甘すぎですが)思い出も、
我が家らしい、エピソードなのでした。




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