元来は煎じた茶、または、茶を煎じることを意味したが、製茶技術と飲茶法の発展にともなって変化し、現代では緑茶の一種およびその飲み方を指していう。煎茶の語の初見は弘仁6(815)年「日本後紀」。現代の製茶では葉を加熱して酸化酵素の活性を止めた後、加熱しながら揉み、乾燥させるものをいい、日本茶の85%を占める。
煎茶道・・・煎茶を主材料とする喫茶法。江戸時代中期、茶の湯と禅宗の堕落を批判した高遊外から始まって「煎茶趣味」と呼ばれ、田能村竹田、青木大米、頼山陽ら、自由の気風を醸成した江戸文人の間で最盛期に達し、元文3(1738)年に宇治湯屋谷の永谷宗円(宗七郎)(1681〜1778)が青製を開発したこと、天保6(1835)年に高級煎茶「玉の露」(今日の玉露)が創製されたこともあって、その後は宗匠系の煎茶に移った。田中鶴翁(花月菴流)、小川可進(小川流)、売茶東牛(売茶流)などが出、現在は100流近くに及んでいる。