街の喧騒が夜を賑わす。
俺は今日も、あの摩天楼へ。
そこにいたのは、杏の花を思わせる笑顔を湛えた少女。
まだ高校生くらいだろうか…。
俺は中へ入る。いつものように、あいつが待っていた。
馬のように駆けぬけ、残光を残す燈(ともしび)を感じさせる少年。
ここは摩天楼、十字一番棟。
聖なる雰囲気を醸し出す、その一つ目だ。
…クロスが見える。
…ファーストのクロス。
皆がそこへ集う。
その部屋には、無限の空間に放置された、
切ないくらいにかけがえのない愛があった…。