Kaorin'sBookDiary2000



 

・2000.12.12 
”涙” 乃南アサ 幻冬社
俺のことはわすれていいという言葉だけ残し、
失踪してしまった婚約者を追って主人公は長い旅にでます。
どこにいるの?
私、どうすればいいの?
本当にもう二度と会わなくていいの?

最後の最後に・・とても泣けるシーンがありました。
そうきたか!!という感じの乃南アサワールドでした。
よかったですよ。


・2000.11.30 
”睡蓮の長いまどろみ” 宮本輝 文芸春秋
主人公の母親は幼い主人公を残して家をでました。
”私の中にはたくさんの私がいる。それは百人かもしれないし、
五百人かもしれない。・・(中略) もし三千人の私がいるなら、その三千人の私を生きたい。”
この文章を読んで私はとても打たれたような感じがしました。

物語は主人公と母との人生の宿命を考えさせられるもので
テーマ的に重いものもありますが・・とても興味深く読めました。

時間をかけてゆっくり読むことができる本です。


・2000.11.10 
”あふれた愛” 天童荒太 集英社
とても話題になりドラマにもなった”永遠の仔”の作者の短編集。

ふたりでいてもかなしい。ひとりでいてもいとしい。
本の帯のことばにひかれました。

「やすらぎの香り」という物語になんだかぐぐーっときました。
自分の不安定さもなにもかもうまくつきあわないといけない・・
そう思いつつ主人公達の日々がすぎていきます。
人の心はうつろいやすくて弱いもの。
でも時間は進んでいきます。
後悔しても時間だけはもどらない。
でも迷った時間は宝物になります。
そう信じたいなと思いました。


・2000.10.30
”希望の国のエクソダス” 村上龍 文芸春秋
通勤時間にFMを聞いていたら
村上龍が1週間インタビューを受けていたを聞きました。
そのとき久々に村上龍を読みたいなと思って
図書館で借りた本がこれです。

教育も経済もある意味行き詰まっている現在に
何ができるか・・それをすごく考えさせられました。
インタビューの中でツールよりその人自身の人間的スキルが
これから問われるものだという著者の言葉は私には正直痛かったです。

物語の内容は不登校の中学生が日本を希望のない国といって
学校を社会をインターネットを使って変革していくのを
マスコミ関係者の主人公が見守っていく・・

久々にお勧めの1冊です。


・2000.10.25
”こぼれ種” 青木玉 新潮社
幸田露伴が祖父で幸田文が母。
母の思い出を綴ったエッセーが多いのですが
読んでほっとする作品です。

季節のものや生活にかかわるものが息づいている感じで
すがすがしい気分になれました。
「紅葉を待つ」が季節がらよかったです。(^^)


・2000.10.18
”ローズガーデン” 桐野夏生 講談社
第39回江戸川乱歩賞受賞作品「顔に降りかかる雨」の
村野ミロが主人公のミロシリーズの初の作品集。

なんとなく疑問に思っていたこれまでの作品の伏線()が
(なぜミロの夫が自殺したのか・・ミロと父との関係の謎・・)
とてもよくいかされている作品集でした。
私としては読みがいがありました。

桐野夏生も秋という感じではないですが・・
つづきものはつい手にとってしまいます。(^.^;)


・2000.10.15
”悪い噂” 玄月 文芸春秋
第122回芥川賞を「蔭の棲みか」で受賞。

淡々として古典風な感じです。
かなり重いですが秋の夜長の読書のおともに選びました。
読んだ後気分的にいいものでもないから・・
お勧めという感じではありませんが。

こういうアングラな世界もたまにはいいかな。


・2000.10.12
”本気のしるし” 星里もちる 小学館
「りびんぐゲーム」「結婚しようよ」「夢かもしんない」などの
ビックコミックスの星里もちるの新刊。

主人公の辻は中小文具メーカーの会社員。
現在独身の一人暮らし。
仕事は無難にこなしつつ社内恋愛も成りゆき。
どこか真剣になれない日常。
そんなある日出会った風変わりな美女。
まったなしのサバイバル・ラブ・サスペンス。
と帯に書いてありました。(^.^;)

けっこう好きなマンガなので連載が楽しみ!!


・2000.10.5
”スタヂオの窓から信州が見える”
 FM長野アナウンサー大岩堅一 放送作家加瀬清志
 信濃毎日新聞社

信州が好きでIターンした二人のエッセー。

私の大好きなタブロイドラヂオLet's午前中の
パーソナリティーの大岩さんの本です。
加瀬さんもラジオでおなじみです。

私も長野に来てはや5年目。
いろいろなとまどいや不思議なことを体験しつつ、
この本を読んで私だけがそう感じているんじゃないのねと
しみじみ。

この本の中で大岩さんが書いていた
”「信州人」というのは、長野県に生まれて
  大人になるまでそこで育った人のことを言い、
 「長野県人」とは単に今、長野県に住んでいる人を指す言葉。”
に深くうなずいてしまいました。

ということは、私と主人は「長野県人」で息子は「信州人」ですね。(笑)


・2000.10.2 
”命” 柳美里 小学館
読みたいなと思いつつ、ちょっと恐いなと思った1冊。

読み進めて行くうちに自分をここまでさらけ出せる凄さを
感じました。
同じ女性として彼女の奔放さを疎ましく感じる人もいるかも
しれないけれど・・
(実際自分の家庭にこういう人が入り込んだら恐怖だな)
彼女の生き方もありだろうと私は思いました。
あくまで自分が主体ということに力強さを感じます。

誰のためでもなく自分のための人生。
理解のある人はまだ少ないと思うけれど
彼女と彼女の子供に幸せが多くありますように。


・2000.09.20 
”神戸震災日記” 田中康夫 新潮社
長野県知事選挙に出馬した田中康夫の
阪神大震災のボランティア日記。

作者の体力と行動力のある部分がうきだっているなと
読んでしみじみ。
私生活がどうこうというのは別問題で(笑)
こういう人が県知事になるのもいいかなと
思わせる1冊でした。


・2000.09.15 
”「家をつくる」ということ” 藤原智美 プレジデント社
副題に”後悔しない家づくりと家族間系の本”とあります。

私ことですが妹夫婦が私の両親と2世帯住宅をたてることになって
ようやく着工したときに妹の旦那さんが”家をたてるのが夢だった”
というのを聞いてうちの世帯主にはない感覚なんだろうなと
妙に感心したあとで図書館で手にとった本でした。(笑)


この本の中には”住宅問題は家族問題”と作者は書いています。
なるほどと思う反面、実際そうなのかなと疑問にも思いますが
家づくりは家族にとって一大事業ですからそれを契機に
家族関係を見直すいい機会になる・・そんなことなのでしょう。

取材先がミサワホームだけなので偏りはあるかもしれませんが
おもしろい本でした。


・2000.09.12 
”あやし〜怪〜” 宮部みゆき 角川書店
江戸の生活の中の怪談話9つ。

それぞれ現在にも通じるような恐い部分があって
読んでいて、宮部みゆきワールドを堪能しました。
人の世は今も昔も基本的には変わらないものだし
心の機微は変わってしまわないと信じたいものです。

夏は終わってしまったけど、ちょっと読むと涼しくなる一冊です。


・2000.09.05
”この人はなぜ自分の話ばかりするのか
 こっそり他人の正体を読む法則
 ジョ−エレン・ディミドリアス ソニーマガジンズ

この本のタイトルをみて・・
”うっ、これって私??・・(^.^;)”
とどきっとしました。(笑)

本書の原題は"Reading People(人の読み方)"。
アメリカでもっとも有名な陪審コンサルタントのひとりである
ジョ−エレン・ディミドリアス博士によって書かれました。
人の読み方だけでなく、本書は他人からの自分の読まれ方も
書いてあってとても有意義でしたよ。


・2000.09.03 
”ホワイト・アウト” 真保裕一 新潮文庫
先日の映画の日に見た映画”ホワイト・アウト”の原作。
吉川英治文学新人賞受賞。

原作は平成7年9月に新潮社より刊行されていて
図書館では私の好きな宮部みゆきの本の側にある。
そんなわけで何度か手にとってぱらぱらみては
実際読むことはなかった本です。
(私としてはすごく珍しい・・(^^ゞ)

どうして読めなかったかというと・・
文章の好みかなあ。
どうもとっかかりがイメージしずらかったのか。
実際映画をみてから読むとすんなり読めました。
原作も読むとよかったけど・・
やはり織田裕二のファンとしては
映画をお勧めします。
それから原作と言うのもいいかも。

彼の作品で「奇跡の人」の方が文章としては
よかったかな。
まったく好みの問題ですけどね。



・2000.08.24 
”巨泉 人生の選択” 大橋巨泉 講談社
大橋巨泉というと「クイズダービー」「世界まるごとHowマッチ」
の司会者で最近は時々「お宝鑑定団」に出ているタレント・・。
その彼が56才でセミ・リタイアメントして
現在は春・秋は日本、夏はカナダ、冬はオセアニアに住みつつ
快適生活を堪能している。

うらやましい話である。

彼によると好きに生きるための優先順位は・・
1.まず健康(そのための禁煙)
2.良きパートナー(妻)
3.複数の趣味
4.財政的裏づけ(持家)

この中で私のあるものって3だけ。(^^ゞ
読んでいるとこういう風に人生を送るのも
一つの手だけど・・・
みんながみんなこんなだったら
ちょっとなあと思うかおりんでした。


・2000.08.20
”もしも僕らのことばがウイスキーであったなら”
 村上春樹 平凡社

文が村上春樹で写真が奥様の村上陽子の一冊。
奥様の写真がけっこう味があっていいです。

サントリーの取材でスコットランドとアイルランドに
ウイスキーを飲みに行ったといううらやましい話です。
お酒や料理って実際食してみないとわからないですよね。(笑)

それでいうと旅行も読書もそうかもしれないですね。
人もいっしょに過ごしてみないとわからない??


・2000.08.15
「行きつ戻りつ」 乃南アサ 文化出版局
12の人生と12の旅
それでも、生きるって すてきなこと
もう一度、やってみよう。
帯のことばにとてもひかれました。

疲れるとどこかに逃げ出したくなることって
誰でもあると思うのですがなかなかそうはいかない。
そういう意味で読書を重ねてしまう人もいるはず。
(実は私がそう(笑))

結婚してから主人はあまり出かけるのが好きじゃないから
県内で行きたいなと思っていてもまだまだ行けない場所が
けっこうたくさんあります。

この作品の”一粒の真珠”というのが
心にしみました。強くならなくちゃね。


・2000.08.12
”男” 柳美里 メディアファクトリー
最近話題になっている??一冊。
入院中病院の談話室の雑誌に(婦人口論だったかな)
瀬戸内寂聴と作者が対談していて興味をもちました。
作者は私生児を産んでその経緯を話し、瀬戸内寂聴に
なだめられているという感じ。

退院後、BOOKOFFでちょうどみつけたので
読んでみると・・あらあら、まあまあ・・という感じ。
これって一歩間違うとF書院系統じゃないか〜。

私小説ということでさずがにF書院系統にはなりえませんが
表現が刺激的でした。
興味ある人はどうぞ、読んでみて。

ちなみに・・私が男の人でいいなあと思うのは手です。
手のきれいな人っていいですな。
理由は内緒ですけどね。(笑)


・2000.08.10
”工夫生活のススメ” 山崎エリ子 飛鳥新書
「節約生活のススメ」が大ヒットだった山崎流の第2弾。
この本は久々に書店で購入しました。
でも図書館で借りてもよかったかな。(^^ゞ

ちゃんと生活すると楽しいよということを
この本では語っているようです。

実際山崎流を取り入れるのは難しいけれど
できる部分を取り入れて、そうでない部分は流して。(笑)
ものごとの考え方を学べる一冊です。


・2000.08.02
”東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ” 遥洋子 筑摩書房
書店で見かけて読みたいなあと思いつつ
買わずに図書館でリクエストしました。
社会学、とりわけ女性学の神様的権威の上野千鶴子に
師事し、そこで学んだものを彼女なりにまとめたもので
とても楽しく読めました。

私も一応社会学をやっていたので、在学当時のことを彷佛としつつ
言葉のもつ力を知る者とそうでない者の悲しさを思い出しました。

同じ日本語でも全然ちがうんだよねえ。
学術用語と討論用語って。(^.^;)
そういうのを駆使して楽しむ学問ってちょっとなあ。
ちなみに学部の大多数の女子は結婚してません。(笑)


・2000.07.22 
”ぼんくら” 宮部みゆき 講談社
直木賞受賞第一作は時代小説でした。

店子を襲った殺し屋、差配人の出奔、謎の新興宗教騒ぎ。
江戸下町の長屋で連続する事件の裏の陰謀に
井筒平四郎と超美形少年・弓之助が挑む。

推理小説などで有名な作者の時代小説は
あったかい落語のような雰囲気で私のお気に入りです。
今回の”ぼんくら”は新しいシリーズになる予感もします。

これを読んでいると時代がかわってもかわらない
人間の機微があることがよくわかります。
読んで後味の悪くない本はいいですね。


・2000.07.20 
”私が彼を殺した” 東野圭吾 講談社
”秘密”の東野圭吾の推理小説。

流行作家が新進の女流詩人との結婚式当日に毒殺された。
花嫁の兄、作家のマネージャー、担当の編集者の三人が
それぞれ事件後”私が彼を殺した”とつぶやく。
容疑者は3人、そして犯人は一人。

卓絶のテクニックで繰り出される真相を
読み進めていくとぞくぞくするくらい面白いです。


・2000.07.18 
”花を運ぶ妹” 池澤夏樹 文芸春秋
意志と祈り、西洋とアジア、死とエロスの対立と融合を
描く7年ぶりの書き下ろし長篇。

一瞬の生と永遠の美の間で麻薬の罠に陥ち、
バリ島で逮捕された画家哲郎。
誰にも兄を殺させはしないと
妹カヲルはバリ島へ飛んだ。

自分の名前と似ている直情型の妹妹カヲルの
行動はかなり共感できました。
私には兄はいないけれど、こういう兄がいたら
きっと同じことをしちゃうと思うなあ。(^^ゞ


・2000.07.12 
”カカシの夏休み” 重松清 文芸春秋
帰りたい、でもどこへ?
僕達の人生も半ばを過ぎた。
故郷を出て二十年あまり。
級友の死が四人を再会させた。
彼らの帰る場所はどこなのか?
渾身250枚の書き下ろしを含む力作中編集。

「会える」と「会う」は、似ているようでいて違う。
 二人のことを懐かしんで「今度会いたいなあ」と
 つぶやく光景は思い浮かんでも、実際に「会おう」と
 連絡をとって三人で酒を飲んだり家を訪ねたりという光景は
 うまくイメージできない。
 懐かしさだけで付き合っていくには、毎日が忙しすぎる。
(”カカシの夏休み”本文より)

学校の教師が主人公の作品集です。
けっこう切ない話で泣けるかなあという感じ。


私もどこかに帰りたいな。(^_^)


・2000.06.22 
”大づち小づち” 内海隆一郎 河出書房新社
いい話しのストーリーテーラーの内海隆一郎の作品で
寂しさを抱えた現代の申し子が宮大工として
生きることを決めるまでの物語です。

宮大工の仕事の中での話がけっこう心にきました。

「こういう条件だからこそ、二千年もの木が育つんですな。
 甘やかして欲しいものがすぐ手に入ったんじゃ、
  いいもんにはなりませんな」
 木は人間に似ていて、環境や育ち方が
 その性質を決めてしまうのだという。
 −そうか<、強い木というのは>br>  厳しい条件のなかで育つんだ。
 剛は大きい手で背中をどやしつけられたような思いがした。
 (本文より)

子育てや日々の暮らしで自分の生活のしんどさに
ばかり目がいってしまうけれど、そういう中だから
得れるものもあるのかなと思いました。

超楽観的なNHKの朝連ドラマのような感じです。(^_^)


・2000.06.10
”影の肖像” 北川歩実 詳伝社
ダイエットを題材とした推理小説”硝子のドレス”の作者です。

臓器移植の最先端技術と交錯する骨肉の愛憎。
次々に増殖する謎と闇、二転三転のトリック。

最終結論がちょっと・・・不満でしたが
久々の本格的推理でした。


・2000.06.08
”漂流家族 子育て虐待の深層” 信濃毎日新聞社編
”何故に我が子を愛せない?何故に子どもたちは傷ついた?”
という帯に目がとまって図書館で借りました。

長野県で1998年に起こった乳児を押し入れに入れて窒息死させた
事件を機に信濃毎日新聞社の記者である筆者井上裕子
(やはり幼い子どもをかかえている)が
丹念な取材を元にまとめあげたルポルタージュ。

たまたま私は主人が理解がある。
ストレスをパソコンで発散している。
食べ物や医療に困るほど経済的にたいへんではない・・・

でもこれがすべて逆の状況だったら。
夜泣きをすると怒鳴る家族。ストレス発散の場所はない。
食べ物も医療にさえもことかく経済的状況・・・。

この本を読み進めていくと自分でもちょっとした歯車の狂いで
子育て虐待に陥る危険があるだろうなと恐いけれど思いました。


・2000.06.05
”嘘をもうひとつだけ”東野圭吾 講談社
広末がヒロインをつとめて話題になった”秘密”の作者 東野圭吾の短編ミステリー五編。小気味いいテンポの推理アンソロジー。

普通に生活していて正直に生きていきたいと望んでいたのに落とし穴にはまりこみ思わぬ 過ちを犯してしまった人間たち。そしてそれも隠すため、さらに秘密を抱え込む。・・・誰もが平気で嘘をつくわけではない・・・。

”秘密”の後に”白夜行”という作品もあるのですが読後、うまく感想が
かけずにいました。これを読んでなんとか書けそうな気になりました。
(近々読みなおしてアップしますね(^^ゞ)


・2000.06.01
”富士山”さくらももこ 新潮社
1年に4回の季刊誌で、雑誌の一番上には
さくらももこ編集長 日本一の雑誌 とあります。(^^)

ちょっと元気のない時などに読むと元気なりそうな
さくらももこわーるど健在です。


・2000.05.25
”第4の神話”篠田節子 角川書店
夭逝した美人作家夏木柚香の評伝を
依頼されたフリーライター小山田万智子が
人間としての夏木柚香をさぐる物語。

この物語の美人作家夏木柚香は
あの人では・・・などど考えながら
387ページの力作をすっと読めてしまいました。

フリーライターの不安定な生活や焦燥感。
なにか憑かれたように夏木柚香の評伝に
とりくむ主人公に力強さを感じました。


・2000.05.16
”雨天炎天 アトス神様のリアルワールド”村上春樹 新潮社
ギリシャア正教の聖地アトス半島を
徒歩で修道院巡りしたモノクロフォトエッセイです。
写真は松村映三。

アトスは女人禁制ということで男の人しか
入れないとのこと。(^-^;ゞ
なんだか中世ヨーロッパのまま
時間がとまったようです。


・2000.04.12
”信州の遊び場おでかけぶっく” 信濃毎日新聞社
信州のこども連れの遊び場をわかりやすく解説したガイドブック。
写真などは載っていませんが、
実際子連れのママさんたちが取材して得た情報を
イラストと使って紹介した本。
これからの行楽シーズンに役立ちそうです。

・2000.04.03
”憧れのまほうつかい”さくらももこ 新潮社
さくらももこの憧れのル・カインについてのエッセイ。
とてもきれいなル・カインの絵もカラーで満載です。

さくらももこは高校2年の時にル・カインの作品に出会い、
その後漫画家として成功。
忙しく生活している最中、享年47才でル・カイン死去。
それから数年後イギリスに彼の原画を
見に行くことを実現しました。
イギリスではウエッジウッドでお皿に絵付けをする
体験したりしながら、ル・カイン縁りの人と出会います。

ル・カインの絵は女の子なら一度は憧れるヨーロッパの
古いお城とお姫さまを緻密なタッチで描いたもの。
見ているだけでなんだか幼いころに戻った感じがします。
小淵沢に平成9年オープンした”えほんミュージアム清里”
にはル・カインの常設室もあります。
折をみて一度言ってみたいです。


・2000.03.25
”神の子どもたちはみな踊る”村上春樹 講談社
この本は連載『地震のあとで』5篇に書き下ろし1篇を加えた連作小説で
地震は阪神大震災のこと、神戸は著者の故郷です。

『UFOが釧路に降りる』
この主人公の小林の妻は地震の後
「もう二度と戻ってくるつもりはない」と
書き置きを残して家をでます。
問題は、あなたが私に何も与えてくれないからです・・・

『アイロンのある風景』
「わたしってからっぽなんだよ」という主人公順子。

『神の子どもたちはみな踊る』
神の子として生まれたと母親に言われた主人公善也。

『タイランド』
『かえるくん、東京を救う』
『蜂蜜パイ』

それぞれの主人公の抱えている生活にも
地震は起こり、そして何かを少し変えていった。
読後じわじわっとくる本でした。


・2000.03.24
”沈まぬ太陽(3)御巣鷹山編(4)(5)会長室編”
山崎豊子 新潮社
図書館から再度続編が届きましたと電話があり
お彼岸の連休明けようやく手にすることができました。

日本に戻った恩地が事故被害者のお世話係りとして
奔走する御巣鷹山編、そして事故後の会社再建のために
招かれた会長の任を受け会長室に入る恩地。

さまざまな人の生きざまのなかで主人公恩地は
自分でできる精一杯の仕事を全うします。

読みすすめるうちに小説でデフォルメされているとはいえ
こういう実体の企業
(いわゆる一流企業と言われていても
 内状は実力なしのコネ入社の人が出世街道をひた走り
 それ以外の人は縁の下の力持ちになる)
は多いのではないかと思いました。
しかしそれが人間の命の安全を預かる航空会社と思うと
ぞっとします。

恩地が再びアフリカの地をみるとき
その心はどんな思いか。
読後考えさせられる本でした。


・2000.03.15
”沈まぬ太陽(1)(2)アフリカ編”
山崎豊子 新潮社
掲示板で話題になってから図書館にリクエストして
待つこと数週間。ようやく手元に本が来ました。

アフリカの豊かな自然の描写を読むうちに
どんどん引き込まれていました。

労使活動をしたために僻地勤務を強いられた
主人公恩地の生き方を今の20〜30代の
サラリーマンはどう思うかな。
そこまでされて会社に居続ける意義を
恩地は見いだせるのか。
続きが楽しみになってきました。



・2000.01.25 
”心臓を貫かれて”
マイケル・ギルモア著 村上春樹訳 文芸春秋
何度か読もうと思ってなかなか読めずにいた本です。

”心臓を貫かれて”はノンフィクションで
1997年当時10年近く死刑が行われていないアメリカで
銃殺刑になったゲイリー・ギルモアとその家族の物語です。
ただそれだけではなくておどろおどろしい、
ゴシックホラー的な因縁話があり、
つぎつぎと運命を狂わされていく人たちが描かれています。

この本は本書の作者は主要人物である
殺人犯ゲイリー・ギルモアの実弟で
著明な音楽ライターであり、
かつてはローリングストーン誌の専属
執筆者として活躍していました。

かなり読みごたえがあって、
早く読みたいけれど読み進めない
そんな感じでした。

激しい愛と激しい暴力がコインの裏表のようになって
悲劇へと突進していく様子がつらかったです。
でもそこにあるものは現実に現在おこっても
おかしくない出来事だと感じました。

”本当に怖いのはむしろ生きている人間である”
(訳者のあとがきより)

ここ数年、昨年も思い掛けない凶悪犯罪の多くて
やるせない気持ちになります。
今年はそんなことがないといいなと思います。


・1999.01.20
”いつでも会える”菊田まりこ 学研
実際手にとって読んだのは昨年主人の兄が亡くなった頃でした。
犬のシロが大切な人を亡くしてそれを乗り越えるおはなしです。
時々本棚からとりだして読むと目がうるうるしてしまいます。

”子供に死という非常にデリケートな問題を教えるためにも
この本は秀逸である”ということで
1999年ボローニャ児童賞・特別賞を受賞。


・2000.01.13 
”チェルシーテラスへの道 上・下 ”ジェフリー・アーチャー 新潮文庫
”ケインとアベル”で有名なジェフリー・アーチャーもの。
9年前に読んだのが初めてで、
著者の作品の中でもこの作品が好きです。

以前ジェットコースターのように展開するトレンディードラマが
流行りましたが、これもそのドラマのような展開があります。
まあ今はそういうドラマも流行りませんけどね。


・2000.01.10 
”レキシントンの幽霊”村上春樹 文芸春秋
1996年11月に第一版のものです。
かなり以前にも読んだのですが再度読みました。

作者の有名な著書”ノルウェーの森”以降の1991年と
その5年後の1996年に書かれた短編集を集めたものです。
この間アメリカで生活していた作者のちょっと不思議な経験の
”レキシントンの幽霊”が私のお気に入りです。

私はどうも落ち込むと村上春樹を繰り返し読んでいます。
どうしてかはよくわからないのですが何度読み返しても
大丈夫なのなんですよ。
なんだか去年から読み返しの多い読書生活でした。(笑)