深町正が中学時代から書き溜めた詩と小説を載せてます
作者の意図
医療の発達は近年目覚しいものがある。ことに移植医療の技術は革命的な進歩をとげてきた。
臓器移植ありきで、そのために人の死の定義を変え、脳死を法的にも認めさせた。
医学の進歩はときに残酷である。ある人の死は他人の命を永らえさせることになる。別の言い方をすると、人の死を待
つ医療、それが移植医療の現実的な見方であろう。人の死を待つ行為を作者は吸命鬼(ヴァンパイアー)的だと感じて
いる。もちろんこれを読んで傷ついたり怒りや悲しみを覚える人は多いであろう。しかし、科学ことに医療進歩を患者の
治りたい・生きたいという欲求と、医師や研究者の治したいという欲求と名誉、金銭、地位を欲する欲望に任せていい
のだろうか?
人の生死をそういうことでもてあそんではいけない。
脳死状態から生き返ったという例もきく。
科学(医学)の進歩を科学者(医師や研究者)の倫理観に委ね、患者への悲哀という感情に任せ、我々はあまりにも想
像力を働かせなさ過ぎた。
科学(医学)の進歩をこのまま許せばどうなっていくのかを、数話にまとめて書いてみることにする。
20XX年、厚生労働省は移植医療の需要増加に比較してドナー登録が増えていないことから、今以上の慢性的な臓器
不足を予測し、さまざまな対策をとることになった。
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