起床。今日は根室に向かう。根室本線(花咲線)に乗って根室に向かうが、ここも本当に何もないところを走る。海も見えるし、自然も満喫できるしで最高である。今回の旅は北海道の自然を満喫しに来たのだから、その点はかなり満足させられた。途中、列車から白鳥の群れが見える。いい景色だなあ。根室駅よりも先に東根室駅に止まるのだが、「日本最東端の駅」という記念碑がちゃんと建てられていた。時間がないので降りて写真を撮ることはできなかったが。
根室到着。早速最東端の納沙布岬へと向かうべく、バスの停留所へ。すぐにバスは出発した。このダイヤは素晴らしい。摩周とは大違いである。このバスであるが、意外に観光客でない人たちも多く利用していた。根室高校の生徒なんかは日常的に利用しているんだな。そういえば、今は期末テストシーズンだな、と納得。
そうこうしているうちに納沙布岬到着。何もない所かと思いきや、人家もけっこうあるし、民宿もあったのでビックリである。帰りのバス出発まで20分程度しかなかったため、ゆっくり満喫できなかったが、この日は天気もよく、展望台から北方領土を見渡すことができた。おそらく歯舞諸島の水晶島であろう。国後島らしき島も遠くに望むことができたが、本当に国後島だったのかどうかは定かではない。本当はもうちょっと滞在することができたのだが、さすがに20分後のバスを乗り逃がすと、その後1時間半は待たなければならない。そんなに待つほど見て回る場所がないというのも辛いところであった。
さて、納沙布岬をあまりにも順調に回りすぎたためか、余裕で時間が余ってしまった。北海道のガイドブックを見ていると、霧多布岬というのがこのあたりではオススメらしい(このあたりといってもけっこう遠い。ま、花咲線沿いってこと)。天然記念物のエトピリカを見ることができる(かも)とのこと。天然記念物というブランドに多少心引かれたものの、バスの時間の都合で諦めた。全てを見て回るには北海道は広すぎるのである。かといってこのまま釧路に帰れば3時には着いてしまう。これではヒマである。そこで時刻表とにらめっこしていたところ、牛山隆信著の『秘境駅に行こう』という本に載っていた秘境駅・古瀬駅に行って帰る時間があることが判明した。これは行かねば。
と、いうことで釧路駅に着いて、まずは弁当を購入し、根室本線で帯広方面へ。列車は以外にも人が多かった。
古瀬駅到着。林の中に駅があるといった感じで、まわりには本当に駅舎以外は何も見当たらない。さすが「秘境」と言われるだけの駅である。「こんなところで降りるのは俺だけなんだろうな」などと思いつつ、列車を降りようとすると、わたし以外にも1人降りる人がいたのでびっくりである。女子高生どもをかきわけ、ボロい木造の駅ホームに降りる。わたしと一緒に降りた若い男性の方は、とっとと山の方へと消えていった。『秘境駅に行こう』によれば、日常的に利用するのは学生が2人だけということなので、彼はおそらくその学生の1人だったのかもしれない。わたしは彼の後を追わず、去り行く列車を見送った後は、駅の周りをひととおり散策する。氷に足を滑らせつつ、周囲に何もないことを確認(ホントに何もないのよ)。
釧路方面に帰る列車が来るまで30分程度時間がある。駅の時刻表を見ても、この駅に止まる列車は上下線合わせて1日7本のみ。普通列車でもほとんどが通過してしまうのである。下の写真によれば、終電は17時42分。社会人だと帰ってこれそうにない(笑)。利用客が学生だけだというのもうなずける。とりあえずホームに腰を下ろし、釧路で買った弁当を頬張り、アクエリアスを口にする。
しばらくボーっとしていると、列車がやって来る。おや? まだ釧路行きが到着するには早いんだがなあ、と思っていると、列車がやってきて離れたところにある別のホームに停車した。「え? あっちにもホームがあるの?」と焦り、またも氷で足を滑らせながら列車の止まったホームへと向かう。向かうにはいったん駅を出て、舗装されていない道を通り、踏切を渡らなければならない。遠くはないが決して近くはないのだ。幸い列車待ち合わせのため、出発まで10分程度余裕があった。もともと古瀬駅は列車交換のための駅だったんだなあと納得。ちなみにこの列車(16時41分発)を逃してしまうと、もう釧路行きの列車はない。釧路に帰るにはさらに1時間待って17時42分の最終列車で帯広方面に向かい、それからどこかの駅で、別の釧路行きの列車に乗らなければならないのだった。
10分後に列車は古瀬駅を出発。この古瀬駅は自然と静寂を味わうことができ、かなり良かった。来てよかったと思う。北海道にはこういうところがいっぱいあるんだなあ。そういえばわたしと一緒に降りた男性は結局戻ってこなかった。まあ、近く(山を越えたあたり)に家があるのでしょう。「まさか自殺?」と少し頭をよぎったが、気にしたところでわたしにはどうしようもない。真相は闇の中、いや、雪の中である。
明日はいよいよ摩周湖に再チャレンジである。
(●写真 周りになにもない古瀬駅の駅舎)