ねぇ、知ってる?
この学園って普通じゃないんだって。
ねぇ、知ってる?
この学園が出来た理由を…

ねぇ、あなたは真実を知ってるの?


Secret Clover
〜プロローグ〜


ある晴れた日の午後。
女は目の前の主人に静かに告げた。

「理事長。…準備ができました。今、対象者たちが向かっています。」

事務的に告げられる言葉。
その一見冷たくも聞こえる言葉にも主人は怒ることなく女を見る。

「ええ…準備は万端…施設・スッタフ・スポンサー…考え付く限り、必要なものは全て揃えて来た。…あとはあの子達が来れば全てが始まる…」
「そうですね…ただ、本当に学校関係者に対象を絞るとは思いませんでしたよ。」

不適に笑う主人に苦笑する女の手には今回の計画の対象者のデーター。
その対象者は教師や生徒などの学園関係者且つ…どこにでもいる一般市民たちばかり…
それに今のところ計画への参加が決定している対象者は皆年端も行かない学生ばかりで中には小学生までいる。
しかし、主人はそれは些細な事だとでも言うように口元を上げる。

「あら?どうしてかしら?」
「…誰が思います?この学園全てが正式に認定を受けた探偵学校だなんて。」

”四葉学園”…これがこの主人が理事長を勤めるこの学園の名。
表向きは普通の新設された女学園だが、その裏は正式に認定を受けた探偵学校…
しかもこの学園は養成を目的とした物ではなく、明らかに即実践を目的としている。

「しかし、今回の対象者は全て素人ばかりで即実践…あまりに無謀だとはお思いになりませんか?」

主人の目を疑うわけではない。
この主人の人の見る目を一番知っているのは女自身だが、それでもほんの少し感じる不安。

「…ねぇ…どうして、学園内で事件が起こったとき警察が上手く機能できないか…あなたはどう考える?」

でも、主人は女のそんな少しの内情も見抜き、逆に問いかける。
その問いに女は一瞬面を食らったような顔したが、すぐに問いの意味を考え思案した。

「…まずは学園の保身による隠蔽が原因だと思います。そのために事件の発覚遅れるからだと思います。また、警察は学校というテリトリーからは犬猿されがちで、且つ目立ちすぎる事が原因でしょう。」

それに自分のテリトリーに警察が入ってきたのにのんきに生活する犯罪者などいない。
警察など目立ちすぎる存在が現れたら犯人は間違いなく証拠を消してかかるだろう。
一つ一つ確かめるように言う女に主人は満足したように頷く。

「そう…警察という存在は学園では異端。その警察が真実にたどり着けるのかしら?」
「…ならば、生徒ならば真実にたどり着けると?」

主人の問いをわかりか寝首をかしげる女。
そんな女に主人は目を細め意味深な視線を向ける。

「ただの生徒なら…不可能でしょうね。」
「?…つまりは、彼女たちはただの生徒ではないと?」

掴めそうで掴めない主人の真の考え。
まるで言葉遊びのような主人の言い回しに女はただ翻弄される。
ただ、首をかしげ問うしかない女に主人は悠然と微笑む。



「さぁ?…それは、私が語るべきことではないわ。」



告げられた言葉に女は今度こそ言う言葉をなくす。
結局は何を言っても女が主人に勝てるわけはないのだと…改めて実感する。

「あら、彼女たちが来たようよ。」

黙り込む女を横目に窓の外見た主人の目に移った何人かの少女の姿。
それは、女の持つ資料の対象者たちで、主人は少女たちをしごく満足そうに見る。

「ふ〜…仕方ありませんわね。私も私の仕事にかかります。」

もう自分の言えるべき言葉はない。
そんな主人に女は溜息を一つ吐き、本来の仕事に戻る。
その生真面目な背中に目を細め、主人は腹心の部下である女に微笑む。

「あなたの手腕…期待してるわ。」
「お戯れを…では、失礼いたします。」

何処か喰えない笑顔を言葉で交わし、一つお辞儀をして部屋から出て行く女。
その後姿を見送り、離れていくヒールのを音を聞きながら主人は苦笑する。

「くっす…本当に真面目な子ね。…でも、だからこそ信頼に値する…」

そして、もう一度外を見ればさっきの少女たち。
元気にはしゃぐようにも見受けられる彼女たちに知らず知らず笑みがこぼれる。

「期待しているわよ…小さな探偵さんたち?」

誰も聞いていない小さな呟き。
それは、静かな部屋の中で静かに消えた…



Mission Stert…

Back.

*アトガキ*
プロローグですが…なんでこんなにブラックなんでしょう?
理事長様をお出ししつつ…謎感を出そうとしたんですが…謎過ぎです。
本当に微妙…さらにこれのBAG GAMEバージョンもあるんですが、そっちは両方とも男性になります。
…ただ、内容がちょっと変わってるだけで雰囲気は一緒です。
でも、中身は大半がギャグだと思いますのでお間違えの内容にお願いします。

2003/08/13