一番最初の将来の夢は、
確か動物園の飼育係だったと思う。
けど、ソレは家の剣道道場を継ぐと言う事で、一瞬にして打ち砕かれた。
一番上の兄さんがサッカー選手に。
二番目の兄さんは僕達の出身地京都に行って甘味処を開店。
三番目の兄さんは外国でパテシェになったから。
僕しか継ぐ人間がいないって事で。
でも、また僕には将来の夢が出来た。


<初恋?>


「あー……おとん怒っとるやろなァ。」

ガタンゴトンと電車に揺られながら自宅へ向かう。
もう日も沈んで、辺りは真っ暗。
正直言って自分のような小学生が出歩く時間ではない。

「稽古サボってしもーた……。」

ぼっーと外を見て自分の父親の顔を思い出す。
今頃顔を真っ赤にして怒っているだろう。
『翔茶—!早ぅ帰ってこんかーい!』って。
おかんはおかんで『…ええやない。翔茶ももう子供やありまへんえ?』
とか何とか云ってると思う。

『次はー○○—○○で御座います……。』

よく聞きなれたアナウンス。
ようやく、自分の住む町に着いた。
やはり無理して遠くまで遊びに言ったのが悪かったのだろう。
随分とお金を使ってしまった。(勿論時間も)

電車が止まって、扉が開くと、
人がどばっと電車から出た。
………マナーっちゅうんも知らンのかい最近の大人は。
ぎゅうぎゅうと押されながらも、
やっとの思いで駅から出た。
時計の針は7時半を指している。

「…………はー……。」

明日は学校休もうかなぁ…。
とブツブツ云いながら、
駅から少し離れたコンビニの角を曲がると、
奇妙な二人組みが歩いていた。

「……(何アレ…。)」

「あー!だから平馬が悪ぃんだよ!」
「えー?俺—?」
「当たり前だ!女の子フるにもなぁ!もう少し優しくだなぁ!」

片方の人間はずっーともう片方の人間を怒鳴っていて、(顔が何か疲れてるから)
もう片方は、頬にある真っ赤な紅葉の形の手形を擦っていた。
……夜でも見えるって事は凄く痛いんだろうな…。

「俺優しくないも——ん。」
「いやいやいやいやいや!そう云う問題じゃあ無くてなァ!」
「ケースケちょっと黙って…いい加減五月蝿い。ねーそこの人—。」

頬に紅葉の痕のある人が誰かに言った。

「其処の鈴の付いた赤い紐で短い髪をわざわざ結んでる人—。」

——妙に説明口調やなぁ…。
そう思い、ほんの少し周りを見回してみた。
けど、誰も居ない。
独り言……?なわけないから…
つまりは…

「ぼ…僕っスか?」
「そう。そこの人。あのさ、駅何処にあるか知らない?」
「え、駅ならコンビニの角曲がって少し行った所に…。」
「…そっかー。だってさーケースケー。」
「コンビニの角…。あ!サンキューな!…ほら。平馬もお礼!」
「あーどーも。」
「…やっべ!もうこんな時間!行くぞ平馬!」

そういい残して、
嵐のような二人は、ケースケと呼ばれた人が平馬と呼ばれた人の服を掴んで引きずって去って行った。

「な……なんやったん?今の…。」

ふ、と道に視線を落とすと、
一つの手帳。
しかも生徒手帳。
なんだか、少女漫画?のお約束的展開に近い。

「生徒手帳、?」

その生徒手帳には、
何処かで見たことのある校章。
確か、サッカーの名門校黒須学園の。
つまりあの人達もサッカー選手を目指しているという事か?
色々考えが浮かんだが、取り合えず中を見てみる事にした。
其処には、さっきの、頬を摩っていた人の写真と、名前。

「黒須学園…3年…横山…平馬?」

それが、僕とあの人の出会いで、
僕の初恋で、
僕が、イトコにサッカーを習う事になったきっかけ。

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後書き
えぇと……自分のオリキャラ、翔茶と
平馬君の出会いを書かせて頂きました…(汗
後半、書いた自分でも、「え?」となってしまったり…(ぉぃ
初々しいのを目指していたのですが…
読んで下さった方・有難う御座いました!


コメント
皆月さんより頂きました。
翔茶ちゃんと横山平馬氏の出会い編です。
初恋…翔茶ちゃんがすっごく微笑ましく可愛らしいですね。
そして、それに対照的な横山平馬氏。
どんなふり方したら女の子から反撃を貰うのか気になります。(笑)
いろんな意味で微笑ましい気持ちになりました。
では、本当にありがとうございました。