ねぇ、私ずっと、悔い、残ってたの。 だから、悲しいけど、悲しいけど、私は、うれしかったの。 私の名前は神本玲衣(かなもと れい)。1ヶ月前に死んじゃいました。 ひき逃げをされて、死んだの。 死ぬ数時間前…。 私は陵(みさき)くんをおいかけてた。 陵くんは、同い年の男の子で、片思いしてた人。 おっきくて、やさしくて、だ〜いすき☆ で、話を元に戻すと、陵くんはテッテと走って言ってしまった。 少しだけゆっくりで、待っててくれたけど、速すぎ! 「まってよ。陵くん!」 「はやく来いよっ!」 陵くんは先に着いて、私を待っててくれた。 そのやさしさに胸キュン☆?! 「は〜やっと追いついた!」 私が肩で息をしてると(疲れてた。)、陵くんは、笑いながら上を指差して言ったんだ。 「ほらっ。見てみろよ?」 「ぇ…うわぁ〜。」 私が上を見上げると、そこには満開の桜。私はすごくうれしくなった。 花を見るのも好きだったし、満開の桜は、すごくきれいで大好きなのでぃす。 「おまえ、好きだろ?」 「うんっっ。」 私は元気よくそう言った。 すると陵くんは苦笑しながら言ってくれた。 「さっきまで疲れてたくせに、嬉しそうなのな、お前。ま、そんなおまえも、好きだけど。」 「え?!」 すんごくびっくりした。だって、告白?でしょ? 「今の…。」 「好きだ。本気だぜ?」 「ホントに?嘘とか…?」 「違うってば。」 「…。」 私は下を向いちゃった。向かなきゃいけなかったんだ。だって、涙、出てきたから。 「笑ったと思ったらすぐ泣くのな、おまえ。でも俺は笑った玲衣のほうが好きだ。」 そう言って、陵くん、私のこと、抱きしめてくれた。 「キライでもいいからさ、笑ってくれ。玲衣。」 「やだ。」 一生懸命声を押し出して、私は続けた。 泣きながらだったけど、しょうがない・・・。 「私、好き、だから、嫌いじゃ、ないから、だから、うれしくて、泣いちゃうの、だから、私、泣いてるの、嫌いだからって、わけじゃ、なくて、私…」 もう何も言えなかった。 ていうか、陵くんが言わせてくれなかった。 私の背中に回した手に力を込めて、ギュッと抱きしめてくれて、そんで、「もういいから。」って言ってくれた。 私は泣きながらうなづくことしかできなかったけど。 というわけで、かなりハッピーで陵くんと別れた。 ばいばいって。言って、さよならした。 そしたら、永遠になっちゃった。 その帰り道に信号待ちしてたらひき逃げされて、気づいたら浮いてて、私の体は死んで、私は火葬される様子とか、見てた。 陵くんは、泣いてた。 今まで一度も泣いた姿を見たことなかったけど、はじめてみた。 だからかな? ずっと側にいたいっておもった。 誰か、陵君の傷を癒す人が現れるまで。 私以外の誰かを陵君が愛する日まで。 ずっと。 と思ったら、このように、陵君の側にいられるみたい。 陵くんは少し元気が出てきたみたいだから、良かった。 ちなみに陵くんは今、私の隣にいる。だけど、陵君からは、私が見えない。 当たり前だけど、ちょっとつらい。 「玲衣さん?」 —え?— 「え?」 前を見ると、小さいころずっと一緒に遊んだけど、引っ越した祝(のり)ちゃんがいた。 「祝?久しぶりだな。」 「陵くん?わぁ、すごく久しぶりね。玲衣さんも元気そうで。」 —うん。とりあえず?元気だよ〜。— 「?何言ってるんだ?祝。」 「だって、玲衣さん、そこにいるじゃない。」 「…いるのか?」 「?うん。」 —見えるの?すごいっ。実は私死んじゃったんだ。一ヶ月前。だから、私は幽霊なの。だから、陵くんには見えないんだ〜。— 「死んだっ?」 「ああ。なんで知ってるんだ?」 「だって玲衣さんが…。見えないんだ。そっか。通訳してあげるから、玲衣さん、陵くんにいいたいことない?」 —いいの?— すると、祝はうなづいてくれた。 —ずっと、一緒にいたかった。— 「ずっと、一緒にいたかった。って。」 「…。」 —んで、ずっと隣にいたかった。— 「んで、ずっと隣にいたかった。って。…陵君…。」 「…。ごめん。」 何だろうって思って隣向くと、陵くんが、泣いていた。 「これで、やらなきゃいけないこと、わかった。」 —え?— 「私の家はね、代々、玲衣さんと陵くんの家庭を守ってきた守護家なの。」 —神本家と社家を、守屋家が?ー ちなみに陵くんの本名は、社陵(やしろ みさき)。 祝ちゃんの本名は、守屋祝。 「そう。一ヶ月前、多分、玲衣さんが死んだときから、違和感っていうのかな、なんか不吉を感じたの。 そして、大旦那様の命に従って、私はここに戻ってきた。 きっと玲衣さんたちに、何かいやなものが、あるのかもしれないと思ったから。」 すると岬くんに向かって、祝ちゃんは言った。 「あなたが、玲衣さんを失ったことは、あなたの生命力を落とす原因。」 「え?」 「気づいてるでしょ?彼女がいなくなってから、あなたは苦しんだ。そんなの当たり前って思うかもしれない。けど、そんなことはない。」 私は意味がわからなくて、ポカンと見てることしかできなかった。 「あなたが生命力を落とすのは、両家、と私の家にとって大きな損害となるわ。ねぇ岬くん?」 「?」 「私と玲衣さん、あなたならどっちを取る?」 「え…。」 「間違いないわ。あなたなら、玲衣さんを取る。」 「…。」 —何…言ってるの?祝ちゃん。— 「陵君には、あなたが必要。そう言うことよ。」 そう言うと祝ちゃんは祝ちゃんの家に、私たちを案内した。 そして、祝ちゃんは自分の部屋で、変な呪文を唱え始めた。 「??」 しばらくすると、祝ちゃんの周りに円ができて、その円の中に星が描かれていった。 「神本家の娘、玲衣が死ぬることは、すべてのアヤマリの始まり。ゆえに、われの命を持って、正すことを願う。」 —え、祝ちゃん?— 「転換」 —え?きゃあ!— わけがわからないまま、私は異世界に飛ばされた。 私は誰かにポンと肩をたたかれた。 「玲衣さん。」 「祝ちゃん。」 「これだけは覚えてて、私はね、玲衣さんたちが大好きだった。だから、役に立ててうれしいの。」 「え?」 すると私はもう一度、異世界に飛ばされた。 「玲衣。」 「え?」 気づくと私は自分の部屋にいた。 「お…母さん。」 「早く支度して。祝ちゃんが亡くなったの。お葬式に出るわよ。」 「どこ…で?」 恐る恐る聞くと、お母さんは私の死んだ場所を言った。 私はそのとき、今までのことが事実だって思った。 それと、転換の意味も。 祝ちゃんは私の犠牲になった。 私の変わりに、祝ちゃんが死んだ…。私のせいで…。 私は泣きじゃくった。泣きじゃくってたらお母さんは、行かなくていいから、ここにいなさい。といってくれた。 パタンと扉が閉まる音がして、お母さんがお葬式に行った事を知った。 「キィ」 お母さんは出て行ったはずなのに、私の部屋の扉が開いた。 ふと顔を上げると、陵くんが、そこにいた。 「陵くんっ!」 私は、ずっと会いたかったっていう気持ちと、私のせいで祝ちゃんが…。という気持ちを込めて、陵くんに抱きついた。 陵くんは、おまえが悪いんじゃないって言ってくれた。 だけど…。 「だけど、私は…。」 「ばか。」 「ばかって…。」 顔を上げた瞬間、岬君の顔が目の前にあった。そして、唇にやわらかい感触が…。 陵君は、唇を離した後、すぐに私を抱きしめて静かに、「俺らが幸せに生きること。それが、祝の、望みだろ〜が。」って言った。 私は陵君の腕の中で泣きじゃくることしか、できなかった。 祝ちゃん、祝ちゃん。 もう一度、生きることを私にくれて、ほんとにほんとにありがとう。 もう一度、陵くんに合わせてくれて、ほんとにほんとにありがとう。 大好きよ、あなたは私の大切な親友、ぜったいぜったい忘れないよ。 .