君のたくらみ、私の幸せ



第1段階

「おはよ。真釉(まゆ)。」
「あ、桜子ちゃん。おはよう。」
いつものように私に話しかけてくれる桜子ちゃん。
私は結構暗い分類に入る人間だから、あんまり、、楽しくない日々を送ってる。
何も変わらない毎日を、ただ黙々と、、私は過ごしていた。


でも、そんな毎日が、数年前から、幸せなものになったんだ。
それは、、

「おっす。荻野。」
「あ。おはよ。萩家くん。」

今。私に話しかけてくれた萩家釉馬(はぎいえ ゆうま)くん。
彼がいるから。

ようするに、私は彼に、恋をしている。

時には自信をなくして、つらくなるし、
時には違う一面を見れて、、、幸せにもなる。
だけど、彼に会うという目的があるから、嫌いだった学校生活も、
多少良くなった。

でも、私は絶対に告白はしないと思う。
自信ないし、彼が誰か大好きな人と一緒に、幸せに暮らしてくれれば、
私は良い…はずだった。



「転校生がいるぞ〜。島崎絵梨菜(しまざき えりな)さんだ。」
紹介された転校生はとってもかわいい子だった。
「はじめまして♪島崎絵梨菜です♪」
「席は…荻野と萩家の隣だな。」

—…どっかで見たような・・・?—
と、思っていたけど、その思考はある一言に中断させられた。

「釉馬!久しぶりだねぇ〜。」
「絵梨菜?」

—釉馬??絵梨菜??何?何?—

「何だお前ら知り合いか?」
「はい!私が前住んでいたところに、釉馬も前いて、、」
「近所さんか〜、」
「はい!」
「とりあえず、席に着け。」
「あ、は〜い。」

私の隣の席は空いていて、その隣が萩家くんの席だった。
もう…そっと彼の姿を見ることも出来ない…んだね。


転校生は席に着いた後で私を見ると、にっこりと笑って挨拶をしてくれた。
「はじめまして。萩野…何さん?」
「ぁ。はじめまして。萩野真釉です。」
「真釉ちゃんかぁ。私のことは、絵梨菜でいいからね。」
「え。ごめん。呼び捨てって出来ないんだ。私。絵梨菜さんでもいい?」
「いいよ〜。」

感じのいい子だった。
案の定、休み時間には人だかり。
かわいくて、笑うとそれが増して…。
前から結構もてていた萩野くんとは、よくお似合いだった。

さみしくて、でも私には…何も出来なかった。

お昼休み。
いつもは席に座って、桜子ちゃんと食べるけど、、
今日はそれが叶わない。

桜子ちゃんは絵梨菜さんに話しかけている。
昼休みだから、しゃべり時だしね。
私がいると、桜子ちゃんは座れないから…(周りの人は椅子を持ってきたりしてる)
だから、、
「桜子ちゃん。」
「ん?何?真釉。」
「私の席、使っていいよ?じゃぁ。」
「え・ちょっ真釉?」

桜子ちゃんは、動揺していた。
でも、私は気づかないフリをした。
自分の想いを…閉じ込めるために。

桜子ちゃんは私の好きな人が誰か知っている。
だから私が席を立って御飯を食べに行くなんて考えられない。
それは知っている。
でもきっと、私が席を立った理由に
気づいていないはず。

ならいいの。
ならいいんだ。

感じてしまっただけ。
私がクラスにいる必要性。
今までも無いけど、これからもっと少なくなる。
ううん。なくなる。
私は…いらないね。

感じてしまっただけ。
彼の隣にいる彼女が似合うこと。
彼の隣に彼女がいることで、胸が苦しくなったこと。

ココにいるのが…つらいだけ。


ねぇ。私は、いる人?いらない人?
そのことを彼に聞きたいと思って、
聞きたくないと思ったんだ。
寂しい・・・よ・・・ねぇ。



第2段階



私は一人で屋上へ向かう。
うちの屋上は生徒が自由に出入りできる。
そして、昼休み。いつもココにはたくさんの人がいる。

でも不思議だね。今日は誰もいないんだ。
私は屋上に足を踏み入れて、御飯を食べていた。

ガチャ
「え?」
急に開いた扉。
あけたのは、知らない人…23才くらいの男の人。
「…。お前…なんでここに?」
「え?」

わけがわからない。
<なんでココに?>って・・・なに?

「入って良いのでは・・・ないのですか?」
「そりゃ・・・いつもは良いけど…。」
「今日駄目な日なんですか?すいません!今すぐ出ます!」
「ん〜?別にいい。ちょうど良かった。」
「へ?」
「昨日、ここの扉に、立ち入り禁止の札を貼っておいたんだ。
 なんでだかわかるかい?俺がココにいるため。人にいてもらっちゃ困ったんだ。
 小さいから。」
「どうしてあなたがいるために立ち入り禁止にする必要があるんですか?」 
「そりゃそうだけど、」
あれ?小さいって何?
「しかも小さいって何ですか?」
「あ〜気づいた?俺ね、昨日もココに来たんだ。だけど人がいっぱいいた。
 だけど、ココしか浮かばなかった。だからココにした。」
「え?」

ちなみに今その人は、ドアの前。
私はドアに一番遠い、フェンスを背にして座ってる。
その人はドアから少し離れたところの影に手を入れて、何かを出した。

「ココにしか、隠せなかったんだ。この包丁。」
「包丁??」
「運が悪かったと思ってあきらめてくれな?」
「え」
その人は私の方に走ってきて、私を後ろから抱きしめた。
「きゃ!」
そして…
首筋に包丁をあてる。



「え・・・」
「悪いね。君人質。どうしても必要なんだ。300万。」
「え・・・」
「と、お願いがあるんだ。叫んでくれない?そうしないと、
 みんな気づかないから。」
「え・・・」
「叫ばないなら、叫ばせるだけ。」
「え・」
男の人は、私を一瞬離して押し倒し、制服に手をかけた。
「ぇ・・・きゃああああああああ!!」
「うっさい。でもいいや。ちょうどいい。サンキュ〜。」

こうして私は人質となる。
声の大きさには多少の自信がある私。
おもいっきり気づいてくれました。
そして警察が呼ばれた。
「金を要求します。
 金額は300万円。
 妹の手術費が必要です。
 両親は死にました。
 俺のたった一人の家族を助けるための金を、俺は要求します。」
「ナイフを捨てろ!!!」
「別に払ったっていいじゃない。ねぇ。」
私は普通にそう思ったから、そう言った。
「え?」
「私なら大丈夫。座らせてくれれば、、何時間でも人質できるから。」
「そう?」
「はい♪」
私は本気でそう思ったからそう言った。

優しい人で、
たった一人の家族を救うためのお金を必要としている。
手段がこういう方法ってことは納得できないけど、
こんな方法しかない世の中にした人たちも、悪いよね。


それでも警察は応じなくて、
長期戦になった。
その間に警察はじりじりと近づいてきた。
そして他の警察の人が説得に応じているとき、私にはわかった。
3人くらいが、背後に回ろうとしていること。

私は良い人だと思った。
だから、、
「危ないっ!」
私は男の人をかばった。
「痛っ!」
痛かったけど。
守れた。
警察官の人は、棒で男の人を叩こうとした。
だから、守ったんだ。

「ちょ!君!」
犯人の男の人は、私を抱きかかえてくれた。
そのおかげで私は地面に叩きつけられずにすんだ。
「君!おい!君!」
「大丈…夫」
「じゃないだろう?!」
この怒り方。お兄ちゃん…みたい。
「へへ。わかっちゃった。同じくらいの、年齢でしょ?妹さん。」
「…ん。ごめん。怖い思い…させたよね。」
「大丈夫。あのね、うちのクラスに、お父さんがお医者さんの人いるから、、頼んで…あげるよ。」
「ありがとう。妹の入院している病院は桜ヶ丘病院で、名前は…川崎真由。」
「…私も、真釉って名前、なんだよ…。私の友達に桜子ちゃんって子がいるから、探して
・・もらって・・・・・・?健一さん。」
「え?なんで?」
思い出した。殴られたショックと妹さんの名前で。
私をかわいがってくれた…近所のお兄さん。
結構久しぶりの…再会だった。
だから、「健一さんだ!」って、わからなかった。
きっと健一さんも、わかってない、だから…、

「私の名前は…萩野、真釉………」
そのあと、意識が飛んだ。



目覚めた後、事件後の詳細を聞くと、人質を傷つけたのは警察だったため、
警察の失態をメディアは放送し、川崎家の実態を報じた結果、多くの寄付金が集まった。
その寄付金を利用しても手術するにはもっとお金が必要だったけど(入院費。などなど。)
そのお金は、桜子ちゃんのお父さんの配慮により、払わなくて、良くなった。



第3段階


そして私は…
「全治2ヶ月だって。入院費とか安くしてあげるから、最低2週間は入院。」
「そんな悪くないってばぁ〜。」
「頭殴られたでしょ?真釉。首悪かったよね。」
「ぅ゛・・・。」
「安静にしてなさい!」


はい、と小さくうなづき、私はベッドにもぐりこむ。
そのときだった。

コンコン
「お〜来た来た。は〜い。」
桜子ちゃんはそう言って嬉しそうに扉をあける。
ガラッ

私からはよく見えない。けど、扉を閉める音もした。
「桜子ちゃん。だれか・・・・・・・」
「よっ!」

目を点にするしかないくらい、私はびっくりした。
でも嬉しそうに扉をあけた桜子ちゃんのことを考えると、、わかる気がする。

「お〜い。萩野??」
「ぇ…」
「おいっ!大丈夫か!おい!」
「へ?(・o・)


 あ。ああ。大丈夫大丈夫。(^-^)」

笑顔で応対。

だって

大好きな人が、
萩家くんが、そこにはいたから。

「でもどうして萩家くんが?」
「クラスメイトだし、心配だったし、それに言われた。
 一人で来いって。」
「それって・・・桜子ちゃんに?」
「あー。
 なんか教室で話を聞いたとき、絵梨菜も行きたいとか言っていたんだけど、
 大丈夫。あの子お見舞いって嫌いらしいから。って言ってたんだ。
 だけど、俺が一人になるのを見計らったように俺に声をかけてきて、
 一人で来いって言われたんだ。」


脅してくれるのは、、多少、嬉しいんだけど…桜子ちゃん・・・。
 (^^;)

「でも、嬉しかったよ。萩野のお見舞いにこれて。」




(・o・)




「お〜い、萩野〜〜。お〜い!!」

「え。あ。ごめん。」

「大丈夫。すっげぇ心配だったんだぜ?
 しかもお見舞いにこれるのって、俺とあいつだけだろ?
 なんか嬉しいじゃん。」

「(><)し、心配してくれて、あ、ありがとう。」


「どーいたしまして。はやく元気になれよ?」
「あ!うんっ!!」

私は心の奥底から嬉しかった。

ありがとう。萩野君。
ありがとう。桜子ちゃん。

ありがとう。



第4段階




私はその後順調に回復し、学校に戻れる日がやってきた。
何度もお見舞いに来てくれた桜子ちゃんと荻家くんに一番にお礼が言いたいと…願っていた。のに


ガラっ
私が扉を開けるとクラスの子が私を見ると集まってきて大丈夫〜?などと言ってくれる。
私が犯人…もとい健一さんをかばったことが放映されていたのでその事に質問が集中する。
なぜかばったのか?と。

「私の近所に住んでいる人なんだけど、年齢が離れすぎていて、結構前からまったく会えなかったの。
 でも、小さい時は私のこと、心配してくれて、嬉しかった。
 真由ちゃんって妹がいるんだけど、その人は体があまりよくなくて、、
 小さいとき、真由の話相手になってくれて、ありがとうってよく言われてた。」
「え・じゃあ萩野さんが私達が誘ってもいつも用事があるからって言ってたのって・・・」
「?その子のところに行っていたからだけど??」
私は何もわからなかった。
「真釉!」
「ぁ。桜子ちゃん!ぁ。ごめんね。また。」
私は桜子ちゃんに近づいて抱きつく。
「真釉〜〜〜!」
「桜子ちゃぁあん!ありがとう!!」
「ううん。大丈夫よぉ〜。うちの病院もなんか人気出たって喜んでた!」
「そう?ならよかったぁ。」
「ん!」

「オッス」
「あ!萩家くん!・・と、絵梨菜さん・・・・おはよ・・・ぅ。」
「おっはよ〜。」
私は桜子ちゃんにノートを借りて、足早にその場を去った。
私が入院している間、席がえが行われ、萩家君と絵梨菜さんは一番左の中央あたり。
私は一番右の一番前だった。

彼と彼女が一緒にいるのを見なくてもすむ・・・。
だけど、、


私からは彼のことを見ることが出来なくなった。



授業が終わり、放課後になる。
私はノートを借りるので桜子ちゃんと帰っていた。

「なんで朝、はやく席に戻っちゃったのよ?」
「ん?ノートを」
「嘘ばっかり。」

何もいえなかった。
だって
嘘


だもの。

「つらいんでしょう?見てるのが。
 いつも2人が一緒にいるのを、見ていて、つらいんでしょう?」


「つらくないなら、何だって言うの?
 つらいよ。つらい。
 でも
 私より・・・彼女のほうが!彼に似合うもの!!」

私はそれから家に走って帰った。
呼び止める桜子ちゃんの声を、聞かなかったことにして・・・



第5段階


「真釉!」
「ぁ。桜子ちゃん…昨日はごめんね。」
「ううん。私こそ・・・ごめん。でも、私は真釉の方が、似合うと思うから…。
 忘れないで…。」
親友の暖かさを、私は感じたんだ。
すごく、嬉しかった。
「ありがと…っ。」


きょうは体育があった。しかし私は桜子ちゃんとは違うチームになってしまったので、桜子ちゃんを応援していた。
そのとき・・
「真釉ちゃん!」
「え?」
呼ばれて振り向くと、そこにいたのは絵梨菜さん。
「どしたの?」

彼女は意味深な顔をして私に「ちょっと…」と言った。
どうせもう試合は残っていない。
だから私は体育館の外へ彼女を誘った。
「なに?」
「うん…こんなときに、こんなこと言うのも何なんだけど、
 私ね…








 釉馬のこと、好きなんだ。」











「ぇ」
「それでね!教えてほしいんだ。釉馬に聞きにくくて…
 釉馬って、付き合ってる人、いる?」
「…いないよ。好きな人も、聞いたことない。」
「そっかぁ♪ありがと!!」

そう言って彼女は体育館の中へと戻っていった。


「あ!真釉!いたいた!一体どこに行ったのかと…真釉?」
涙が後から流れ出す。
「桜子ちゃん…私ぃ…」
もうだめだよ・・・かろうじてつぶやけた言葉だった。

私は昼休み。いつもとは違う屋上で桜子ちゃんと御飯を食べていた。
「最初から…望みなんて、なかったんだね。」
「そんなことないよ!荻家、絵梨菜のこと好きじゃないって!」
「でも、私のことも、好きじゃないよ。きっと。だからね、桜子ちゃん。










私、思い切って、告白、しようかと、思うんだ。」

それは、私の決意。

「え?本当?!」
「うん。ふられることわかっていて、告白するのって、おかしいと思うけど、
 告白しないと、私がね、終れないから。」
「そっか〜♪頑張れ!いつ?!」
「今日。」
「ふ〜ん。今日かぁ・・・・・・・・・・・・・・って、今日?!」
「うん。傷は早めに作れば、治りもその分早くなるし。
 それに、今日絵梨菜さんは、他の女子と遊ぶ約束してたから、大丈夫。
 今日、荻家くんのそばにはいないよ。」

ついに伝えることになる、秘めてきた想い…。

「頑張れ!ふられたら私が慰めてあげるからね!」
「うん!」





第6段階


「ぉ、荻家くん!」
「え?」

私は彼を呼び止める。

緊張して口がうまく回らない。
だけど、かろうじて、声がでた。
「お見舞い、来てくれてありがとう。」
「あ?ああ。いいよ。気にするな。でも元気になって、よかったよ。」
「ん。それで、ね、ちょっと、、話、あるんだけど・・・」
「?いいよ。そうだ。退院祝いも兼ねて、何かおごってやるよ。」


—え—


「どこ行く?適当でいい?」
「え・うん。」

ちょっと状況についていけなくなり始めた今日この頃…。


私はいつのまにか荻家くんと喫茶店に入り、おごってもらっていて・・・。
そして私はそこでデザートを食べた後、公園にいた。
噴水のある、公園。

告白するなら、ここがいい。そう思っていた、公園だった。


とうとう伝える、私の想い。
届くことが無いことが、わかっていた想い。
だけど伝える、この想い。


「荻家君。」
「ん〜?」
「私ね…荻家くんの事が、大好きだよ。」
「…え?」

友達としてじゃない。

「友達としてじゃないよ。
愛してる。
 こっちのほう。


 ずっとあなたが好きでした。」

彼は口をぱくぱくさせていた。
ずっと秘めてきた想い。知るはずが、ない。

「返事はいらないっ!」
「へ?」
「わかってるから、いらない!
 さよなら!」


私は家に走って帰った。

とうとう告げた。
私の想い。
かなえてあげられなくて、ごめんなさい・・・




最終段階



ピンポーン。
家のチャイムが鳴らされた。
時刻は結構遅め。
7時だった。

「真釉〜。お友達よ〜。」
「は〜い。」
桜子ちゃんだと思って私は階下に降りる。
だけど、
降りなければよかった

「っ!」
そこにいたのは、荻家君と絵梨菜さんだった。

私は何も言わず、そこにいた。
正確に言えば、呆然としていた。



「え・」
7時にもかかわらず、荻家くんは私の腕をひっぱり、進んでいった。
私はその間、ずっと思っていた。

絵梨菜さんが自分の彼女だから、ごめんって言うつもりなのかな・・・と。
荻家君がやっと止まったソコは、私が夕方告白した公園だった。

何も言わなかったけど、荻家君は

「わっ」

私の腕をつかんで、引き寄せ、私を抱きしめる。

「ちょ・何?!」





「ばか。」
「え?」
「馬鹿。」
「は?」
「大体馬鹿なんだよ。荻野は!
 なんでお前の見舞いに行くんだよ!
 なんでお前の見舞いにいけて嬉しいんだよ?
 なんでお前が元気になって嬉しいんだよ?!
 なんでお前にデザートなんておごるんだよ!

俺は…
 俺は、


 
 好きなんだよ!お前が!」







???(・_・)???






「はぃ?」



「好きなんだよ!お前が!荻野真釉が好きなんだよ!」

「う・・・そ・・・だ。」


ピカッ

「ん?」

急に光を感じて、私達は離れる。

「本当だよ。」
「絵梨菜さん??」
「やっほぅ。真釉ちゃん。釉馬の気持ちは本当だよ。」
「え?え?」

「私は、釉馬に頼まれたの。
 告白したいんだけど、助けてくれって。」
「…。」
私が荻家くんのほうを見ると、少々顔が紅かった。
「んで、今日ハッパかけたでしょ?好きだって。
 帰ってきたら顔真っ赤なんだもん。
 問い詰めたら告白された〜って。」



「先に告白されたの、ちょっと悔しかったけど、、、嬉しかった。俺。」
私は顔を紅くした。
すると荻家君は私に言った。


「俺は真釉が好きだから、
 俺と付き合ってほしい。」


と。
もちろん、私は笑顔で「はい」と答える。

そして・・・




結果




「絵梨菜〜!」

「お兄ちゃん?」
「健也くん!」


『は?』
私と荻家くんは一緒にそう言った。
私の目の前で、お兄ちゃん(健也)と絵梨菜さんが抱き合ってるんだもん。

「お、お兄ちゃん?」
「な、なんでお前がここにいるんだよ。」
「絵梨菜さんって…」
「言ってなかったっけ?俺の遠恋の彼女。」

—ぁ。もしかして私が見たことあるような気がしたのって、、お兄ちゃんの部屋で?—
唖然とする私達は、二人の目には入っていないようだ。

「もう近恋だよ〜。」
「まじで?お前引っ越してきたの?」
「うん!」

そして二人は二人の世界を繰り広げていた。




そして
私と荻家くんは、と言うと…。

絵梨菜さんが私達の抱き合っている写真を新聞部に提供してくれたおかげで?
一挙にまくし立てられ、校内新聞に貼り出される。

そんな中で彼は…
「真釉。」
「ぇ?……!ん!」

唇に唇の感触を受けながら、フラッシュの光も受けた。
それをとったのは、新聞部の人。
荻家くんは顔を真っ赤にした私に、笑顔で
「これで公認。だな♪」
といった。









恥ずかしかった…けど、嬉しかったよ!
荻家君!

「じゃなくて、釉馬!だろ!」

はいはい。

「はいはいって・・・真釉!」

ごめぇん。でも、嬉しかったよ。
そしてね、大好きだよ。
釉馬!