大好きな人と、うまくいって、幸せになるのは、 とても難しいこと。 難しい 私の名前は新條奈緒。高校1年。 私はいつも親友の山川麻奈といる。 ちなみに!好きな人は同じ高校に居る。 中学から一緒で、一緒の高校に入れて、かなり。うれしい。 昼は、いつも同じメンバーで集まって御飯を食べる。 「新條〜。」 「坂下くん!」 「やっほ〜。河名。」 「よぉ。山川。」 ちなみに、奈緒を一番最初に見て声をかけたのが坂下守。 麻奈が挨拶をしたのが河名建彦。 この4人でいつも食べる。 ただ、ちょっと関係がこじれている。 それをすべて知っているのは麻奈ただ一人。 なぜ私が知っているか。 それは、自分の本当の想いを話したことがないから。 言ったら、いけないと思って、ずっと言わないでいた。 そしたらみんな、私を頼ってくれて… いえなくなってしまった…。 奈緒は坂下が好き。 坂下も、奈緒が好き。 だけど、河名も、奈緒が好き。 そして例のごとく?私は河名が好き。 全員の気持ちはこんな感じ。 つらいよね…。 でも、私には河名に、奈緒が坂下が好きだとは言えない。 だって好きだから…。 そして、河名は気づく事になる。 全員の想いに。 「今日は遅れちまったな。」 実は4人ともクラスが違うから、 昼飯を食べる場所にたどり着くのはバラバラだったりする。 で、今日は俺が遅れた。 そしていつものように「よぉ。」と声をかけようとする。 だけど、その声を止めた。 目の前には守と新條。 二人はとても楽しそうに話をしている。 自分はそんなに鈍いほうではない。 だから すぐわかる。 俺が好きな新條がすきなのは、守だと言う事に。 そして俺はその場を立ち去る。 そこにいることなんて、出来なかった。 「あれ?河名?どうしたの? 御飯食べるんでしょ?あっちだよ?」 その声に顔を上げると、そこには山川がいた。 こいつも遅れていたのかと、今気づく。 「よ〜。」 「よ〜じゃないっての!」 「…ちょっと…いいか?」 「うん?」 二人は誰もいない場所に移動した。 「で?」 「あー。俺さ…新條のこと、好きだった。」 「・・・」 なんでいまさらこんな話を聞かなきゃいけないんだろう。 ずっと言いたかったのにさ、ずっといえないで。 「でもさっき、新條と守が居て…話しているのを見て、気づいたんだ。」 気づいたんだね…。 鈍くないもんね。 そうだよ。あなたの思う通り。 「新條が好きなの…守だって……。気づいたんだ。」 知ってたよ。 知ってたもん。 もう、言ってもいいかな? 嫌われるよね? それでも、もういいや。 どうせ叶わないし、そろそろ開放してもいいよね? 私の、大切な想い…。 「知ってた。」 「え」 「河名が奈緒のこと好きなのも、奈緒が坂下のこと好きなのも知ってた。」 やば・・・止まんない。 「なんだよ・・・それ。 じゃあ何か?お前は俺が振られるの・・・見るの楽しみだったのか!」 私が、、どんな思いで・・・ ずっと話を聞いていたのかも こうして話しているのかも 知らないで… ひどいよ。 河名…。そんなに奈緒が好きなの? どうして、私じゃないの? ねぇ…。 視界がぼやける。 そして涙を一すじ流し、それを拭かないで叫ぶ。 「しょうがないじゃない!言うことなんて、出来なかったよ!」 いえなかった。どうしても、いえなかったんだ。 だって私は… 「河名のこと!好きだったから!ずっと言えなかったよ! 河名のこと好きなのに…!いえないよ!!」 私は教室に走って戻った。 そして涙を拭いて、先生に体調が悪いと嘘をつき、早退した。 あいつが・・・俺を?? 俺はただ一人、呆然と、さっきまでそこにいた奴のことを思い出していた。 NEXT DAY 「新條。ちょっといいか」 「え?うん。」 河名にそういわれ、ついていく。 特別呼び出されるってのはきっと何かあったんだろう。 そういえば、今日は麻奈が休んでるけど、 何かあったのかな? 「新條?」 そういえば…麻奈の口から好きな人の話って聞いたことないや…。 「新條?」 誰なんだろ…。 「おい!新條!」 「うわっびっくりした。 あ〜ごめん。考えにふけってた。」 「別にいいけど、何考えてたんだよ?」 「ん〜麻奈のこと。」 ドキ! 麻奈。山川麻奈。 昨日俺に、、言って…。 そんで、今日学校を休んだ。 泣いたのを見たのは、初めてだったかもしれないと、今になって思う。 そんで、泣かせたのは俺。 「そーいやさ〜、あいつが泣いたの、見たことあるか?」 「え?んーーーー。あ゛ないや。 ダメだなぁ。私。」 聞いたのは、ふと疑問に思ったから。 「なにが?」 「ん?さっき考えてたんだ。 あの子の口から好きな人の話って聞いたことないなぁって。」 「え…。」 「どうしたのよ?驚いて。」 「聞いて…ないのか?」 「ないわよ?知ってるの?」 「い、いいや。知らない。」 「でしょ? 私は結構相談してたんだけどなぁ。」 相談ってのは、きっと守のこと。 けじめ、つけなきゃ。 「俺さ。」 「ん?」 「ずっと、お前の事が好きだった。」 「ふぇ?」 「お前に好きなやついるの知ってるけど、 言いたかった。 気づいたのは昨日。見込みのない恋愛してても、 むなしいだけだし。けじめ、つけるために、言った。」 「…。」 「お前の口からはっきり聞かせて欲しい。 誰がすきなのか。」 知らなかった。 ずっと・・・。 でも私が好きなのは…。 「ごめんなさい。私は… 坂下君が…好きです。」 「だ〜ってよ?」 「え?」 ガサッと漫画みたいな音がして、出てきたのは坂下守。 意中の人。 そして10秒後くらいに、自分が告白したのを思い出す。 真っ赤になっているのは、彼も同じ。 「じゃーそういうことで。 あ!新條!」 そうだ。聞いておきたいこと。あった。 「俺がお前のこと好きだって知ったのはいつなんだ?」 「えっ?今日だけど?」 「山川の好きな奴、知ってるか?」 「え?だから知らないって言ったじゃない。」 「お前、守のこと、山川に相談してたのか?」 「え?う、うん。」 「いつから?」 「坂下くんを…好きになって、すぐあと。」 「そん時あいつ、お前になんていってた?」 「頑張って。きっとうまくいくよ。って」 「守!」 「え」 「俺が新條の事好きだって知ったのはいつだ?」 「今。」 「山川の好きな奴は?」 「しらねぇ。」 「お前、山川に相談したことあるか?新條のことで…。」 「・・・ある。」 「いつから?」 「俺も、新條のこと。好きになって、すぐあと。」 「じゃああいつは…」 「山川は、俺にも頑張れって。うまく言ったら大切にしてあげて。 あとは〜、そうだな。建彦のことを、頼まれた。」 「え」 「いつか。必要になったときに、お願いって言われた。 意味わかんなくて聞き返したら、覚えていてくれればいいって言った。」 あいつ・・・。 「そっか。サンキュ〜。」 馬鹿野郎。 俺がばかだよ。 なんていったよ?俺は。 自問自答してみる。 Question:山川の好きな奴、知っているか? Answer:昨日知った。 Q:山川に新條のこと相談したことあるか?あるならいつだ? A:相談したことある。新條好きになってすぐに。 Q:なんていった? A:頑張れって。ただそう言って、笑った。 その顔、今考えると、悲しそうだった。 みんなの思いを知っていて みんなの思いを皆にばれないようにして みんなの思いを応援して “自分の好きな奴”の恋の応援して “好きな奴”が好きな”親友”の応援もして “親友”の”好きな奴”の応援もして そんで、自分の思いを閉じ込めて 何も言わないで 今日休んで それは俺のせいで ごめん。ごめん。ごめん。 「…麻奈…ごめん。」 俺は初めてずっと信頼してきた親友の名前を… 自らの思いを閉じ込めて応援してくれた女の子の名前を、つぶやいた。 建彦のあの質問…山川が休んだことと何か関係があるのか? と思うのは良いとして、、 とりあえず、俺は、、決心しなきゃな。 向こうが告ってくれたし・・・ 「し、新條?」 「えっ何?」 「俺も…お前が好きだ。」 「ふぇ?」 「さっきも言ったけど、ちゃんと言わないと、 お前に悪いし…。」 愛しい女の子は、俺の言葉に涙する。 俺はきっとそれは嬉し涙だろうと思った。 そう思うと、愛しくて。愛しくて。 抱きしめる。 「奈緒って・・・呼びたい。」 「・・・う、うん。」 「奈緒が…好きだよ。」 俺はそう再度言った。 NEXT DAY 「あ〜麻奈〜〜。」 ドキッ ふりむくと、そこには奈緒がいた。 「ど、どうしたの?」 「あのね!あのね!」 「俺にも言わせろよ。」 「え」と思って奈緒の後ろのほうを見ると、 ゆっくりと歩く坂下くんの姿。 「もしかして…」 「うん!うまくいったの!それで、せーの。」 「「ありがと」な」 麻奈は苦笑して”うん”と言った。 そして、複雑な気持ちをかかえたまま授業に行けないので、 奈緒にサボる意を伝え、フォローを頼んだ。 ウチのクラスには奈緒の友達がいるから。 そして私は一人屋上にいた。 そして金網をつかんで外を見つめる。 「さよなら…私の、想い…。」 自分から嫌ってくれっていう状態にした。 もう後戻りなんて出来ない。 だから、別れを告げた。 3年後。 4人は大学生になっていた。 そしてまた例のごとく同じ大学。 あるとき麻奈は、一人で出かけていた。 出かけた先は水族館。 あるところの前で凝視。 見ていると、とても寂しくなってきて、 そして思い出す人。 親友の事が好きだった大好きな人。 初めて自分から捨てた想い…それは大好きな人に対する愛。 捨てた…ハズなのに、 捨てられずにまだ持っている。 ばかみたい・・。 そして私はまた凝視。 さっきから最低15分はたってる。 「変な奴。さっきから20分も動かねぇのな。 どーでもいいけど、俺が来る前からいただろ?お前。 てことは30分以上ここにいるんじゃないのか?」 後ろを振り向くとそこには思った通りの顔。 どうりで聞いたことある声だと思ったよ。 「か・・・わな・・?」 「よ〜。」 「なっなんでココにいんの?」 「いいじゃん。しいて言えば、脅して聞いた。」 「誰から?」 「新條から。」 ズキッ 「な、なんで奈緒から、脅して聞くのよ。」 「知りたかったから」 「別にどこだっていいじゃない。絶対に誰にも言わないでって言ったのに…。」 「だから言っただろう?脅してって。 ちょっと付き合ってもらうぞ?」 「は?」 私は河名に引っ張られてそこの水族館を出る。 そして、電車に乗せられ、どこかへ≪連行≫される。 「ちょ!」 まだ欲しいものあったのに…。水族館グッズがぁ〜〜。 と思う私の心の叫びむなしく、私は連れて行かれる。 電車に乗っても、何しても、 手は引っ張られたまま。 ちなみにそこから連れて行かれる場所までの切符代は河名持ち。 あるところで降ろされて、そしてまだ私の手を握ったまま、 あるところにつく。 「な・・・」 私は現実逃避したくなった。 なんで?なんで?なんでこんなところに? 表札:河名…。 そうなんです!河名の家に連行されました。 ちなみに河名は一人暮らし…はじめたらしい。 私は家の中に放り込まれる。 やけに片付いている。。 そして河名は携帯を取り出し、メールの欄を私に見せる。 目をそらしたくなるような脅し文句がずらずらと書かれている。 もちろんあて先は新條 奈緒。 まぁ脅しは本物だったってわかったけど、 どうして私が河名の家に連行されなきゃいけないんだ?! そして河名は…なぜか鍵をかける。 「な・・・にしてるわけ?」 「ん〜逃げられないように。」 「は?!」 そして私は壁際に強制的に座らされる。 河名は私の前に座って、両手は壁につけている。 ようするに、逃げられない…。 理由もいわないでここにつれてきて、逃げたくもなるっつーの! 「お前、新條から何か聞いたか?」 「何かって、何よ?」 「3年前、おまえが休んだ日のこと。」 ズキッ なんでそんなの・・・覚えてるのよ。 「次の日に、うまくいったって言われただけ。」 「ふ〜ん。んで?お前なんで彼氏作らないんだ?」 わかってていっているのだろうか? だったら性質が悪すぎる。 「いいじゃない。関係ないでしょ! てか、帰してよ!」 「話すまで帰さない。」 「〜〜。本当にわからないの?」 「わかんねぇ。」 ・・・。よくわかった。 そこまで鈍感だったのね。 ひどいよ。 「河名が好きだからに決まってるでしょ!」 「へ〜。お前まだ俺のこと好きだったんだ。」 「〜っ。 それがな…んん?」 急に唇をふさがれる。 なに? 何がおきているの? こ、これって キス? なんで?なんで? ひどいよ。 ひどいよぉ〜。 「っ!」 河名が顔を離した後、私はなみだ目でにらみつける。 すると河名はにっこりとわらって、 私の耳に口を近づけて言う。 「俺も、好きだ。」 この期に及んで冗談を…。 「そんな冗談!信じるわけないでしょーが!」 「ホントだって。」 もちろん私の耳に口を近づけたまま、つぶやく。 「嘘だもん!」 そう言うと河名は私の肩を両手でつかんで言う。 「本当だって。」 「嘘だもん!!」 「だーも〜。よく聞けよ? 俺はお前が休んだ日に、新條にすでに振られてんだよ!」 「え」 私は目をまん丸にする。 振られていた? ようするに、玉砕決定にもかかわらず、告った? 「よ〜やっと信じたな。お前。」 「…。」 「で、ごめん。」 「へ?」 急にあやまられて、びっくりする。 さっきのキスか? あやまってもらわないと・・・。 「ずっと、隠させて、ごめんな。 ずっと、耐えさせて、ごめん。」 「え?」 「聞いたんだ。 お前、守にも、新條にも、俺にも、相談されてたんだろ? それでいて、お前の気持ちはずっと奥にあった。 それは新條たちが付き合い始めてからも奥にあって、、 隠してくれていた。 お前の好きな奴が誰か…。新條がそれに気づけば、 間違いなく、新條はお前に罪悪感を感じるはずだ。 だから、ずっと奥にしまってきたんだろう? 捨てるつもりで。」 …。 さよならって・・・私言ったのに。 「ごめん。ごめんな?」 …。 さよならって・・・私言ったのに。 言ったのに…。 どうして、この人が、こんなに愛しいんだろう・・・。 「だから、もう、出してやってもいいんじゃないか?」 「ぇ」 「俺、新條に振られてから、ずっとお前のこと、見てきた。 友達としてしか見てない頃より毎日が楽しくて、 おまえのこと、たくさんわかって嬉しくて、」 そう言っている河名の瞳は優しかった。 「いつかお前が俺以外に誰か好きな奴が出来て…って。 そう考えたら、絶対に嫌だと思った。 そう思ってからは加速するだけ。 誰にも渡したくない。 そう思ってた。」 そう言った河名の目には、決意がみなぎっている。 「か…わな?」 「好きになった。 最初は友達として、次に女として。 最後には、愛してた。 そんで今…誰よりも愛しくて、お前は俺の物だって、言いたい。」 そして河名は唖然としている私に優しくひとつキスを落とすと、再度言う 「お前が好きだ。 ずっと俺の隣に、いてほしい。」 …。 ……。 「やだな 涙…とまんな・・・っ」 止まらなかった。 嘘偽りのない、その言葉に、 嬉しくて、嬉しくて…嬉しくて。 そして私は、河名に抱きしめられる。 「好きだ。」 「っ…うん…」 「お前は?」 「…っ大好き…。 ずっと、河名が好きで…。 好きで。 奈緒が、坂下君のこと、好きになったって言った時、 うまくいくといいなって思った。 坂下君が、奈緒のこと好きになったって言った時、 ぜったいうまくいくと確信した。 でも、そんな時、河名、奈緒の事が好きだって…。 どうしていいか、わかんなくて、 いえなくて…。 どうしても…いえなくて…。 どうしていいか、わかんなくて…。 でも私は、河名が…好きで…っ」 もういいから。 そんな言葉の込められたキスを…くれた。 優しくて、甘いキス。 キスしてるとき、 この人が好きだって、強く思った。 愛してるって、 強く思った。 口付けは、最初は触れ合う程度だったけど、 だんだん深いものになっていった…。 数日後。 「やっほ〜。」 「奈緒。おはよ〜。」 「ど〜して奈緒の隣にさも当たり前のように 河名がいるのよ?」 「じゃあどうしてお前の隣には当たり前のように 守がいるんだよ。」 「俺らは付き合ってって…お前らもか?」 「えっ?麻奈?」 「ん〜。どうなんだろうねv」 「どうなんだろうなv」 「語尾にハートマークついてるぞ。」 「うっそ〜。」 「俺が告ったら、OKしてくれた。」 そして二人はにっこりと笑う。 河名が告白し、麻奈がOKした。という多少嘘の入った事実は 二人が付き合う事になったあの日、二人で話し合って決めた。 3年前のことを蒸し返して、今の枠を崩す必要はないと思ったからだ。 そして今4人は前のように、仲良く、日々を生きている…。 fin