ふったのにっき
(2000年10月)

※主要な更新履歴もかねます。
※お願い:BBSへ訪問記念にひとことよろしく。


 

●10月31日(火)

 Piagetの『表象の心理学(幼児心理学3)』を読み出す。大伴茂さんの訳がいまいちこなれてなくて読みづらいが、何か懐かしい感じがよみがえる。というのも、修士論文作成のために、さんざんピアジェの著作は読んでいたからだが、その後数年間まったくご無沙汰だったのだ。
 なんで急にまたピアジェかというと、ヘーゲルの身体性に根ざした言語論(『精神哲学』の人間学におけるそれ)を議論するのに、子供の言語習得の場面を少し参考にしたいからである。
 しかし、両者の接続は難しいようだ。

 今日、精華の授業と研究の他は、まんがデーになった。
松永豊和『バクネヤング 完全版』(2500円!)、荒木飛呂彦『JOJO Part.6』③、浦沢直樹『MONSTER』⑮を購入して読みふける。
 最近、まんがへのコレクター的執着がむくむく増していて、おさえられなく、金使いが荒い。やばい。


●10月30日(月)

 本日は、相愛大のドイツ語が、学祭あとかたづけで休講。らくぅぅぅー。

 町田康+The Glory『どうにかなる』(95)Victor、矢野顕子『GO GIRL』(99)Epicを購入。どちらも、一種の宗教性があって、期せずして面白い対比になった。まったく両者の向く方向はちがうのだけれども。


●10月28日(土)

 弐瓶勉『BLAME!(ブラム!)』④⑤、加藤伸吉『バカとゴッホ』①②がとても面白かった。前者については、「まんがの部屋2」で取り上げた。名作として、私的殿堂入り。


●10月27日(金)

 尼ヶ崎さんの『ことばと身体』を読了する。

 市川浩『精神としての身体』を読み始める。


●10月26日(木)

 相愛大で、<ドイツ語の響きをロックで>と題して、1983年頃「99 Luftbaloons(ロックバルーンは99)」が全世界で大ヒットしたバンド・NENAの曲をいくつか紹介した。(ドイツ語の歌詞カードをプリントにして。)
 ドイツのバンド、それもそのドイツ語の曲が世界でヒットするというのは、いま考えれば、画期的なことなのだったのだ。
 しかし、NHKテレビのドイツ語会話で紹介される現代ドイツのバンドのかっこわるいことといったら、この上ない。
 かといって、NENAがそれほどいいかといえば、そうでもないのだが、なつかしさもあり、また適当なドイツのバンドのCDももっていなかったので、教材にしたというわけ。


●10月25日(水)

 ぴあ「スーパー・リザーブ・チケット」の抽選で、GRAPEVINE 12/24 Zepp Osakaが当たったので、購入した。


●10月24日(火)

 精華で、道教の「老子」についての授業を開始した。教材に、講談社の『まんが老荘の思想』というものを使った。このシリーズは面白くて、シリーズに『孔子』や『』などがある。一つ一つのまんがが、短いハナシや思想家のエピソードなので、教材に使いやすく、また抽象的な概念や言葉に肉付けを与えるのに便利なのである。

 ところで、倫理の用語は難しい。言葉を覚えること・知ることはそう難しくはない。しかし、「知ること」とは別に、「理解すること」「わかること」というレベルの知的活動があって、これがそう簡単なことではない。これは、自分の体験を想起しつつ自分の頭で考えないと容易に達成できないといえる。
 哲学者が好む言い方に、哲学という学問は、知識と言うより、「哲学すること」を学びそれを体得することだ、というものがある。「わかること」とはそれに近い。

 経験が浅かったり、基本的に「自分の頭で考える」ということを、学校で充分学べていない生徒にとって、用語は覚えられても(知ることは出来ても)、わかることは簡単ではない、と思っている。だから、授業で話すとき、彼女らの経験と結合できるように努力しているつもりだが、なかなか簡単ではない。

 こうしたことを、別の言い方で一般的にいえば、<言葉は、その表層(=記号・用語)だけでは、わかったことにならない>ということだ。

 Yahooのオークションで、ジム・ジャームッシュ監督、ジョニー・ディップ主演の「デッッドマン」というビデオを落札。


●10月23日(月)

 9月に、北新地で楽しくすばらしい歌声を聴かせていただいた、猪飼隆明先生の『西郷隆盛——西南戦争への道——』(92、岩波新書)を読み始めた。


●10月22日(日)

 Yahooのオークションにはまる。いくつかの商品に値段を提示した。

 精華倫理中間試験の採点で疲れた。

 井上雄彦『バガボンド』⑧を購入。「武蔵」が死闘を乗り越えて、晴れやかな表情をしているすばらしい表紙。そしてそれ以上に、対決者「胤えい」の「もう命のやりとりはなしだ」という台詞にナミダする。その言葉に至るまでの、体験の重さがすごいのだ。作者井上氏はやっぱりすごいなあ。


●10月21日(土)

吉岡忍『学校の力』(81=92、朝日文庫)を読了。

★HPメニューに、「エッセイ」と「まんが」を加える。


●10月20日(金)

精華の試験監督がしんどい。何もしないのも疲れる。


●10月19日(木)

 本日、精華倫理の2学期中間試験。

★「本」のページに
 「まんがの部屋2<名作・迷作・奇作・異常作品大全!>」をアップ。

★「バイクは燃料を倍喰う——バイクをめぐるあほあほ話——」をアップ。なかなか笑えると思うので読んでください。こうご期待。

やっと、Brian W. Aldissの『地球の長い午後』(ハヤカワ文庫)を読了した。


●10月18日(水)

 尼ヶ崎さんの『ことばと身体』(けい草書房)と笹澤豊さんの『自分の頭の頭で考える倫理——カント・ヘーゲル・ニーチェ』(ちくま新書)を読みはじめる。


●10月15日(日)

奈良在住の友人・前田夫妻宅へ遊びにいく。みちのすけによるお二人のインタビューに同伴する形で。たくさんもてなしていただき、たくさんお話もし、「ぼっちゃま」ともいっぱい遊んで友だちになって帰ってきた。おもしろかった。


●10月14日(土)

橋本健二「階級社会日本——「総中流」など存在しなかった
(『教育 2000,11 特集=中流幻想の崩壊と地域・家族・青年』)
の書評を「本」「教育を考える」コーナーにアップ。

堀尾輝久『教育入門』(岩波新書)の書評をアップ。

★「晩春」小津安二郎/「東京の女」小津安二郎を
ふった映画日記2000年」にアップ。


●10月12日(木)

Zizekの『幻想の感染』(99,松浦俊輔訳)(青土社)を読み出す。


●10月11日(水)

晩春」(49) 小津安二郎を観る。


●10月9日(月・祝)

 父と母につきあって、西の「鈴虫寺」なるお寺を訪れる。
この寺の「説教坊主」に驚いた。500円を払って通されたのは、ガラス張りの飼育箱に鈴虫がうるさいほどリンリン鳴いている大広間。そこで語っているのが、その「説教坊主」なのだが、説教があればまだましなのであって、そのような「ありがたい」ハナシはいっさいないのだ。あるのは、寺で売っているお守りやお札の効能や地蔵の「功徳」(?)なのである。要するに、商売のハナシばかり。ほとんど「ヤシ」或いは「生臭坊主」なのだ。
 にもかかわらず、たくさんの若い女性が熱心に聞いている(ようにみえる)。「おまえらそんなに心が弱いのか」とつっこみたくなる。たしかに、この坊主、主に恋愛の願い成就の方法について喋っているのだ。ただし、この寺に足繁く通うことを条件に!寺も生き残りに必死なのか。こういう寺を、伝統的な観光地が生かしておいていのか??
 なんか、いろんな意味で気持ち悪くなって、3人で早々に退散した。

 夕方、日本フィルのコンサート(京都コンサート・ホール)に友人4人で行く。
その後、4人で串焼きコンパ。みちのすけによるレビューを参照。


●10月8日(日)

結納」 於 白沙村荘

 みちのすけのダイアリーに詳しいが、本当にいい場所でやることができて、思い出に残った。


●10月7日(土)

吉岡忍『学校の力』(81=92、朝日文庫)を読み出す。

ヘーゲル『美学講義』の読書会。その後コンパ。

★今年の看護専門学校「論理学」授業の実践記録(レジュメ)
「しごと」のページにアップ。


●10月6日(金)

 授業中に地震が! 
結構ゆれて、何だかいろんなコトを考えてしまった。
「机の下にはいるように言うぐらいに揺れるかなあ」、とか「引率して非難せなあかんことになるかなあ」とか、ちょっと授業中断でうっとおしいなあという気持もともないつつ、いろんなことを考えた。
 そして面白いことに「教室でみんなと一体になって」、地震のゆれに五官をとぎすました。
 とりあえず、2回目のゆれのときに「かくれろ!」と教卓の中に入るギャグで対応しておいた。うけてよかった。

★Coccoのライブ・レビュー「「Raining」とともに」を「けろけろ音楽の部屋」にアップ。

★「鮫肌男と桃尻女」のレビューを「ふった映画日記2000年」にアップ。


●10月5日(木)

 今日は「自己都合」で相愛大の授業を休講にした。
 昨日、大阪でのライブ。今日の午後からは、指導教官安井先生のゼミ後期一回目が開講し、翻訳の担当がある。そういう日程がわかっていたので、計画的に休講にした。
 授業を半年やって、ちょっと「あつかましく」なったかな。
まあいいいでしょう。前期から1回も休講しないで走り続けたのだから。

 蓮實重彦の『映画狂人、神出鬼没』(河出書房新社)を購入、読み始める。同シリーズの本で、氏の『映画日記』というものがあるのを知って、何か自分のしょうもない「映画日記」が恥ずかしいような気持になった。

 「黒沢清インタビュー」(渋谷陽一による『SIGHT vol.5 Autumn 2000』)と
 「石井克人監督インタビュー」(ネット上のテクスト・「鮫肌男と桃尻女」の監督)
を読む。


●10月4日(水)

 Coccoの大阪城ホール・コンサートにひとりで行く。レビューをそのうち書きます。

 精華高校で「今日Coccoいくんです」といったら、結構反応があった。
「どの曲が一番好き?」とか「『ブーゲンビリア』派?」とか聴いてくる生徒もいた。アルバムは『クムイウタ』、ベストワンは「Raining」と答えた。うんうん、と同意する生徒。

 2年前によく『クムイウタ』のCDを聴きながら、鴨川沿いの川端通りをとおって精華にかよった。CDが「Raining」に入り、「それはとても晴れた日で♪」という一節のところで決まって泣きそうになった。そういう情景や気持と結びついている曲。
日々相手にしている現実の高校生たちへの一種の感情移入が、Coccoの描いた高校生、あるいはCocco自身であった高校生——これは結局「幻想」の中の高校生になるのだろう——と結びついていたのように思う。

 ところで授業で面白いことがった。あるクラスで授業をしに入ると、教卓のところにふたりの生徒がやってきて、「3年目の浮気」を歌い出したのだ。
「おれに聴かせているの?」
「うん。この前カラオケで歌ってん。」
「はあ.......?」 てなやりとりが。
ハイやなあ、とか内心何を思っているんだろうとか考えつつつ、授業に入っていった。
とにかく何が起こるかわからん。面白いクラスだ。


●10月2日(月)

 堀尾輝久教育入門』(岩波新書)を読了した。

 先日、Nスペ(遺伝子操作)のビデオを観せて書かせた「質問シート」の面白い感想文を編集して、プリントを作った。他の生徒の自分とは別の感想や考えを知るのは、それなりに刺激になるだろうとねがって。(精華


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