監督:Jim Jarmusch (VTR) |
——この奇妙な設定に違和感を感じるかも知れないが、ジャームシュ特有の「ユーモア」を漂わせる快作に仕上がっている。久々に映画とともにある充実した時間を与えてくれた作品だ。 「ユーモア」を身にまとっているのは、なにもこのゴースト・ドッグと呼ばれる存在についてだけではない。 通常「マフィア」と呼ばれて映画に登場する存在のイメージから、あまりに遠く離れた仕方で造形された「マフィア」の面々がかもしだすおかしさ。彼らがつねにみているアメリカの有名なマンガアニメ(ベティちゃん、ウッドペッカー、フェリックスetc)とストーリー進行との平行性のもつおもしろさ。そして、フランス語しかしゃべれないアイスクリーム売りをしている親友と主人公の「会話」。これらがすべて時には声を上げるほどおかしいのである。 主人公ゴースト・ドッグの殺しの場面においてさえ、その非現実的な様式「美」に、おかしさを感じた。 プロット(特に結末)もうまく、なかなかみせる。前作ジョニー・ディップ主演の「デッドマン」もよかったが、甲乙つけがたい。初期よりもよくなっていくのではと思わせる数少ない監督だ。(000916) |