ふった映画の部屋
監督ベスト
最終更新日07/08/26
アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock)
リンク:Directed by..——リストと批評ばかりでなく、「エピソード集」が非常に充実している。感服もの。
アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)
ヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)
作品:
☆『ゴールキーパーの不安 (Die Angst des Tormanns beim Elfmeter)』 /監督・脚本/1971-2/ ※未見
☆『緋文字 (Der Scharlachrote Buchstabe)』/監督・脚本/1972-3/
☆『都会のアリス (Alice in den Staedten)』/監督・脚本/1973-74/
☆『まわり道 (Falsche Bewegung)』/監督/1975/
☆『さすらい (Im Lauf der Zeit)』/監督・脚本/1976/
☆『アメリカの友人 (Der amerikanische
Freund)』/監督・脚本/1977/
☆『ハメット (Hammett)』/監督/1978-82/
☆『ニックス・ムービー/水上の稲妻 (Nick's Movie / Lightning over Water)』/監督・脚本:ニコラス・レイ(Nicholas Ray) + Wenders/1979-80/
☆『ことの次第 (Der Stand der Dinge)』/監督・脚本/1981/
☆『パリ、テキサス (Paris, Texas)』/監督・脚本/1983-84/
☆『東京画 (Tokyo-Ga)』/監督・脚本/1984-85/
☆『ベルリン・天使の詩 (Der Himmel ueber Berlin)』/監督・脚本/1986-87/独=仏
☆『夢の涯てまでも (Till the End of the World)』/1991/
☆『時の翼にのって——ファラウェイ・ソー・クロース! (Faraway, so Close! --In Weiter Ferne, so Nah !)』//
☆『ジ・エンド・オブ・バイオレンス (The End of Violence)』/1997/
☆『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
(BUENA VISTA SOCIAL CLUB)』/1999
☆『リスボン物語 (Lisbon Story)』/1994/独=ポルトガル ※未見
☆『愛のめぐりあい (Al di la delle nuvole)』/監督:ミケランジェロ・アントニオーニ(Michelangelo
Antonioni) + Wenders/1995/仏=伊=独 ※未見
☆『ミリオンダラー・ホテル (The Million Dollar Hotel)』/2000/独=米
コメント: 正直いって、『ベルリン天使の詩』まではすばらしいが、それ以降がしんどい感じがしている。ただ70年代から80年代中盤までの作品には、忘れられないすばらしい場面がたくさんある。例えば、『まわり道』で映写の旅を続ける主人公が野でうんこをする場面、『アメリカの友人』の路面電車の場面、そして極めつけは、『パリ、テキサス』でのあの家族がマジック・ミラーによって透視され・隔てられながら「再会・対面」するあの美しい場面である。
資料:
○『ヴェンダース・バンケット (キネマ旬報別冊)』/1988/キネマ旬報社 —— 『ベルリン・天使の詩』のシナリオや同作品までのフィルモグラフィーなどを収録。
『ベルリン・天使の詩 (Der Himmel ueber Berlin)』
/1986-87
「天使が人間になるとはどういうことか」——「天使」とは何であるのか、「天使」との対比で「人間」と何であるのか。こうしたある意味哲学的な問いを、抽象化しないで映像化すること。また哲学的な問いを、散文化しないこと。このような希有な作業をこの作品でヴェンダースは果たしている。哲学にするのでも、(当時そのように受け入れられてファッション化したように)アートにするのでもなく、また(タイトルを裏切って)純粋な「詩」でもなく、やはりこれは映画である。
『ブエナ★ビスタ★ソシアル★クラブ (BUENA VISTA SOCIAL CLUB)』
/1999
同名のキューバのバンドに対する、静かだが確実なブームを公開以来作り出すきっかけとなった映画。このバンドの再結成からコンサートまでを、そしてそれを支えるライ・クーダーの姿をドキュメンタリー風に描く。
no life, no music というより、いろんな意味で life = misic である美しいじいさん・ばあさんたちの姿とその音楽に、ここではない(ここにはない)楽園的な「生」を感じさせられて、ニコニコしながら観ることができる。
実際の描かれかたはもっと禁欲的で、それほどまでに「楽園」的でない。そうであるとしても、ここにある「生」の有り様は.....。
チャールズ・チャップリン(Charles
Chaplin)
作品:
☆『チャップリンの ニューヨークの王様 (A King in New York)』/監督・製作・脚本・音楽・出演/1957/米
☆『ライムライト
(Limelight)』/監督・製作・脚本・音楽・出演/1952/米
☆『チャップリンの殺人狂時代 (Monsieur Verdoux)』/監督・製作・原作・脚本・音楽・出演/1947/米
☆『チャップリンの独裁者
(The Great Dictator)』/監督・製作・脚本・出演/1940/米
☆『モダン・タイムス
(Modern Times)』/監督・製作・原作・脚本・音楽・出演/1936/米
☆『街の灯 (City Lights)』/監督・製作・脚本・作曲・出演/1931/米
☆『サーカス
(The Circus)』/監督・製作・脚本・出演/1928/米
☆『チャップリンの黄金狂時代 (The Gold Rush)』/監督・製作・脚本・音楽・出演/1925/米
☆『偽牧師
(The Pilgrim)』/監督・出演/1923/米
☆『巴里の女性
(A Woman of Paris)』/監督・製作・脚本/1923/米
☆『チャップリンの給料日
(Pay Day)』/監督・原作・出演/1922/米
☆『キッド
(The Kid)』/監督・製作・脚本・出演/1921/米
☆『チャップリンのゴルフ狂時代
(The Idle Class)』/監督・脚本・出演/1921/米
☆『サニーサイド (Sunnyside)』/監督・脚本・出演/1919/米 ※未見
☆『一日の行楽 (A Day's Pleasure)』/監督・出演/1919/米 ※未見
☆『犬の生活
(A Dog's Life)』/監督・出演/1918/米
☆『担え銃 (Shoulder Arms)』/監督・出演/1918/米
☆『チャップリンの冒険 (The Adventurer)』/監督・出演/1917/ ※未見
☆『チャップリンの移民 (The Immigrant)』/監督・出演/1917/ ※未見
☆『チャップリンのエスカレーター ()』/監督・脚本・出演/1916/ ※未見
☆『チャップリンの泥棒騒ぎ ()』 /監督・出演/1916 ※未見
☆『チャップリンの伯爵 (The Count)』/監督・脚本・主演/1916/米
☆『チャップリンの放浪者 (The Vagabond)』/監督・出演/1916/米
☆『チャップリンの番頭 (The Pawnshop)』/監督・出演/1916/米
☆『チャップリンの消防士 (The Fireman)』/監督・出演/1916/米
☆『仕事
(Work)』/監督・出演/1915/米
☆『チャップリンの駆け落ち (A Jitney Elopement)』/監督・脚本・主演/1915/米
☆『アルコール先生
公園の巻 (In the Park)』/監督・出演/1915/米
☆『アルコール先生
海水浴の巻 (By the Sea)』/監督・出演/1915/米
☆『チャップリンの女装 (A Woman)』/監督・脚本・出演/1915/米
☆『チャップリンの失恋 (The Tramp)』/監督・脚本・主演/1915/米
☆『チャップリンの寄席見物 (A Night at the Show)』/監督・脚本・主演/1915/米
☆『チャップリンの清掃係 (The Bank)』/監督・出演/1915/米
☆『忙しい一日 (A Busy Day)』/出演/1914/米
☆『ベニスの子供自動車競争
(Kid Auto Races at
Venice)』/出演/1914/米
☆『メーベルの奇妙な苦境 (Mabel's Strange Predicament)』/出演/? /米
☆『夕立
(Between Showers)』/出演/1914/米
☆『新米活動屋 (A Film Jonnie)』/出演/1914/米
☆『アルコール先生 原始時代の巻 (His Prehistoric Past)』/出演/1914/米
☆『チャップリンの総理大臣
(Caught in a Cabaret)』/出演/1914/米
☆『タンゴがもつれる
(Tango Tangles)』/出演/? /米
☆『成功争ひ
(Making a Living)』/出演/1914/米
☆『その日暮らし
(Life)』/出演/1914/米
(※その他、未見の短編多数あり)
『アルコール先生
海水浴の巻 (By the Sea)』
/1915/米
アルコール先生というのは、日本での古いチャップリンの愛称みたいなもの。べつに酔っぱらった役を演ずるわけでもない。子どもっぽくて、なんのストーリーもないどたばたものではある。妙にチャップリンが喧嘩が強いのがおかしい。
『チャップリンの女装 (A Woman)』
/1915/米/
放浪紳士チャップリンの女装が楽しめる希有な作品。顔のアップが瞼に焼き付くことうけあい。なかなかの佳作。
『チャップリンの寄席見物 (A Night at the Show)』
/1915/米
紳士と酔っぱらいのおさがわせ者二人をチャップリンが演ずる珍しい作品。「ウィンナーソーセージ女」とか「蛇使い女」とかいかがわしい出し物に紳士淑女たちが集う。このシチュエーションが何だかおかしい。一階に彼ら紳士たち、二階には少々品の落ちた庶民たちが集っている。おさわがせ者二人は交互にこの劇場(寄席)をドタバタおおさわぎにおとしいれる。最後のカオス的放水場面が楽しい。
☆『アンダルシアの犬 (Un chien Andalou)』/1928/仏
☆『黄金時代 (L'Age d'or)』/1930/仏 ※未見
☆『糧なき大地 (Las Hurdes)』/1933/スペイン ※未見
☆『グラン・カジノ (Gran Casino)』/1947/メキシコ
☆『のんき大将 (El Gran Calavera)』/1949/メキシコ ※未見
☆『スサーナ (Susana)』/1950/メキシコ
☆『忘れられた人々 (Los Olvidados)』/1950/メキシコ
☆『愛なき女 (Una
Mujer sin Amor)』/1951/メキシコ ※未見
☆『昇天峠 (Subida Al Cielo)』/1951/メキシコ
☆『賭博士の娘 (La Hija Del Engano)』/1951/メキシコ ※未見
☆『エル (El)』/1952/メキシコ
☆『乱暴者 (El Bruto)』/1952/メキシコ
☆『ロビンソン漂流記 (Robinson Crusoe)』/1952 ※未見
☆『嵐が丘 (Cumbres Brrascosas
/ Abismos de Pasion)』/1953/メキシコ
☆『幻影は市電に乗って旅をする (La Ilusion Viaja En Tranvia)』/1953/メキシコ ※未見
☆『河と死 (El Rio Y La Muerte)』/1955/メキシコ ※未見
☆『ナサリン (Nazarin)』/1958/メキシコ ※未見
☆『砂漠のシモン』// ※未見
☆『ヴィリディアナ (Viridiana)』/1960/スペイン
☆『皆殺しの天使 (El Angel Exterminador)』/1962/メキシコ ※未見
☆『小間使いの日記 (Le Journal d'une femme de chambre)』/1963/仏=伊
☆『昼顔 (Belle de Jour)』/1966/仏 ※未見
☆『銀河 (La voie lactee)』/1968/仏=伊
☆『悲しみのトリスターナ (Tristana)』/1969/仏=伊=スペイン
☆『ブルジョアジーの秘かな愉しみ (Le Charme Discret
de la Bourgeoisie)』/1972/仏
☆『自由の幻想 (Le fantome de la liberte)』/1974/仏
☆『欲望のあいまいな対象 (Cet Obscur Objet du desir)』/1977/仏=スペイン
コメント:はちゃめちゃさ、エロさ(足フェチ)、モラル宗教冒涜がたのしい。だからといって頭でっかちではない。さまざまなあいまいな欲望を形にあらわすことのできるひと。
『小間使いの日記 (Le journal d'une femme de chambre)』
/1963
ブニュエルのブルジョアたちやキリスト教へのどうしようもない嫌悪がにじみ出て楽しくはあるが、ストーリー的に難あり。彼はメキシコ時代がいいですね。
スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)
ブライアン・デ・パルマ(Brian De Palma)
作品:
☆『ミッション・トゥ・マーズ (Mission to Mars)』 /2000/米
☆『ミッション:インポッシブル (Mission: Impossible)』/1996/米
☆『スネーク・アイズ (Snake Eyes)』/1998/米
☆『カリートの道 (Carlito's Way)』/1993/米
☆『レイジング・ケイン (Raising Cain)』/1992/米
☆『虚栄のかがり火 (The Bonfire of the Vanities)』 /1990/米
☆『カジュアリティーズ (Casualties of War)』 /1989/米
☆『アンタッチャブル (The Untouchables)』/1987/米
☆『ボディ・ダブル (Body Double)』/1984/米
☆『スカーフェイス (Scarface)』/1983/米
☆『殺しのドレス (Dressed to Kill)』/1980/米
☆『悪夢のファミリー (HOME MOVIES)』/1979/米
☆『フューリー (The Fury)』/1978/米
☆『愛のメモリー (Obsession)』/1976/米
☆『キャリー (Carrie)』/1976/米 ※未見
☆『ファントム・オブ・パラダイス (Phantom of the Paradise)』/1974/米
☆『悪魔のシスター (Sisters)』/1973/米
コメント: じつは「すべてが好きな監督」とは言い難い。たくさん観ていないものがある。その意味でこのページのコンセプトをはずれるが、『ファントム・オブ・パラダイス』という名作?(奇作?珍作?やっぱりカルト?)について語るために挙げた。「ヒッチコッキアン?ふーん、そうかねぇ、たいしたことは....」という風に少し軽蔑したふうに語られるのが常。別に依存ないけど。
ファントム・オブ・パラダイス (Phantom of the
Paradise)』
/1974
ロック・ミュージカル或いはロック・オペラなるジャンルに分類される。永遠の若さを手に入れるために悪魔に魂を売った男スワンと、ウィンスロー・リーチという気弱な天才作曲家とのあいあだに生ずる裏切りと復讐劇を描く。スワンの主催するデス・レコードは現代音楽業界のカルカチュアライズなのだろう。パラダイス劇場こけらおとしでゾクゾクと登場する歌手やバンドにしびれる。何度観てもたのしい。
『カジュアリティーズ (Casualties of
War)』
/1989/米
戦いで人間性を失ったある部隊がベトナムの少女をさらい強姦する。それに一人抵抗した男(マイケル・J・フォックス)の苦闘を描く。「戦争の日常」とそれに立ち向かったヒーローという図式......。途中で何度も放り投げようとするほどあらゆる面で胸くそ悪い映画。描かれている事態や俳優の演技だけではなく、こうした映画そのものを造り提供し賞賛する人々の薄っぺらさに唾を吐きたくなる。
『レイジング・ケイン (Raising Cain)』
/1992/米
多重人格を扱っているが、分裂した人格を実際に存在しているように描くトリックにもならない子供だましの手法——子どもだってわかるよ子どもに失礼だ——に力が抜ける。“新時代の『サイコ』”のつもり?
『ミッション・トゥ・マーズ (Mission to Mars)』
/2000
<ネタバレ!>50年代や60年代のSF小説ならいざしらず、火星人が人類の起源だったなどというプロットで映画をつくってしまうのはいかがなものか。それを大まじめでやっているから始末が悪い。2000年版『2001年宇宙の旅』の座を奪取するのがこの映画の目論見だったのだろうが、大失敗としかいいようがない。
ジョエル・コーエン(Joel Coen)
作品:
☆『オー!ブラザー (O Brother, Where Art Thou ?)』/監督/2000/米
☆『ブラッド・シンプル ザ・スリラー
(Blood Simple)』/監督・脚本/1999/米
☆『ビッグ・リボウスキ (The Big Lebowski)』/監督・脚本/1998/米
☆『ファーゴ (Fargo)』 /監督・脚本/1996/米
☆『未来は今 (The Hudsucker Proxy)』/監督・脚本/1994/米
☆『バートン・フィンク (Barton Fink)』/監督・脚本/1991/米
☆『ミラーズ・クロッシング (Miller's Crossing)』/監督・脚本/1990/米
☆『赤ちゃん泥棒 (Raising Arizona)』/監督・脚本/1987/米
☆『XYZマーダーズ』/脚本/1985/ 米
☆『ブラッド・シンプル (Blood Simple)』/監督・脚本/1984/米 ※未見
コメント: 「コーエン兄弟」と呼びならわされ、イーサン・コーエンとの兄弟での仕事が基本であるのは周知の事実。どちらに作家性があるとか、どちらの方がすぐれているとかいった差異は享受者の側からはなかなか見えにくい。
アッとおどろくようなバイオレンスと、キッチュな領域に踏み込むほどのユーモアに諸作品或いは作家としての彼らの持ち味があるように思う。
『ファーゴ (Fargo)』
/1996
コーエン兄弟の最高傑作との評判もある名作。一気に観させる。すばらしい。
これは実話をもとに、偽装誘拐から発展する異常事件を描くもの。妊娠7・8か月目に入ろうかという警察官マージに扮したFrances McDormandの演技だが、これは「名演」と評価されている——実際97年アカデミー賞主演女優賞をとったし、いいようのない魅力をたたえていた(人物像も含めて)。しかし「名演」というよりも、コーエン的なユーモアを忠実に体現したからこそ、その魅力が生まれたのではないかと思う。なんかひょこっとしていて面白く、必ずしも「きれもの」的な警官ではなくて、ただ単に実直に捜査を進めているだけなのだが、にもかかわらず彼女がこの映画全体を支配している、そういう人物。(まあ物語の実相は、単にあほでサイコな実行犯たちが自滅するだけなのだが。)雪に覆われたノース・ダコタ州の大地のような安定性を彼女が体現していると言っていいような感じかな。
これだけ寒いところを舞台にし、雪のある風景が多い犯罪映画はほとんどないと思う。そこも独特の魅力を醸し出している。
ベルナルド・ベルトルッチ(Bernardo Bertolucci)
作品:
☆『殺し (La Commare
Secca)』/監督・脚本/原案:ピエル・パオロ・パゾリーニ/1962/伊
☆『革命前夜 (Prima della rivoluzione)』/1964/伊
☆『愛と怒り』/1969/伊 ※未見
☆『暗殺の森 (Il conformista)』/1970/伊=仏=西独
☆『暗殺のオペラ (Strategia
del ragno)』/1971/伊
☆『ラスト・タンゴ・イン・パリ (Ultimo tango
a Parigi)』/1972/伊=仏
☆『1900年 (Novecento)』/1976/伊=仏=西独
☆『ルナ (La luna)』/1979/伊
☆『ある愚か者の悲劇 (La tragedia di un uomo ridicolo)』/1981/伊
☆『ラスト・エンペラー (The Last Emperor
/ L'ultimo imperatore)』/1987/伊=英=中国
☆『シェリタリング・スカイ (The sheltering
sky)』/1990/英 ※未見
☆『リトル・ブッダ (Little Budda)』/1993/英=仏
『ある愚か者の悲劇 (La tragedia di
un uomo ridicolo)』
/1981
日本未公開作ということ。息子を誘拐されたチーズ工場主のブルジョアが右往左往する様を、ある意味サディスティックに描くベルトルッチのカメラは妙に焦点ぼけな印象を与える。ベルトルッチ的なテーマであるpoliticsもsexualityも弱いからか。
『殺し (La Commare Secca)』
/1962/伊
ある娼婦の殺人をめぐって、街にうごめく有象無象の少年や青年たちが次々に尋問されていく。ある者は、自らが見聞きしたものとはまったく異なる証言をする——映像が言葉との解離をあからさまにしめし、なかなか新鮮な体験を与えてくれる——。またある者は殺人とは別に自分が同じ時刻に犯した犯罪への追求を恐れ泣き叫ぶ。ついには、芋蔓式に犯人へと捜査は至り......。
コラージュのように、様々な角度から事態が描写され、様々な夜の徘徊者たちの生態と表情を切り取っていく。(決して警察の捜査が対象ではない。)陰影の深い白黒画面が非常に成功している。『羅生門』(藪の中)を想起させつつも、そういった影響関係から遠く離れた名作。「イタリア的現実(ネオレアリスモ)」に回収したくもなるが、それとは別種のリアルさを感じさせるとでもいおうか.....。