BUMP OF CHICKEN 『THE LIVING DEAD』(00) LONGFELLOW
 
 早晩ブレイクするだろう新人ロック・バンド。『RO JAPAN』で絶賛されていたこともあって(——ある意味残念なことに、非業界人のシロウトが素手でよいバンドを発見するのは困難であるがゆえに多かれ少なかれプレスに頼らざるを得ない——)このアルバムは発売当時にわざわざ注文して買った。まだインディーズ発売であった。そして最近メジャー・デビューした。

 ポルノグラフティだっけ、あんなバンドがヒットするご時世なんで、とにかく宣伝すりゃヒットするんだという言い方も成り立つが、このバンプはスピッツ的にじわじわといきつつ、エネルギーがたまってどかっとヒットするのではないかと思う。
 マーケットは10代の男の子、それもわりと純粋な優等生タイプ——あるいはナイーヴな不登校タイプを核にするのではないか。それは画期的なことで、10代の女性に受ければミリオン・ヒットになる時代に、全く別の層に受けてヒットすれば大変な現象だと言えるからだ。

 上のように書いたのも、このバンドの魅力は、ある時期のBLUE HEARTSにあったようなまっすぐさ、あまり使いたくないが「応援歌」的なところにある、とさしあたりいえるからだ。しかしそれはあの「がんばれー」の唄ではなく、「どぶねずみ」の唄に近いものである。
 具体的に書こう。M-1の「グングニル」。次の一節だけでぐっと来るのである。
<<そういつは酷い どこまでも胡散臭くて 安っぽい宝の地図 / でも人によっちゃ それ自体が宝物 / 「こいつは 凄い財宝の在り処なんだ」 / 信じきった彼もとうとう その真理を確かめる旅に出るとする / 誰もが口々に彼を罵った / 「デタラメの地図に眼が眩んでいる」って / 容易く 人一人を値踏みしやがって / 世界の神ですら 彼を笑う権利なんて持たないのに>>
 もちろんすばらしいのは、最後の<<世界の神ですら 彼を笑う権利なんて持たないのに>>というまっすぐさである。「宝島」というアニメの唄に「さあ行こう夢に見た島へと♪ 波を越えて風に乗って海に出よう」というすばらしい一節があったが、そういうある意味アニメ的で冒険ふう、もっといえばなんだか子供じみているが、失ってはならない「子どものまっすぐさ」が彼らの唄にはあふれている。
 もうひとつ「K」という名曲がある。(これはまた書きます。)(001111)
 
 
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