山中貞雄 (SadaoYamanaka)

生年 ■ 1909/11/07
没年 ■ 1938/09/16

更新 2006/03/28


 山中貞雄は、京都で生まれ京都の映画界で活躍し、29歳の若くして戦死(病没)した。短い5年間の監督生活で24本(応援監督のぞく)の作品を残したという(参照:京都文化博物館映像ホールプログラム/20029)

 私達が幸いにして観ることのできる現存する監督作品三作(『丹下左膳余話・百万両の壷』『河内山宗俊』『人情紙風船』)は、噂にたがわない必見の名作であり、その全貌を想うとフィルムの散逸が悔やまれる。

※「梶原金八」とは合同ペンネーム


右門一番手柄 南蛮幽霊
/脚色:山中貞雄
/監督:橋本松男
/原作:佐々木味津三/撮影:藤井春美
/出演:嵐寛寿郎(むっつり右門)、頭山桂之助(おしゃべり伝六)、尾上紋弥(あばたの敬四郎)、嵐橘右衛門(坂上与二郎)、平塚泰子(その娘鈴枝)、瀬川路之助(おでんやの男)、木下双葉(おでんやの女)、大和勇一(岡ツ引長助)、鳴戸史郎(髷の流人)、声望儀之助(若旦那町人)、他
1929?分/東亜キネマ京都
(※未見)


右門六番手柄 仁念寺奇談※別名『右門捕物帖 六番手柄』
/脚色:山中貞雄
/監督:仁科熊彦
/原作:佐々木味津三/撮影:藤井春美
/出演:嵐寛寿郎(むっつり右門)、頭山桂之助(おしゃべり伝六)、尾上紋弥(あばたの敬四郎)、原駒子(櫛巻お由)、今成平九郎(覆面の浪人、茶屋の親父)、鳴戸史郎(和尚九郎右衛門)、片岡左衛門(松平伊豆守)、嵐橘右衛門(松平の家老)、清川清(老職)、嵐寿之助(下郎)、嵐寛枝(旅の武士)、岡本正男(旅商人)、他
193099分/東亜キネマ京都
(※未見)


丹下左膳余話・百万両の壷
/構成・監督:山中貞雄
/原作:林不忘/脚本:三村伸太郎/潤色:三神三太郎/撮影:安本淳/編集:福田利三郎/音楽:西梧郎/助監督:萩原遼
/出演:大河内傳次郎(丹下左膳)、喜代三(お藤)、沢村国太郎(柳生源三郎)、山本礼三郎(興吉)、鬼頭善一郎(高大之進)、阪東勝太郎(柳生対馬守)、磯川勝彦(峰丹波)、清川荘司(七兵衛)、高勢実乗(茂十)、鳥羽陽之助(当八)、宗春太郎(ちょい安)、花井蘭子(荻野)、伊村理江子(矢場の女)、達美心子(矢場の女)、深水藤子(お久)、他
193584(91)/日活太秦

★★★★★  観客はさすがに?60代以上だと思われるおじさん(おじいさん)多し。100席程度が7割の入りくらい。京都という場所柄(元)業界人が結構いるかもしれない。(山中監督はマキノ雅弘の後輩、京都出身。)開演前の館内の雑談のなかに耳ダンボにるようなお話があったりした——伊藤大輔の未亡人がココによくこられているとか.......。 
 作品は、伊藤大輔の『丹下左膳』シリーズ(未見)を受け継いだ第3作目とのこと。
 長屋喜劇といった風情が濃厚な本当に楽しい作品!
 伊賀柳生の殿様が、江戸のある道場へと婿に出た弟に、家宝の壷(こけ猿の壺)を結納の品として渡す。実はその壷には百万両の在処をしめす地図が仕込まれていた。それを知った彼は弟に知られぬように取り返すことよう家臣に命ずる。そんなことはつゆ知らず弟(の嫁)はというとそのきたない壷をボロ屋にうっぱらってしまう。江戸の街で壷をめぐっててんやわんやのさわぎがはじまった.....
 お話の発端からウマイ!とうなった。壷が人々の手を渡り歩いている様がうまーく登場人物紹介そのものになっていく。丹下左膳は柳生家の兄弟とまったくなんの関係もないのだが、壷がわたった先のこどもの面倒をみることになってしまい、いつのまにかこの騒動の中心人物になって(知らずに)大活躍する。
 口は悪いが情にあつい弓屋?のおかみさん(左膳のいそうろう先)、奥方の尻に敷かれながらものんきで楽しい柳生の次男坊、 子どもみたいにやんちゃでへなちょこなところもあるが決めるときは決める大河内伝次郎演ずる丹下左膳、これらの登場人物がたいへん楽しませてくれた。ギャグも満載。上映終わって拍手がおきそうなみんなうれしい顔の場内だった。(2002/02/14:京都文化博物館、2004/09/18:VTR)


戦国群盗伝
/脚色:梶原金八(山中貞雄を含む)
/監督(演出):滝沢英輔
/原作:三好十郎/音楽:山田耕筰
/出演:河原崎長十郎(土岐太郎虎雄)、中村翫右衛門(甲斐六郎)、河原崎国太郎(土岐次郎秀国)、山岸しづ江(田鶴)、千葉早智子(小雪姫)、板東調右衛門(土岐左衛門秀虎)、橘小三郎(家老山名兵衛)、市川笑太郎(野武士・治部資長)、中村鶴蔵(同・梵天)、他
1937101分=現存短縮総集編(オリジナル前篇74分・後篇67分)/P..L、前進座、東宝
★★★☆☆ (02/09/21:京都文化博物館)


河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)
/監督・原作:山中貞雄
/脚本:三村伸太郎/撮影:町井春美/音楽:白木義信/助監督:大岩弘明
/出演:河原崎長十郎[4代目](河内山宗俊)、中村翫右衛門[3代目](金子市之丞)、市川扇升(直侍)、山岸しづ江(お静)、助高屋助蔵(丑松)、坂東調右衛門(森田屋清蔵)、市川莚司(健太)、瀬川菊之丞[6代目](松江候)、中村門三(家老)、市川笑太郎(セリ市の男)、中村楽三郎(森田屋乾分)、沢村幸次郎(森田屋乾分)、沢村章次(川人足藤次)、中村進五郎(がまの油売)、山崎島二郎(居合抜)、沢村比呂志(香具師)、清川荘司(北村大膳)、高勢実乗(茂十郎兵衛)、鳥羽陽之助(藤八右衛門)、今成平九郎(用心棒)、宗春太郎(ヒー坊)、原節子(お浪)、衣笠淳子(三千歳)、三好文江(文ちゃん)、他
193682分/日活太泰
★★★★☆ (02/09/12:京都文化博物館)


人情紙風船
/監督:山中貞雄
/製作:武山政信/原作:河竹黙阿弥/脚色:三村伸太郎/撮影:三村明/編集:岩下広一/音楽:太田忠/演奏:P...管弦楽団
/出演:中村翫右衛門[3代目](髪結新三)、河原崎長十郎[4代目](海野又十郎)、助高屋助蔵(家主長兵衛)、市川笑太郎(弥太五郎源七)、中村鶴蔵(金魚売源公)、坂東調右衛門(按摩籔市)、中村進五郎(夜そば屋の甚七)、山崎長兵衛(徳兵衛)、坂東みのる(吉兵衛)、橘小三郎(毛利三左衛門)、御橋公(白子屋久左衛門)、嵐芳三郎(白子屋久兵衛)、瀬川菊之丞[6代目](忠七)、霧立のぼる(白子屋の娘お駒)、他
193786分/P..L=前進座=東宝作品
★★★★☆ (02/09/13:京都文化博物館)


その前夜
/原案:山中貞雄/脚本:梶原金八
/監督:萩原遼
/製作:武山政信/撮影:河崎喜久三/美術:河東安英/編集:後藤敏男/音楽:太田忠
/出演:河原崎長十郎、中村翫右衛門、山田五十鈴、千葉早智子、高峰秀子、清川玉枝、助高屋助蔵、中村鶴蔵、橘小三郎、山崎進蔵、市川莚司、市川扇升、市川進三郎、市川笑太郎、他
1939/P.C.L、東宝京都
★★★★☆ (02/09/20:京都文化博物館)


戦国群盗伝
/脚本:山中貞雄
/監督:杉江敏男
/製作:藤本真澄、西野一夫/原作:三好十郎/潤色:黒澤明/撮影:鈴木斌/美術:北猛夫/音楽:團伊玖磨
/出演:三船敏郎、鶴田浩二、司葉子、上原美佐、平田昭彦、志村喬、千秋実、河津清三郎、他
1959115分/
(※未見?)


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