アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)

生年 ■ 1932/04/04   出身地 ■ ソ連/モスクワ  没年 ■ 1986/12/28

 紋切り型でいえば、<寡作のまま夭折した天才作家>ということになろうか。彼には、独特の重さ——宗教色——がある。映画監督というより、ほとんど思想家といったほうがよい位だ。しかし 「映像詩人」などとよく評価されるように、強烈に美しいショットをひ との脳裏に焼き付ける力をもった監督だと思う。イタリアを舞台にした『ノスタルジア』の美しさは必見。「映画に愛され、選ばれた人」(蓮實重彦「タルコフスキーの亡命と死」所収『映画に目が眩んで』/中央公論社)。

 以下のフィルモグラフィーの他に、『ノスタルジア』と『サクリファイス』に関するドキュメンタリーが公開されている(未見)。


『殺し屋』

/監督:アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)、M・ベイク、A・ゴルドン

/1958/20分/ソ連/ロシア映画社

★★★☆☆  (2003/1/25: 日本イタリア京都会館)


『ローラーとバイオリン (КАТОК И СКРИПКА/Katok i skripaka)』

/監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)

/脚本:アンドレイ・コンチャロフスキー(Andrei Konchalovsky)/撮影:ワジーム・ユーソフ(Vadim Yusov)/音楽:ヴァチェスラフ・オフチンニコフ(Vyacheslav Ovchinnikov)

/キャスト:J・フォムチェンコ、V・ザマンスキー、N・アルハンゲルスカキ、他

/1960/45分/ソ連

★★★☆☆  (1987/?/?: 大阪毎日ホール?、2003/1/25: 日本イタリア京都会館)


『僕の村は戦場だった (Ivanovo Detstvo)』

/監督:アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)

/原作・脚本:ウラジミール・ボゴモーロフ、ミハイル・パパワ/撮影:ワジーム・ユーソフ(Vadim Yusov)/音楽:ヴァチェスラフ・オフチンニコフ(Vyacheslav Ovchinnikov)

/キャスト:コーリャ・ブルリャーエフ、ワレンティン・ズブコフ、E・ジャリコフ、ニコライ・ブルリャーエフ(Nikolai Burlyaev)、他

/1962/94分/ソ連

★★★☆☆  (1987/?/?: 大阪毎日ホール?)


『アンドレイ・ルブリョフ (Andrei Rublyov)——第一部 動乱そして沈黙・第二部 訓練そして復活』

/監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)

/脚本:アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー(Andrei Mikhalkov-Konchalovskii)/撮影:ワジーム・ユーソフ(Vadim Yusov)/音楽:ヴァチェスラフ・オフチンニコフ(Vyacheslav Ovchinnikov)

/キャスト:アナトリー・ソロニーツィン(Anatolii Solonitsyn)、イワン・ラピコフ、ニコライ・グリニコ、ニコライ・ブルリャーエフ(Nikolai Burlyaev)、ロラン・ブイコフ(Rolan Bykov)、他

/1967/182分/ソ連/モス・フィルム

★★★★☆  (1987/?/?: 大阪毎日ホール?)


『惑星ソラリス (Solyaris)』

/監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)

/原作:スタニスワフ・レム(Stanislaw Lem)/脚本:フリードリッヒ・ガレンシュテイン/撮影:ワジーム・ユーソフ(Vadim Yusov)/音楽:エドゥアルド・アルテミエフ(Eduard Artemyev)/助監督:ラリッサ・タルコフスキー(Larisa Tarkovskaya)

/キャスト:ナターリヤ・ボンダルチュク(Natalya Bondarchuk)、ドナタス・バニオニス(Donatas Banionis)、ユーリ・ヤルヴェット(Yuri Yarvet)、ニコライ・グリニコ、アナトリー・ソロニーツィン(Anatolii Solonitsyn)、ウラジスラフ・ドヴォルジェツキー(Vladislav Dvorzhetskii)、他

/1972/165分/ソ連/モス・フィルム

★★★☆☆  原作はスタニスワフ・レム(ポーランド)の『ソラリスの陽のもとに』(飯田訳/ハヤカワ文庫)。人間精神の想念を物質化する惑星ソラリスを調査する宇宙ステーションが舞台。自殺した妻の姿に主人公が苦悩する。この星は癒しをもたらすのか狂気に人を追いやるのか。 (1987/?/?: 大阪毎日ホール?)


『鏡 (ЗЕРКАЛО/ZERKALO)』

/監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)

/脚本:アレクサンドル・ミシャーリン/撮影:ゲオルギー・レルベルグ(Georgii Rerberg)/音楽:エドゥアルド・アルテミエフ(Eduard Artemyev)

/キャスト:マルガリータ・テレホワ(Margarita Terekhova)、オレーグ・ヤンコフスキー(Oleg Yankovskii)、他

/1975/108分/ソ連/モス・フィルム

★★★☆☆  (1987/?/?: 大阪毎日ホール?、2001/10/21: VTR)


『ストーカー (СТАЛКЕР/STALKER)』

/監督:アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)

/原作・脚本:アルカージー・ストルガツキー(Arkady Strugatsky)、ボリス・ストルガツキー(Boris Strugatsky)/撮影:アレクサンドル・クニャジンスキー/音楽:エドゥアルド・アルテミエフ(Eduard Artemyev)/助監督:ラリッサ・タルコフスキー(Larisa Tarkovskaya)

/キャスト:アレクサンドル・カイダノフスキー(Aleksandr Kaidanovskii)、アナトリー・ソロニーツィン(Anatolii Solonitsyn)、アリーサ・フレインドリフ(Alisa Freindrikh)、他

/1979/160分/ソ連/モス・フィルム

★★★★☆  原作(+脚本)はストルガツキー兄弟の『ストーカー』(深見訳/ハヤカワ文庫)。なぞの事故(宇宙人による?)によってつくられた「ゾーン」に侵入し、そこからさまざまのものを密輸するストーカーを描く。SF形態(原作も)だが、ほとんど(宗教的)救いを求めての巡礼の旅に近い。「ゾーン」の中心にある<部屋>は願望をかなえられる神秘的な場所なのである。この意味で正統なタルコフスキー節なのだろう。
 作品内部で語られる、自殺した<ヤマアラシ>というストーカーのエピソードが問いかけるものは非常に重たい。彼は「ゾーン」内部の<肉挽き機>で死んだ弟が蘇ることを願って、再び「ゾーン」に侵入するが、<部屋>が与えたのは大金だったのである。かなえられる望みは無意識のものだという。
 ところで「ゾーン」は意図してかどうかわからないが、チェルノブイリの隠喩になっている。この観点は、西谷修の『戦争論』(岩波書店)による。 (1987/?/?: 大阪毎日ホール?)


『ノスタルジア (Nostalghia)』

/監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)

/製作:レンツォ・ロッセリーニ(Renzo Rossellini)、マノロ・ボロニーニ(Manolo Bolognini)/脚本:トニーノ・グエッラ(Tonino Guerra)/撮影:ジュゼッペ・ランチ(Giuseppe Lanci)/助監督:ラリッサ・タルコフスキー(Larisa Tarkovskaya)

/キャスト:オレーグ・ヤンコフスキー(Oleg Yankovskii: アンドレイ・ゴルチャコフ)、エルランド・ヨセフソン(Erland Josephson: ドメニコ)、デリア・ボッカルド(Delia Boccardo: ドメニコの妻)、ドミツィアーナ・ジョルダーノ(Domiziana Giordano: エウジェニア)、他

/1983/126分/伊=ソ連/RAI、オペラ・フィルム=ソヴァン・フィルム

★★★★★  主人公はアンドレイ・ゴルチャコフというロシアの詩人。彼は、イタリア留学して帰国後自殺したあるロシアの音楽家の伝記を書くために、イタリアを来訪する。そこで彼はドメニコという狂信者に出会う。世紀末が来たと信じて7年間も水浸しのあばら屋に閉じこもった男ドメニコ。ゴルチャコフは彼に会い世界を救うためにあることをするように懇願される......。(全文) (1987/?/?: 大阪毎日ホール?、2000/8/18:VTR)


『サクリファイス (Offret/ Sacrificatio/ LE SACRIFICE)』

/監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)

/製作:アンナ=レーナ・ヴィボム/撮影:スヴェン・ニクヴィスト(Sven Nykvist)/音楽:J・S・バッハ

/キャスト:エルランド・ヨセフソン(Erland Josephson)、スーザン・フリートウッド(Susan Fleetwood)、アラン・エドワール(Allan Edwall)、他

/1986/149分/仏=スウェーデン/スヴェンスカ・フィルム=アルゴス・フィルム

★★★★☆  (1987/?/?: 京都大宮スカラ座?)


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