100.片翼の天使
片翼の天使達はうっすらと微笑んでいた
悠久の時は 今 終焉を迎えようとしていた
遠くに見えていた輝きは さらに遠くなっていった
いつまでも雪が降っていた
白い世界が彼方へと続いていた
「君は 優しいね」
僕はつぶやいていた
残酷な程 優し気な目は微笑んでいた
君は隠し持っていた
優しさと言う名の 凶器を・・・・・

99.遠い曲線
白くたなびいた雲が いくつもあった
夕暮れの街並は
灰色の虚空の中で
わずかに 歪んでいた
はるかに見えた曲線は
ゆるく波打っていた
空へ のびている道は
どこまでも真直ぐだった
曲線の向こう側は見えなかった
僕はそっと 見ていた・・・・・

98.新しい問い
いつもそこにある 新しい問い
新しい問いは 自然に生まれ 消えてゆく
解決するものもあれば 埋もれて行くものもある
僕の中では 問いは自然に生まれ 誘発を生み
いずれ 消えてゆく
しかし 消えた時には それに変わる問いが生れる
問いが問いを生み 答えは答えを生まない事が掟であるように
まだ おおらかなドラゴンは いるのであろうか
僕に始めて問いを投げ掛けた あの おおらかなドラゴンは
そして 答えは悠久の風の中に・・・・・

97.5
5には思い出がある
別に好きでは無かった
消えてしまった背中が 5だった
いろいろな時があった
面影は微笑むだけだった
今 ふと想えば
答えは簡単な事だった
優しさ 弱さ 強さ 惨めさ 憎さ
いろいろな形を見せて
5は消えてしまった
僕は 5は好きではなかった・・・・・

96.隙間
ふと気がつくと 隙間が開いていた
風が入ってくる
肩ごしの気配は かき消されていた
暗闇に一点の赤が点っている
繰り返し 繰り返し
隙間が開いていた
時間に 空間に
指先の冷たさが 総てを語っていた
隙間が開いていた・・・・・

95.カマキリの夏
薄緑のカマキリがいた
白い海の中で もがいていた
夏は遠く 紅に染まっていた
一瞬の記憶が そこにはあった
真空の記憶は消されていた
カマキリが飛んでいた
虫とりアミのなかには なにもいない・・・・・

94.ため息
君がため息をついた
今まで見えていたものが 統べて形を失っていく
永遠は永遠の意味をなくし
無限は最果てを生み出してゆく
最果ての地は 見つかったようである
そして 僕の存在も意味をなくす・・・・・

93.見えない?・・・・
瞳を上げると 月が微笑んでいた
所々に 雲が浮かんでいた
雲の合間を丸い光が いくつもさまよっていた
いつもより ほんのちょっと低い雲は
未来に雨を呼んでいた
心地よい風と 切り裂くような風の間に 僕はいた
夜行性の者は夜行性であるかのように そこにいた
僕には見えていた
君には見えない?・・・・・

92.ブラウン管
僕は窓越しに雨を見つめていた
雫は僕の目の前で止まり 流れてゆく
ふと下を見ると 色々な傘が踊っていた
空には雲がなびいていた
遠くの雲の切れ間から 日射しが溢れていた
僕は・・・・・雨が降っていた
君は・・・・・晴れているのかい
ブラウン管は泣いていた
音は聞こえない・・・・・

91.紫
街には空がなかった
空には海があった
海には風があり
風には懐かしさがあった
紫の夕暮れは淋しさだけが のしかかっていた
君の笑顔は いつまでも あるような気がしてた
ユニコーンは いつまでも 同じ場所にはいられない
紫の空が 落ちていた
ユニコーンは・・・・・

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