90.モノクローム
モノクロームの季節に 二人は肩を並べて
夕暮れは 二人の影を長くしていた
いつの間にか星が降りしきり
僕は空を見つめていた
サザンクロスは君の胸元で 輝いていた
フルカラーの景色に疲れた 僕達には
モノクロームの時間も大事だよ
寒い季節の暖かい
モノクロームの空・・・・・

89.ビデオテープ
機械的な街は 今日も動いていた
繰り返し 繰り返し
信号機は相変わらず 顔色を変えている
繰り返し 繰り返し
人々は 各々に行き来している
繰り返し 繰り返し
今日は 何日 何曜日
繰り返し 繰り返し・・・・・

88.女神
砂漠に女神が たたずんでいた
セピア色の砂と モノクロの空
金色に輝く髪に 白い指先
瞳は 何処をともなく 見つめていた
横顔は淋しげに うつむいていた
足元のサソリは息を潜めていた
僕は 空を見上げた
星々の輝きは見えなかった
朝には君はいなかった
アルテミスよ・・・・・

87.遠近感
朝に 夜に 石段に 教会に
海に 山に 駅に 港に
丘に 草原に 川に 滝に
木に 草に 景色に 思い出に
木枯らしに 春風に 五月雨に 天気雨に
黄昏に 明け方に 地上に 地下に
つり橋に 鉄橋に 峠に 道に
並み木道に 街路樹に 光に 闇に
君は何処にいる
僕は ここにいる・・・・・

86.キャラバン
砂漠の中に 僕はいた
砂漠の色は 何処までも変わらなかった
僕のグループは何処へ向かっていたのか
何も無い 太陽だけが そこにあった
出会った他のキャラバンは 楽しげに話しかけてきた
一時の笑顔が 優しかった
各々の旅人は 再び 各々の道へ歩き出す
友情と言う名の荷物を積んで・・・・・

85.迷図
迷図に陥っていた
壁は自分で作ったものなのか 他人が作ったものなのかすら
わからなくなっていた
目の前に あることだけが 明確だった
心に 幾千の星があった
星は壁を貫いて行く
星々は輝きを増して行く
心の迷図
いつ クリアできるのかな・・・・・

84.さりげない・・・
さりげない空間に さりげない言葉が落ちていた
さりげなく空を見上げれば さりげない月が微笑んでいた
さりげない音は さりげなく心を癒し
さりげない海は どこまでもさりげなく青かった
雨が降り出すと 街灯はさりげなく輝き出す
さりげなく歩いていた二人は
さりげない会話をしつつ 離れた
風は さりげなく 見送った
何処までも さりげなく・・・・・

83.つ・ば・さ
砂浜は 声が消えていた
やけに静かに感じられる
音の間に 空間が存在していた
空間は しだいに大きくなっている
闇は闇になっていた
月は雲に隠れ 光りは粒子になって 降り注いでいた
暗闇の ライトは 回っていた
風は優しく 包んでいた
海は 漆黒だった
光りの粒子は 波の上で星になっていた
見えない翼は 星々の間をすり抜けて行った
心の指先からは 砂が落ちて行く・・・・・

82.ガラスの月
ガラスの向こうに月があった
ガラス越しに月があった
ガラス越しの月はゆがんでいた
月明りは散乱していた
影も また 散乱していた
きらきら輝いている月は いくつもあった
影も また いくつもあった
花は永遠を求め 咲いていた
月は 愛しく輝いている
光りの中に花は咲いている
無限の心の中に 無限の色をうめてゆく
月が囁いた
負けないで・・・・・

81.メビウス
メビウスの環の中にいた
メビウスの環を造っていた
再び 君に逢うために
あの頃はメビウスを造らずにいた
一方通行になるように
グレーの柱が いくつも建っていた
メビウスは かいくぐるように 存在してゆく
グレーの柱は 数を増して行く
その度にメビウスは大きくなってゆく
メビウスの環を抱いていた
君に再び 逢うために・・・・・

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