50.空の中
オレンジ色の夕焼けが今日も見えていた
グレーや白の雲は 幾重にも重なり
重厚な色合いを醸し出していた
空は奇麗なグラデーションを映し出していた
しばらく それを見ていた僕は ふと気になった
確かに奇麗だが もっと奇麗だったような
忘れるべくして忘れていった 記憶の中には
空の中の色が わずかに残っていた
飛行機雲は細く たなびいていた
空の中には きっと もっと 美しい空があるんだね
ジェット音が遠く かすかに聞こえた
ぼくは ちょっぴり 微笑んだ・・・・・

49.遠吠え
暗闇に遠吠えがこだましていた
青い空は何処までも青く
緑の山々は どこまでも高くそびえていた
河は濁り 茶色い渦をまいている
狼は寂しげに吠えていた
危機は そこまできている
自然の中の自然ではない部分が動き始めている
そして自然すら自然に忘れて行くのだろう
狼達は いつまで 青く澄んだ瞳をしていられるのだろうか
暗闇に遠吠えが聞こえていた
美しくも悲しげな遠吠えが
暗闇に 吸い込まれて行く・・・・・

48.音
音が聞こえる
2人の戦士の間に
剣をふりかざしている
しかし、互いは互いを傷つけない
音だけが響いている
太陽は熱く登っていた
黄色い月は 寂しげに2人の間を 行き来している
どちらかが 月を見放したときに 決着がつく
木々達は 息をひそめていた
やがて 力尽きた戦士は 月を見放した
月は3回はずんで 止まった
そして 新たな月が登っていた
音が聞こえる
広い草原に・・・・・

47.夕暮れ
僕には見えなかった
あの日の夕暮れは 今も変らずにあるのだろうか
僕には見えていた
君の唇が震えていたのが
僕には見えなかった
さよならを言った君の姿が
僕には見えていた
金色の雲が
今でも 見えるのだろうか
金色の雲と あの日の君が
さよならを言った君の姿が
僕には見えていた
遠ざかって行く
君の姿が・・・・・

46.KU・HAKU
そこは 真っ白は部屋だった
音もなく時もなかった
雨が降っている
映像だけが流れてゆく
風が吹いているのか
木々が揺れていた
白い波は 脳裏のなかで
さざ波へと変化してゆく
やがて イルカ達が舞い
泳いでゆく
白い波に包まれながら
いつしか僕は眠っていた
あの人だけを待ちながら
何も聞こえない・・・・・

45.シルバーグレイ
闇の中に大勢の狼がいた
静かにたたずんでいた
戦いの前の ほんの一瞬の空間
時が止まった
観衆の雄叫びと共に
狼達が吠え出す
瞳は遠く地平線を見つめていた
目を見開き 狼達が一斉に走り出す
戦いは勝者も敗者も美しく映し出してゆく
シルバーグレイの狼達は 何を夢見ているのだろう
そこには 勝者も敗者もなく
祝福を全てのものに贈っていた
そして 伝説へ・・・・・

44.ジャングル
時間が無い・・・・・
月が出るまでに目的地につかないと
暗闇が襲う
何処にいるのか
魔術師は いつも呪文を唱えている
暗闇を暗闇とは思わない戦士には
闇の中に輝く光が見えているのだろうか
闇は そこまで来ていた
目的地は もうすぐだ
どちらが早いか
戦士と魔術師は向き合っていた・・・・・

43.白の大群
そこは戦場だった
傷を受けたものが多数 存在していた
緑の回りには いつも複数の白がいる
騎士は思いつめた顔をしている
騎士の隣には 援護の騎士がついていた
二人は歩き出した
戦場は どこにでも存在している
緑の支持は聞こえない
白は白としての役割を果たしていた
戦場の安息は ごくわずかな時間だけであった
だれ一人として戦いをやめない
戦いをやめたとき
戦いは続くのだろう・・・・・

42.ユ・ウ・ウ・ツ
窓から光りが差していた
僕は教室の窓から外を見ていた
グランドでは男子生徒が走っていた
先生は教科書を片手に 黒板に文字を書いてゆく
空は どこまでも青い気がした
雲は どこまでも白い気がした
形あるものは いつか壊れるのだろう
形のないものでさえ 壊れるのだから
ただ あの頃の僕はここにいる
そして 今の僕も ここにいる
僕は 窓の外を見ている
生徒の姿は消えている
空は どこまでも青い気がした・・・・・

41.SA・KU・RA
花びらが散っている
春を過ぎてしまったようだ
桜よ・・・・・
君達は おおらかな日差しの元に咲き誇り
おおらかな日差しを独り占めするかのごとく 咲き乱れ
人々の目を奪い
やがて 散ってゆく
記憶の中に その姿を刻むように
優しげに・・・・・
寂しげに・・・・・
いつまでも いつまでも
永遠に・・・・・

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