390.聞こえるかい
僕の叫び声が
途端に言葉を失うブラウン管
伝わらない言葉
いつ止まるか分からないモニター
時間がスピードを増して行く
うまく伝わらない
僕の呼ぶ声が
聞こえるかい・・・・・

389.キャンバス
人は皆 歩き続けていた
僕はキャンバスの中にいた
白でも無く 黒でも無く
青でも無く 赤でも無かった
僕がキャンバスだった
街の風景は 今も少しずつ
形を変えて行く
時の流れは 今も少しずつ
形を変えて行く
僕のキャンバス
何色にする・・・・・

388.水たまり
流れて行く流れて行く
数々の水たち
離れて行く離れて行く
数々の水たち
ビロードが微笑んでいた
水たまりには 自分の顔が映っていた
飛び越えるのかい
それとも 昔のように
わざと水を弾いてみようか
ほら 子供に戻ってさ・・・・・

387.盾
僕の前にいる僕よ
君と話している誰かは
僕とは話していない
僕と話せないのかも知れない
僕の前にいる僕よ
僕と話をしているかい
僕の前にいる君よ
僕には何も聞かないんだね
僕の前にいる僕よ
僕は君なのかい
僕の前にいる僕よ
僕は僕に何でも
聞いて欲しいんだ・・・・・

386.片翼の天使/壁
透明な 何処までも透明な壁の中に
片翼の天使は いた
何をしているの
何処へ行くの
わからない
壁の向こうには 普通があった
普通の向こうにも 普通があった
普通
それは 君の普通だろう
僕の普通は 君の普通とは
違うかも知れないよ
片翼の天使は
空を見上げた・・・・・

385.ユニコーン
深い森の中
まだ見た事もない森の中
ユニコーンが棲んでいた
ユニコーンは いつも独り
ユニコーンは 寂しがりや
木々達の歌を聞いていた
大地の歌を聞いていた
空の歌を聞いていた
ユニコーン その秘められし力
ユニコーン 寂し気な瞳
ユニコーンよ・・・・・

384.いくつかの・・・・・
路上に兔が並んでた
寂し気な表情を浮かべてた
鳥かごに鳥はいない
兔は楽し気に 取り繕っていた
鳥かごに鳥はいない
鳥かごは鳥かごでは 無くなっている
兔は赤い目をして 微笑んだ
寂し気に・・・・・

383.夜光灯
キラキラ キラキラ
赤に光が集まっている
白に光が集まっている
何処で見ているのだろう
何処で見つめるのだろう
白い息がさんざめいている
軽く消えて行く
暖かさは手のひらの中にあった
見えるかい
さんざめく光の囁きが・・・・・

382.片翼の天使/彼方
歩き出す影が寂しかった
片翼の天使は見ていた
両翼の天使がうっすら笑っていた
片翼の天使が立ち止まる度
足下の大地は叫んでいた
アスファルトが冷たかった
足音が響かなかった
片翼の天使は
ここにいる・・・・・

381.未だ鳴りやまず
止まらない 止まれない
あの日から
動けない 動かない
あの日から
秋の陽が ゆっくりと
角度を変えて行く
目を覚ますには
まだ 明るすぎる・・・・・

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