380.十字路
秋の雨が霧のように佇んでいた午後
すれ違う人の群れの中に僕はいた
いつもの道
いつもの音
何も変わらないものがそこにあった
徐々に変わって行くものがそこにあった
過ぎてゆく時間の中で
忘れ去られて行くもの
思い出すもの
懐かしむもの
刻んでいけるのだろうか
心のクロスロードに・・・・・

379.不知火
ひとつ ひとつ
あるくの ひとつ
ふたつ ふたつ
はなびら ふたつ
みっつ みっつ
みかづき みっつ
よっつ よっつ
やみよに よっつ
いつつ いつつ
いつまで つづく
むっつ むっつ
むじゃきに むっつ
ななつ ななつ
しらぬい ななつ・・・・・

378.片翼の天使/呼び声
僕の呼び声が届かない
海底に沈んでる
片翼の天使は岩場の上に座ってる
覗き込んだ
漆黒の海は答えない
片翼の天使はうつむいた
呼んでみた
かすかに 波が微笑んだ・・・・・

377.呼び止め
僕は暗闇の中 手をのばしていた
つかみどころの無い言葉
つかみどころの無い影
ふと気が付いた
気付かされた
あの時の言葉が 核心だった
そう あの何の意味も無い言葉が
全てだった
気が付かなかった・・・・・

376.宵待草
瑠璃高楼
咲き誇り
木々が叫んでいた
街路樹は首を傾げていた
足下に寂しさが浮かんでいた
見上げれば空がある
僕がほんの少しだけ
星に近かった
何も無い空に
ため息だけが浮かんでた・・・・・

375.空洞
街の中の空洞
人々は そこにいた
森の空洞 山の空洞
あるべきだった
海の空洞 空の空洞
あるべきだった
時間の空洞
君にはあったかい
今なら見えるもの
今だから見えるもの
君にはあるだろう
時間の空洞
想ったより大事かもね・・・・・

374.四角い空
僕の手のひらには四角い空があった
縞模様の雲が涼しかった
黒い猫は道ばたで寝ていた
石畳の上に昨日があった
空の彼方に明日があった
海の向こうに夢があった
僕の隣には何も無かった
四角い空だけが微笑んでいた・・・・・

373.後方の音楽
いつも僕の前には何も無かった
今は僕の前に何かある
でも すぐに無くなる
いつもそうだった
後方では音楽が鳴っていた
後方ではモニターが光ってた
意味の無い言葉
意味の無い風景
意味がある言葉
意味がある風景
封印されし記憶を解くのは
誰だい・・・・・

372.不安定の中に
何かが動き出していた
不安定さの中で
僕には気が付かなかった
僕には分からなかった
鏡の中の影は 影を為していた
いつまでも いつまでも
そこから動けないでいた
見上げた空には
少しだけ青空があった・・・・・

371.薄れ行く景色
僕の回りには
僕にしか見えない景色があった
しばらく眺めていた
長い間 眺めていた
色を無くした街並と
色を無くした部屋が
並んでいた
薄れ行く景色の中で・・・・・

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