260.見慣れない風景
信号機が点滅していた
人々は足早に渡っていく
僕は足を止めた
風の中 声が聞こえた
聞こえるはずの無い
声を聞いた
夕べ 夢を 見たよ
とても 良い 夢 だったよ
僕は信号機を眺めた
そうだね
そこには見慣れない風景だけが
風に吹かれていた・・・・・
259.片翼の天使／双頭
砂漠を彷徨っている
誰かが呟いた
片翼の天使は うつろな瞳で見上げてた
誰かが囁いた
片翼の天使は 聞いていた
何も響かない空間に
何も映らない空間に
片翼の天使は移動していた
虚空のハイウェイが
幾千もの光を繋いでいく
片翼の天使は
その先の闇を見つめていた・・・・・
258.片翼の天使／憂鬱
今日も片翼の天使が見上げてる
何もない空
全てある空
片翼の天使は座ってる
決められた場所に
決められた角度に
俯いている 見上げてる
見上げてる 俯いてる
見える明日
見えない明日
音はかき消されていった
そして 片翼の天使は
黙ってる・・・・・
257.RAIN・BOW
雨上がりの空に虹がかかっていた
池だらけの路面が弾けていた
黄色い長靴が飛んでゆく
幼心を無くした人形が踊ってる
笑ってる
天から見えない糸が
沢山の思いを込めて
刺さってる
虹に気が付くのは
誰・・・・・
256.クロスロード
色々な数字が
色々に乱雑に並んでいたように見えた
それは 乱雑では無く
ある一定の法則がある事に気が付いた
小鳥がさえずっている
僕は机の上の数字を眺めていた
光が差し込んで来る
木々達は行き場を無くし
消えていった
数字を眺めていると
答えが見えて来た・・・・・
255.MUGON
聞こえますか
聞こえませんか
届きますか
届きませんか
ありますか
ありませんか
見えますか
見えませんか
感じますか
感じませんか
俯きますか
俯きませんか
触れますか
触れませんか
近付きますか
近付きませんか
聞こえますか・・・・・
254.テリトリー
君はここにいる
テリトリーという欠片の中に
僕はここにいる
テリトリーという孤独の中に
各々の人々の中の
ささやかなテリトリー
ほら そこにある夢・・・・・
253.小犬
道ばたに小犬がいた
僕は気にも止めなかった
小犬は話し掛けて来た
僕は足を止めた
小犬は尻尾を振っている
僕は話し掛けた
小犬は耳を傾けた
僕は話しつづけた
小犬は首を傾げてる
僕の話は通じない
小犬は寂し気に俯いた
僕は瞳を見つめた
小犬は陽気に踊ってた
僕も陽気に踊ってた・・・・・
252.雨の中の雪
話していた
夏の日の午後
夕暮れに雨が降り出した
僕には傘が無い
話していた
路地で公園で
黒猫が足元で踊ってた
暗い空はグレーに染まっていた
雪が降っていた
まだ雨やまぬ
真夏の夜に・・・・・
251.片翼の天使／黒衣
目の前の砂漠が荒れていた
モニターは無意味な文字を写し出していく
湖から数本の枝が伸びていた
隣には 分からない椅子が置いてある
まだ 流されるのかい
それはそれで楽しいかい
刻 刻むだけの
空 見上げていた
片翼の天使は今日も
ここにいた
いつもの場所に
目の前に 黄色い蝶が
飛んでゆく・・・・・
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