250.遠吠え
遥か彼方の近い所で
遠吠えをしている者がいた
草原の遥かを
僕は見ていた
距離は距離と言う言葉を無くし
遠近感すら無くしていた
闇は闇のまま流れていた
もう少し
ゆっくり歩かないか
もう少し
眠ってみないか
狼の悲し気な
遠吠えを聞きながら・・・・・

249.意味を無くした部屋
夕日が涙
青空がため息
白い雲が憂鬱
オレンジの波が嫉妬
黒い猫が寂しさ
緑の木々が幸せ
グレーの石が沈黙
茶色の壁が眼差し
黄色い蝶が誘う・・・・・

248.記憶の中の豹
黒豹が見ていた
瞳は動かない
僕を見ていた
僕は動けない
何かを語りかけていた
その時は分からなかった
それは 今でも分からない
なんとなく
なんとなくは分かってきた気がする
空は青かった
どこまでも青かった
ただ 黒豹は
僕を見つめているだけだった・・・・・

247.言葉
世の中には いろいろな言葉がある
いろいろな言葉が溢れてる
路上に ビルに 地下鉄に
街はいろいろな言葉を知っている
今日も街は言葉で話してる
いろいろな言葉で
僕の言葉は いつも意味が無い
ただ 誰かの横をすり抜けてゆくだけ
ねぇ そうでしょう・・・・・

246.輝き
白い夜空に
それぞれの輝きを持ち合わせて
星々が集う
そんな夢を見た
あれは幼い頃だった
どんなに離れても
すぐ近くにそれはいた
今でも見えるのだろうか
白い夜空の
白い星達が・・・・・

245.氷の上
氷の上を 黒い点が
滑ってる 踊ってる
広い広い 地平線が見えている
跳ねている 飛んでいる
どこにも ここにも
何もない
見えるのは自分だけ
見えるのは地平線だけ
黒い点は 存在を
失していた・・・・・

244.影の踊り子
憂鬱な街影に 一人踊ってた
誰にも気がつかれず
誰にも触れられず
まだ 幼い瞳が僕を見た
母とはぐれたの
愛にはぐれたの
僕は心で問い掛けた
痩せっぽちな踊り子は何も言わず
路地に消えていった
寂し気な泣き声だけを
残して・・・・・

243.しずかなみずうみ
緑の器の中に
黄色い 湖があった
白い指先で触れると
かすかに揺れた
目を閉じると
わずかな 時が動いた
軽いめまいの中
目を開けると
そこには 湖は無かった・・・・・

242.砂漠の雲
茶色い砂漠に
茶色い雲
白い壁に囲まれていた
生暖かい風が吹いていた
風に乗り 砂が舞っていた
黒い瞳は
ゆっくり まばたきをしていた
時間の波が
砂漠の砂をかき消していった
そろそろ 旅立とうか・・・・・

241.乱雑な影
箱の中に それはいた
それは たくさんいた
まとまったり
離れたりしている
均等な形であるがための
不釣り合いな影
見えない風景の中の
見えているもの
乱雑な影は今日も
集まっていた・・・・・

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