170.銀の翼
気色が流れてゆく
山 川 全てが飛び去ってゆく
銀の翼は 僕の手の中にあった
四本の脚は しっかりと大地を掴みながら
早さを増してゆく
大蛇は僕の行く手をさえぎる
銀色の翼は 雄叫びを上げながら
突き進んでゆく
やがて大蛇が姿を消すと
そこには
青空と白い雲
そして 限り無い地平線が見えた・・・・・

169.雲 香る
雲 香る
風 渡る
空 翔る
海 映える
大地 囁く
木 歌う
山 騒ぐ
川 流るる
緑 生まれる
春 開く
夏 注ぐ
秋 燃える
冬 佇み
宇宙 まわる
僕 いずこ・・・・・

168.蜃気楼
僕は夢を見ていた
ずっと ずっと
僕は遠くを見ていた
きっと きっと
白い四本の枝が クリ−ム色の幹を包んでいた
分けの分らない話を 聞いていた
何となく 楽しい
何となく 淋しい
雪の中に 言葉が溶けてゆく
僕には関係無いかな
檻の中の蜃気楼は今日も瞬いていた
そして 僕を悲しく見つめていた
どちらが檻の中かな・・・・・

167.思い出
風は黄金色の草原を さらに黄金色に染めて行った
僕の中では あらゆる空間が
あらゆる空間と繋がっていた
目を閉じれば 何処へでも行けた
微熱は空間を歪めて行く
見た事も無い空間は
やがて 見た事のある空間へと変る
見た事のある空間は
やがて 思い出となる
現在 未来 過去
全てが思い出であり
全てが現在であった
そして 見た事も無い空間も
思い出になる・・・・・

166.星
暗闇の空に 無数の星が語っていた
僕は 空の扉を叩いた
星々は 嬉しそうに瞬いた
僕は呼んでみた
星々は一斉に答えた
小高い丘の 海風が心地よく騒ぐ草原の
緑の 闇の中の
まるで深海魚の夜光灯のような
かぼそい光の海よ
僕には 聞こえるよ
君たちの声が
囁きにも似た
悲し気な声が・・・・・

165.忘れ物
僕は忘れていた 大事なものを
僕は忘れていた あの夏の日を
ランニングに短パン
僕は忘れていた 忙しい日々に
僕は忘れていた あの暑い日を
どこへ置いて来たのだろう
虫捕りアミに虫カゴ
麦わら帽子に よごれた靴
どこへ置いて来たのだろう
いろいろな思い出
忘れていた
僕は忘れていた
陽射しに微笑んでみた・・・・・

164.黄色い翼の救世主
ずっと そこにいた
空間が 全ての空間が一瞬止まった
時が 全ての時が凝縮した
微笑んでいた
マゼンタカラーの髪が たなびいていた
僕は 話していた
心の もっと心の
強さと優しさと
気がつくと どこかへ去っていた
気がついた
さみしさと はかなさと
今度は いつ現れるのか
救世主 淋し気な救世主
気がついた
淋し気な黄色い翼の救世主と・・・・・

163.水の中の空の中
淋しい
淋しいよ

淋しいよ
でも 淋しいって言わないよね
そうだね
どうして
言うとうつるから
そうなの
そうでしょ
そんなものかな
一人で居れば淋しいさ
うん・・・・・
でも 今は君がいるでしょう
うん・・・・・
だから 淋しくないよ
・・・・・
だから 淋しいって言わないのかもね・・・・・

162.水面下
水面下を泳ぐ 赤と青を僕は見ていた
綺麗な水は いつまでもそこにあるかのように思えた
赤い魚は 川上へ
青い魚は 川下へ
それぞれ 泳いで行った
僕は 川を覗き込んだ
何もなかった
何もいなかった
いつからだろう
さみしいね・・・・・

161.龍炎界
一瞬 時が止まった
アマゾンの風が心に吹いていた
心の奥の炎が目覚め始めていた
振り向くと
強大な岩盤が目の前にあった
僕の背中には翼があった
あの頃と同じ様に
山頂には廃城が見える
おおらかな翼よ
空へと誘う
瞬く光の霧の中
龍達が集まって来る
再び 時が動き始めると
僕は ここにいた・・・・・

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