110.ハープ
引いていた
波の挟間に
呼んでいた
向こう岸で
泣いていた
君は
手を降っていた
夕陽は
揺れていた
金色の水面が・・・・・

109.月の雫の望遠鏡
月の雫の望遠鏡 君は無く
月の雫の望遠鏡 君は泣く
星の光の魔術師よ 僕は無く
星の光の魔術師よ 僕は泣く
鏡の世界のペテン師よ 君は無く
鏡の世界のペテン師よ 君は泣く
夕暮れの時の女王よ 僕は無く
夕暮れの時の女王よ 僕は泣く
光りの翼の悲しさよ 君は泣く
闇の翼の悲しさよ 僕は泣く・・・・・

108.壷
ドアの向こうに壷が置いてあった
変わった所は無く 普通の壷だった
青みがかかった壷だった
ちょっと叩くと 不思議な音がした
不思議な感覚に 不思議な会話が続いていた
訳の分からない会話に花が咲いていた
時間は空間の存在により早さを変えてゆく
時に早く 時にゆっくりと
壷は壷のまま そこにあった
一匹の猫が泣いていた
壷は何も言わず 時を感じていた・・・・・

107.三人の騎士
三人の騎士が丘の上にいた
僕は手をのばしてみた
僕は走ってみた
丘の上の騎士は 表情を変えずに立ちつくしていた
時間の壁は 僕の前に 形を変えながら存在していた
意味の無い存在
意味のある存在
綱渡りの綱は 真直ぐに伸びているだけだった
楽しいのか 悲しいのか
ピエロは・・・・・
三人の騎士は馬にのり 去ってしまった
届かないのか・・・・・

106.ガラスのカゴ
外は見えているんだけどね
そうだね
なにか足りないんだよ
うん 僕も そう想うよ
壊してみようか
やめておいたほうがいいよ
どうして?
仕方ないんだよ
そうなのかい?
うん 仕方ないんだよ・・・・・
じゃぁ もうちょっと 一緒にいようか?
そうだね・・・・・ ありがとう・・・・・

105.クリスマス
あれから どれくらいの時が流れたのだろう
キャンドルの光りは道路を照らしていた
ホワイトクリスマスにはならない 街にも
それぞれのホワイトクリスマスが降り立つように
雪の記憶は あの日のように月明かりの中で今でも輝いていた
時の流れが 叫び声を上げていた
悲しいだけのジングルベルが響いていた
瞳を上げると 雪が舞い降りてきた
瞳の中に積もってゆく
やがて、頬をつたった・・・・・

104.三人の女神
三人の女神が話し合っていた
鍵のかかった小部屋で
三人の女神が話し合っていた
時という波の狭間で
風が全ての色を変えて行く空間で
三人の女神は微笑んでいた
時が全てを生んだ時 共に生まれ
時が流れてゆく時 生まれ
そして 時が終わる時 生まれる
三人の女神はゆっくり歩き出した・・・・・

103.騒音の中の小鳩
小鳩はおびえていた
大気のうなりは間接的に小鳩に襲いかかっていた
いつになったら飛び立てるのか
小鳩の意志にかかっていた
勇気は・・・・・
そして 全ての力は・・・・・
飲まれるのか 解き放つのか
それは 小鳩だけが知っていた
そして 僕は・・・・・

102.行方
天が騒いでいた土曜日
人々も騒いでいた
うなり声は時として静寂となった
歪んだカーテンが風に揺られ 歪みを戻してゆく
日射しの向こうには何が見えたのか
丘の上の狼は そっと眠っていた
湖はゆっくり変わって行った
全ての行方は・・・・・

101.羊の瞳
雲が月の間を通っていた
軽く横たわった月は 金色の指先で それをもてあそんでいた
砂漠のラクダ達は 憂鬱な中に 湖を探していた
暗闇の中の金色の指先は どこまでも細く澄んでいた
羊の瞳は 輝きを増していた
やがて朝になると羊も眠る
そして太陽が昇り 羊は次の夜を待つ
羊の瞳は月の色・・・・・

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