読みませ、時代小説。
其の三 : 夢枕獏編


 夢枕氏、イロイロな分野の作品を書いていらっしゃいますが、とりあえず、
 時代小説の分野にはいるであろう、話題の「陰陽師」シリーズを。

  時は平安。希代の陰陽師・従四位下(注:陰陽師は役職)である安倍清明と、
 彼の親友とでもいいましょうか、源博雅朝臣が、様々な不可思議な体験を
 しております。そういった不可思議な事件自体も面白いのですが、
 私は、清明が語る「呪」の話が面白くってなりません。
  例えば。
 笛の音を聴いても感動する者としない者、美しいと思う者と思わない者がいる。
 つまり、音楽自体が美しいのではなく、音楽を美しいと思う心が、
 音楽に美しいという「呪(しゅ)」をかけている、といったような主旨かな。
 うまく要約できてませんが・・・。
 「美」も「醜」も、石も樹も人も、「呪」をかけられているのです。
 この世のあらゆるモノは、その「モノ」と、それを認識する「あなた」がいて、
 初めて存在するということなのですワ。 哲学的だわ・・・。

 

TITLE   CONTENTS
陰陽師 文春文庫 「玄象という琵琶鬼のために盗らるること」「梔子の女」
「黒川主」「蟇」「鬼のみちゆき」「白比丘尼」
陰陽師 飛天ノ巻   now reading
陰陽師 付喪神ノ巻 文春文庫 「瓜仙人」「鉄輪」「這う鬼」「ものや思ふと……」
「打臥の巫女」「血吸い女房」

 


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