帰り道

 

 

帝丹小学校から帰る、いつもの帰り道。

少年探偵団のメンバーと別れたコナンと哀は、2人少し離れて歩い

ていた。

…何してんだろな、俺たちは。

コナンは、自分の斜め後方を黙って歩いている哀を、こっそり振り

返る。

いつものポーカーフェイス。楽しいのか、怒っているのかよく分か

らない。

それと同じで。

近づいたのか、離れているのか…いまいちよく分からない自分達の

関係。

こんな風に、少し離れて歩いているってのが、1番顕著に表れてい

るんだけどな。

そうコナンは思う。

だけど、これはいくら何でもひどすぎないか?

俺たちは一応…。

 

「なあ、俺たちって小学生だよな?」

「…は?」

いきなり振り向いて、何を言い出すかと思えば…。

哀は、いぶかしげにコナンを見つめた。

何か、思いついたかのような笑み。

やれやれ。今度は何かと思いながらも、その笑みがたまらなく魅力

的に見えるのは、困ったものだ。

「何なの、一体…」

哀の問いに、コナンはもう一度繰り返す。

「だから、聞いてんだよ。俺たちって、どこからどう見ても小学生

だよな?」

…解毒剤、早く作れっていう嫌味かしら…。

何だか、見当違いのことを考えてしまう哀。

それとも、お酒でも飲みたくなったとか…ああ、元の姿でも無理か。

考え込んでしまっている哀に、じれったそうなコナンの声。

「あーもう!答えろよ!」

「…まあ、多分高校生には見えないでしょうね」

何が何だか分からないまま、そう答える哀。

その答えを聞くや否や、コナンは満足そうにニヤッと笑うと、いき

なり哀の手を取った。

「なっ…」

ぎゅっと、指と指を絡ませて、コナンはしてやったりと笑う。

「じゃ、こんなことしても平気だよな♪」

手をつないだままさっさと歩き出すコナンに、哀は小さな声で抗議

する。

「あのねえ、工藤くん…。こんなところ、誰かに見られたら…」

その時、通りがかった公園の前で井戸端会議のおばさん達から声が

かかる。

「まあ、可愛いわねえ」

「この頃が、1番無邪気よねえ」

何も、言えなくなる哀。

そんな彼女に、コナンは少し照れくさそうに言った。

「だって、せっかくじゃねーか…。こんなこと元の姿じゃ、俺でき

ねーもん」

哀は、黙って肩をすくめてため息をつく。

そして、少しだけ笑みを浮かべた。

「…こういうのも、楽しまなきゃってことね」

「そーいうこと」

END


 

初の、超短編です。

なんとなく思い浮かんだので、書いてみました。

哀ちゃんは思いが通じたところで、絶対馴れ馴れしくはならないで

しょうから。

でも、光彦や歩美ちゃんに見つかったら、大変でしょうけど()

 

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