文学部第1回講義
「キン肉マンにおける国際社会の民族間問題についての若干の考察」



 さて、今日から講義が始まったわけですが、最初は何がいいか。まあ、そう考えまして、まずは日本人原論、のようなものをしようかと思いまして、「キン肉マン」の講義をしようかと思った次第です。
 まず、「キン肉マン」について、予習を怠った学生のために若干の説明をしますと、これは、「キン肉星」から来た超人・キン肉マンが、他の超人たちと戦いながら、友情を育て、成長していく物語なんですね。で、キン肉マンは、日本に降り立ったわけで、必然的に日本代表として超人オリンピックなるものに出場したりするわけです。
 この超人オリンピックには、当然、他の国からの代表超人が出場するわけなんですが、ここがひどい。どうひどいか、それを例を挙げて説明しましょう。
 まず、アメリカ代表のテリーマン。金髪に青い瞳の典型的なアメリカンボーイ、という感じの超人です。何も問題は無いじゃないか。と思われるでしょうが、彼の額には「米」の文字があります。アメリカ人は、自分の国のことを「米国」とは言いません。中国人も、アメリカは「美国」と言います。と、言うことは、このテリーマンは日本人なのです。金髪は、「Palty」ででも染めたのでしょう。青い瞳はカラーコンタクトです。昔、自分はアメリカ海軍将校クヒオだと言っていたコテコテの日本人詐欺師がいましたが、あのようなものだと考えればよろしいのです。
 まあ、これはいいのです。ほんのアメリカン・ジョークですから・・・。次に、ラーメンマンなる超人について語りましょう。この超人の額には「中」の文字。まあ、これは漢字の国、中国代表ですからよいのです。その姿は、弁髪。弁髪は清王朝の髪型です。清は征服王朝ですから、漢民族の国家ではありません。東北地方、満州族の国です。そう、ラーメンマンは中国代表でありながら、その多数を占める漢民族では無かったのです。しかも、このラーメンマン。どういうわけか、人気があり、「闘え! ラーメンマン」なる別のマンガにもなりました。作者、ゆでたまご氏が、便乗商売に出たのでしょうが、このラーメンマン。読者のオリジナル超人募集で誕生した超人なのです。つまり、ゆでたまご氏は、素人のアイデアをパクったのです。こうした日本人のモラルの低下は、ゆゆしき問題です。
 その他、インド代表のカレクックの頭部に乗っているカレーライスは純和風だ。とか、ベンキーマンの出身がインカって、どこやねん!とか、そんなことを語る時間は無いので、割愛します。
 さて、いよいよ、最大の問題について語らねばなりません。そう、ドイツ代表ブロッケンマン、およびブロッケンJr.です。その容姿は、見るからにナチスの将校です。しかも必殺技は口から吐く毒ガス攻撃。勝った時には右手を挙げる「ハイル・ヒトラー」ポーズ。おいおい、ユダヤ人もフランス人もイギリス人も黙っとらんぞ!しかも、ドイツ自身、ナチスへの反省が徹底しており、あれは自国の恥だと思っているのです。ということは、ドイツ人自身も激怒するはずで、こんな超人がいたら袋叩きになりこそすれ、代表には決してしない筈です。これは、「新しい歴史教科書」以上の問題があるはずなのですが、今のところ、諸国からの批判はありません。これは、国際政治における不可解さの一つですが、そうした問題は、いずれまたどこかで語りましょう。
 さて、そういったところで、本日は時間となってしまいました。次は、作家になろうと思っている学生は必見の講義になるかと思われます、「神々の血脈の文章構成論」をしようかと思っております。学生の皆様は、それまでに西谷史氏の名著「神々の血脈」(角川スニーカー文庫、全10巻)を読んで予習しておくように。ああ、ちなみに、この本は、大学生協にも、普通の書店にも置いていないので、古本屋で探すように。
 

ハウス!