あの事件が起きたのは、4年前だ。
季節はいつだっただろうか?忘れてしまった。
夜、寝静まっていると誰かが玄関のドアをノックしている。
ん?なんだ?
娘 「誰?」
私 「さあ?ちょっと降りてってみるわ。」
よ〜く聞くと、おじさんが哀願するような声で
「あけみ〜、あけみ〜」
と言っている。
だんだん声の調子が変わってきた。
家に“あけみ”という名の人物は居ない。
私は外灯を点けた。
それが合図のように、おじさんは突如暴君と化した。
「あけみを出せー!!そこに居るんだろう!!!」
玄関のドアを殴る・蹴る・怒鳴り散らす・・・とスゴイ騒ぎとなった。
私の言った「お間違いですよ。」
な〜んていうなまっちょろい声など、おじさんの耳にはもはや届くまい。
ここから50m以内に同じ苗字の家が家を含めて3軒もある。
もちろん親戚でもなんでもない。
このままでは玄関のすりガラスが割れそうだ。
かと言って、ドアを開けて「違いますよ」などと言える状況ではもはやない。
どうにもならないので110番通報した。
待っている間、その人はずっとドアを蹴り続け、殴り続け、怒鳴り散らしていた。
長かった。本当に長かった。
娘と二人、部屋の片隅で震えていた。
おまわりさんはまだ来ない。まったく・・・ドア割られて入ってきたらどうすんだよ!!
もう一度110番に電話して催促した。
まもなく、おまわりさんが現れた。
ハァ〜 フゥ〜 助かった。(T_T)
そこへ同じ苗字の当時高校1年生だったチーちゃんが来てこう言った。
「ごめんね、家出してきた友達を家で匿ってるの。
あのおじさんちの子なの。
お父さんがあーゆー風だから帰りたくないって逃げてるの。」
って知るかよ、んなこと。。。こっちはどんな怖い思いをしたか・・・
声が聞こえてるんなら、さっさと出てこいよー。
近所の人がなんと思っているか・・・だいたい想像がつく。(-_-;)
そのおじさんも、家で娘を囲ってたお宅も、翌日家にも近所にも謝りにきていない。
それから半年ほど経った頃、近所の人のお葬式に出るために、
葬儀屋さんのバスに乗り合って行ったときのことである。
隣に座った近所のおばさんは言った。
「なんかお宅、このあいだ夜中に騒ぎがあったみたいだけど?」
予想通り、あらぬ想像をしているらしく、興味深々て顔付きだ。
事情を話すと、“な〜んだ、つまらん”って顔してる。
私は思い切って言ってみた。
「もしかして、私が男女のモメゴトでもしてたと思ってたんですか?」と。
そしたらやはり図星だったようで、
「あら、いや〜ね。」
などと笑っていた。誰があんなおっさんと!!!(ーー;)
「他の方もそう思われているでしょうから、話しておいてくださいね。」
と一応付け加えておいた。
しかし、同じ苗字の人が近所に居るのはなにかと困る。
特に今回のお宅は留守がちで、郵便物もロクに見そうもない。
間違えて配達されても戻ってくるとは到底思えないからだ。
一度だけ、がらの悪いおっさんが2人、「ご主人いる?」と尋ねてきた。
彼はまだ帰っていなかったし、どう見ても“友達”とは思えない。
彼の友達はミュージシャン風というか所帯じみたっぽい人は居ない。
「たぶん一本西側の路地の同じ位置にあるお宅とお間違えかと思いますが・・・」と、おとなしく帰っていった。取立て屋風とでもいう感じだったので怖かった。
「あーそうかね、これは失礼。」
もう一軒のお宅はマトモだが、まだ税金の戻りが郵便為替だったころ、
郵便屋さんが、1度目の不在通知を正しく家に届け、
2度目の不在通知をそちらのお宅に届けた。
休日に郵便局に免許証と印鑑を持って行ってみると既に無かった。
郵便局も一体どうやって身分証明を確かめているのやら・・・
番地も名前も違うのに。
そのお宅はワザとってことはなさそうなので自分で取りに行ってきた。
「まー、すいませんねえ。ほんとうに・・・」
幸いまだ風も開けられておらず、バッグの中からおばちゃんが取り出して
無事、私の元に帰ってきた。
最近私は玄関のすりガラスごしに訪問者を確認して、
相手が郵便屋さんでも宅配屋さんでもなく、知らない人っぽい時は出ない。
近所のおばちゃんたちは「えみちゃん、居る〜?」と声を出すし、
うちの母は騒々しいのですぐわかる。
そして自宅の電話はまずセールスなのでほとんど出ない。
留守電を聞くのもわずらわしいので改めて取説を見てみたらいいものを見つけた!
「ただいま出掛けております。また、お掛け直しください。」オッ!!これだ!!ちょっと冷たいかなぁ〜とも思ったが、
さっそくそれにした・・・よって家の留守電は録音できない。!(^^)!
だって携帯電話でプライベートは全部すませられるんだもん。
今時、家電て必要なのかな?でも災害時は携帯が通じないかもしれないし・・・
基本料金がもったいないな・・・と思いつつ一応つないである。