神様<エッセイ3>

 

 わたしの家族は、父母私妹の4人家族である。
 わたしには、本当だったらふたりの兄もしくは姉がいた。
 母は、二度流産したのだ。
 そして三人目に生まれたのが、わたしだった。
 しかし、わたしが生まれるまで、母は父方の兄弟にものすごく責められていたらしい。
 『子をなさない嫁は、実家へ帰れ』
 母は直接その言葉を受けた。
 当時は、なにはともあれわたしという子供ができたので、表面上はよろこんでいたという。
 
 でもわたしはときどき思うのだ。
 本当にわたしは生まれた方がよかったのか。
 わたしが生まれなかったら。残念ながら三度目の流産ともなれば、母は実家に戻され、次のお見合いを待ったことだろう。それが決していい縁談になるかどうかはしらないが、そうなる可能性もまったくなくはない。そうしたら少なくとも母のマシンガントークに対応できる男が世の中にはひとりやふたりいたかもしれない。
 正直申し上げ、わたしとしては中高年の離婚については大賛成。
 私の両親に対する離婚についても大賛成。
 「子供のために」という逃げ文句が利かなくなった今、父も母も自分の好きなことを好きなようにしてほしい。 

 

 

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