エッセイ(1)

 

このサイトを覗いて下さっている方々は、どんな形にせよ小説もしくはそれに付随する様々なもの興味を持っていらっしゃることでしょう。

 私はその方々に聞いてみたいことがあるのです。

 <小説とは、いったいなんなのか?>

 私は小学生から中学生にかけて、物書きになりたいと思っていました。そして一番身近だった小説というジャンルにとびこんだのです。毎日のように、ノートに字を埋めていきました。いくつもの物語が私の頭の中で同時並行で進んでおり、「手がもっとあったら」と思うこともありました。

 ですが、それは突然来ました。

 私の書く物語には、中味がなかったのです。それは恐ろしいほどの空虚さでした。結局、小学一年生の書く作文を長く連ねただけにすぎなかったのです。

 私はそれに気付いた時、書くことを止めました。

 小説とは、フィクションです。私小説というのもありますが、それはあくまで「わたくし」を主人公に据えたフィクションのことだと思います。(文学論的なことはあまりわからないのですが)

 それに対して、ノンフィクションがあります。事実を事実そのままに伝える、事実をより詳細に実感として伝える。それがノンフィクションです。

 私は書くことはたしかに止めました。しかし、読むことは止めませんでした。むしろ、自分に適するスタイルを探すために、様々なジャンルの本を濫読し続けました。時代小説にはじまり歴史小説、SFもあれば文芸作品もある。時には古典にも手を伸ばしました。そこで私なりにある程度の結論が出たのです。

 

 私が書きたいのは、フィクションです。しかし、フィクションの中には必ず作者の現実がなければいけないと思うのです。作者が表面に出てくる必要はありません。ですが、作者のイメージする世界が確固として存在することを読者にも知ってもらうためには、作者の内部に現実がなければならないのです。

 私は今回2作をとりあえず書き上げて掲載してみました。

 そしてやはり愕然としました。私はどこにも存在していない。フィクションですらない。

稚拙さが表立ってしまって、恥ずかしくて恥ずかしくてしかたありません。

 私はどちらかといえば「いかに」書くかに固執するタイプかもしれません。「なにを」ではありません。人間を描こうとすれば、登場人物は作者を離れて個人の歴史を持つようになり、自然と様々な物事にぶつかるのです。作者が狙って「なにを」を用意する必要はありません。「なにを」は物語を書いていれば、おのずと生まれて来るものだと思います。

 これからも時間があるかぎり小説を書くことでしょう。悪戦苦闘しながら。もしよろしければ、これからもご高覧ください。そしてよりよいアドヴァイスをください。よろしくお願いいたします。

 
 

 

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