「たいふうさん さようなら。 またね」



きのうの夜から、たいふうさんがきた。
 
ぼくんちのまどを たたいたりして ぼくを こわがらせた。
 
きょうなんて、風にまじって雨も降っていて ほんとうに こわかった。
 
パパはこの頃かえってきてくれないし、ママはさいきん元気がない。
 
ぼく、さみしいよ。 ぼく、こわいよ。
 
それが たいふうさんのせいなのか、ぼくにはわからないけど・・・。
 
でも、ぼくはたいふうさんが だいすきになった。
 
だって、夕方になって、ママが笑ったんだ。久しぶりに笑ったんだ。
 
“見て・・・。台風が去ったから虹が出てるわ・・・。綺麗ね。虹は中々見られないのよ。”
 
ママの笑顔もきれいだったけど、にじもスゴクきれいだった。
 
たいふうさんは ママを笑顔にしてくれた。
 
にじはママを笑顔にしてくれた。
 
たいふうさんは人を困らせるけれど、
 
それに対する ごめんなさい のように きれいなにじを見せてくれた。
 
たいふうさん さようなら。  またね。
 
たいふうさん さようなら。  またね。



モドル?