読書日記 

 2004年1月

あけましておめでとうございます。今年もよろしゅうに・・。



 「主婦でスイマセン」 青木るえか 角川文庫

 年初めから、すんごい本を紹介します・・・。あらかじめ言っときますが、
 「部屋が散らかるのなんて許せない!汚れ物がたまるのなんてもってのほか」と
 いう人は、絶対読まないほうが・・・。物珍しさ通りこして卒倒しますよ。
 私はよく部屋が散らかってると言われるんですが(おのれの恥をさらしちまった・・)
 それでも人が病気になるような汚さまでは程遠いです。でも・・・!この著者の家で3日も
 すごしたらきっと病気になると思う!私は読みながら何度も呻き声をあげた・・・。
 ほんまに。何がすごいって、これを文章にして世に出すってのがすごい。
 自分の恥をここまでさらせるとは。
 いや、違うな。この人これを恥とは思ってないものな。しっかしこれは・・・旦那さんも
 汚さに耐性のある人なんだねきっと。でなければ結婚できねえぞこれ。
 (しかもこの人すごいお弁当もたされてるんだよ!まあそれは読んでみてくれい)
 
 それにしても「いやぁー!」と絶叫したところが多すぎて、抜粋できない。
 部屋の汚さとか、炊事関係の汚さとか、それは勿論なんだけど、私が個人的に一番
 ひいたのは「主婦と葬式」の章。だんなのお父さんの葬式(しかもだんな長男)に行こうと
 した時、喪服がどこにあるか分からない・・。引っ張り出してみると猫の毛だらけの喪服が。
 着てみると、サイズが合わず袖が二の腕に食い込み、ファスナーは途中までしか
 あがらない。それを誤魔化す為に夏なのに冬の上着を着て(汗だくになって)、
 おまけにストッキングは太ももが太くて膝までしか上がらない!(つーか買えよ!!!)
 なのにこの人はこのまま行くのだ!
 しかも行っても何をすることもなくしまいにゃ奥で寝てるという・・・。これは、もし私が
 お姑さんの立場だったら気絶するかも・・。長男の嫁がそんな汚かったら。
 そりゃないぜ・・と読みながら肩を落としてしまったわ。

 しかし部屋の汚さに関する記述は、もはや「壮絶」といってもいいようなもんだったが、
 これ、載せていいの・・・?とひきまくったのが「主婦と趣味」。この人に、タブーは存在
 しないのか・・!?もーなんでもありかい!
 
 読了後、「この本はダイエットにいいかも」と思った。ご飯食べる前に通読すると効能アリ。
 気持ち悪くなって食欲減退する。
 とにかく、ある意味すごい人だ青木るえかって。一回ご本人の写真を見てみたい。
 どんな人なんだ・・気になる。だんなとのツーショットも見たい・・・。
 
 2004.01.17




 「東京バカッ花」 室井滋 文春文庫

  私は「やっぱり猫が好き」の頃から室井さんが好きで。「居酒屋ゆうれい」もすごく
 良かったなあ。この人がたくさん本を出してるのは知ってたんだけど、今まで読む機会が
 なくて。で、今回読んでみたら、いかにもこの人らしい〜エッセイでした!(笑)
 大学時代の話。この人早稲田中退してたのか。7年もおったんかい!
 
 このくらいの年代の人の学生生活って、エッセイとかで読むとほんと面白いなあ。
 昔の方が破天荒なエピソードが多いというか。
 (この本では、そんな無茶苦茶な人は出てこないけど)
 大学生活を過ごした人なら「ああ〜」とうなずくことしきりの、なんか懐かしくなるって
 言うか、ほのぼのと読める一冊でしたv たまにはこういう本を読むのもいいねえ。
 面白いんだけどなごむ。 
 にしても室井さん、怪しいバイトしすぎです(笑)!
 ほんとうさん臭ぇ!そりゃ清涼飲料水飲まないって!
 まあそれもいかにも室井さんって感じ・・。

 2004.01.17

 

 
 
「バッテリー」 あさのあつこ 角川文庫

  この本は以前にもハードカバーの5巻を紹介したことがあるんですが。
 中学生くらいの子を対象にした児童書なんて、あまり部数のでないものだと思うのに、
 この本は1冊1500円と言う値段で、シリーズとして続けていて(年1のペースで)
 しかも数年の間に版を重ねている。異例なことだと思う。
 それに加えて今回の角川からの文庫発行!まだハードの方でシリーズが完結してないと
 言うのに。こんな形で文庫化されるのってすごい。よっぽど評判いいんだろうな。
 ていうかどういう運びで角川から出るようになったのか、そのいきさつが知りたい。
 
  ハードカバーの方でもってるのに買ってしまったのは、あさのさんのあとがきが
 のってると聞いたから。この人が自作について語るのなんて、教育画劇のHPでくらいで
 しか見たことないし。 あとがきでは
 「ただ十代であるというその一点の他に、何の条件も無く、少年であるがゆえに
  発光するものを信じたかった」

 と書かれていた。バッテリーという作品がこの言葉に凝縮されていると思った一文で
 あった。裏表紙の解説でも「これはほんとうに児童書なのか?」とあったが、
 本作はそれがゆえに児童書であるのだなあ、と、文庫を読み直して改めて思った。
 同時に愕然とした。

 私も初読時は、「小学生とか中1やのにこんな大人びた考え方するか?」と思ってた。
 でもそれは違った。思えば、自分が小学生や中学生の時だってこんなもんだった。
 大人が考えるほど子供は「子供っぽい」わけではない。この本を読んで、
 これ子供らしくないなあ、と考える時点でもう大人の考え方になってしまってるのだ。
 その意味で、あさのあつこという人は本当に、児童書っていうものが書ける人だと思う。
 児童書には「大人が考えた子供らしさ」っていうのを書いてるものが結構多い。
 でも「バッテリー」にはそれがない。これってすごいことと思う。
 そのことが、世代関係なしで支持されていることの理由なのではないだろうか。
 
 (今5巻の感想を見直してみると、なんか色々書いてるな。でも上記の文は、文庫を読んで 
 改めて思ったことをそのまま書きました。)

  多分、今年中にハードカバーの方で6巻が出て、それでこの作品は完結する。
 終わりを見届けるのは寂しいけど、でもとても楽しみなのだ。作者がどうやってこの
 作品で、「バッテリー」という関係性をどこに着地させてくれるのか。
 おそらくどんな形でも、十代の少年を書ききったこの稀有の物語の完成をみることが
 できる。本当にそれが待ち遠しい。

 2004.01.17



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