読書日記 2003年10月 ・・・最近傾向が偏ってきてますな・・音楽系に。 まあ、そのうち落ち着くでしょう。 |
〜また音楽関係の本なので・・・この3冊は軽めに紹介しますね!〜 「フィルハーモニーの風景」 岩城宏之 岩波新書 内容としては大きく2つに分かれていて、ベルリンフィル・ウィーンフィルという世界最高の オケについて、実際に指揮をした著者の視点での語りと、もう1つを大まかに分けると 様々なオケの舞台裏の話。 相変らず文章読みやすくて、指揮者ならではの裏話満載で非常に興味深く読ませて もらったのですが、この人ならでは!っていうのがやはり後半の裏方の人たちの話。 田中陸運という、運送会社があるらしいのですが、さて何故ここで運送屋さんの話が 出てくるのかというと、この会社はハープの運送専門!なんですね。というか、 気付いたらなっちゃってたよ〜というエピソードがすごい面白かった。 岩城さんはなぜかここの会社に一日入門(笑)して、ハープ運びの仕事を手伝っちゃうわけ なんですが・・。 エピソードを読んでて、色んな形で音楽にかかわる仕事があるんだなぁと 感心してしまった。ステージマネージャーとか、そんな仕事があることなんて全然 知らなかったし。 一つの演奏会が出来上がるまでには、色んな人たちが関わっているのですなぁ。 色んな意味で感心してしまった1冊でした。後、岩城さんはチャレンジ精神が旺盛だという ことを改めて思い知りました(笑)。こんな指揮者あんまおらんぞ〜(笑)。 「マエストロ、時間です〜サントリーホールステージマネージャー物語〜」 宮崎隆男 ヤマハミュージックメディア ↑上で紹介している岩城さんの本で、初めてステージマネージャーなるお仕事を知った 私ですが、よく見もせずに借りたこの本が、そのお仕事を生涯の仕事として取り組んだ 人の1代記であったとは・・。偶然とは面白いものですなぁ(年寄りか)。 これはクラシック好きなら知らぬものはいないホール、サントリーホールの 初代ステージマネージャーをつとめた方のお話。 ステージマネージャーとは裏方の最高責任者のことのようです。舞台のセッティングから 指揮者の面倒まで。はてはオケの団員の人生相談まで(笑)。 なんていうか・・この本読んでるとこれって、誰にでもできるってものではない、 人柄がものを言う仕事なんだろうなー。冒頭でこの方が退職された時のお別れ会 の様子が紹介してあって(小澤さん岩城さん・・その他すごい豪華な面子が)、 ああ、この人すごい皆に慕われていたのね・・と微笑ましい気持ちに。 サントリーホールができるまでの経緯が詳細に記されてあって、これ読んだらものすごく サントリーホールに行ってみたくなりました・・。い、行ったことないんだぁー! しかしやはり一度は行ってみたい。ああ・・。 にしてもホールが一つ出来るまでの道程はなんと大変だったことか。サントリーの 佐治氏はえらいなあ。こういう文化事業にお金を使う企業は素晴らしい!この方の場合 お金だけ出してあとは人に作らせるって姿勢じゃないところがいい。日本の企業は、もっと 文化事業(見せ掛けの、一回きりのものではなく)に投資するべきだ! ソニーの大賀氏のように・・あれなんて企業じゃなくて個人資産投資してるんだもんなあ。 すごすぎる。 (おっと話が脱線・・。) この本は、クラシックやサントリーホール自体に興味なくても読めますよ。楽しい裏話が いっぱいで十分楽しめる。(カラヤンの章など、ステージに出る前の指揮者の顔を見る ことのできるステージマネージャーならではの話で大変興味深い。) きっとすごくつらいこともたくさんあったんだろうけど、夢をもてる仕事っていいなあ、と 思いましたですよ。あと、後記の座談会おもしろい(笑)。 追記:宮崎さんの写真がいくつか載ってますが、この方若い頃はさぞかしもてもて! だったでしょうね。だって今の写真でも十分かっこいいですもん! 「小澤征爾とサイトウ・キネン・オーケストラ 1992−94」 木之下 晃/写真 下村満子/中河原理著 音楽之友社 さあもうなんだか趣味に突っ走ってる本のラインナップとなってまいりましたが・・・(笑) 先月斎藤秀雄の伝記読んでから興奮した私が探しあてたのがこの本・・というか 写真集。(写真と小澤氏へのインタビュー、それと文章で構成されています。) うわーーーいきたーい!!ページをめくればめくるほど行きてえ。じゅる。 1回・・一度でいいからこの目で本物をみてみたいっす。例え・・失望するようなことが あろうとも。 日本で、地方都市に音楽祭を定着させようというこの試みは、成功しているようです。 だって本当にチケット取りにくいらしいですから。 私の今のところの野望は、来年のチケットを取って2泊3日くらいで長野行くこと。 斎藤秀雄の本を読んだからにゃあいかんとあかんでしょうこれは! 外国では、地方都市で音楽祭なんてたくさんありますけど、日本にそれがなかったのは 当たり前ですね。だって伝統ないし。だからこの音楽祭がいつまでも(小澤さんがいなくなる ことがあっても)続いていってくれることを祈りたいです。 にしてもこの本の中で紹介されている過去の公演の豪華さと言ったら! ジェシー・ノーマンに演出ジュリー・テイモアに衣装がワダ・エミ、語りは白石加代子! のエディプス王って・・!すんげー。おっとこれビデオあるのか。見たいなぁ。 でもひょっとしたら廃盤になってるんじゃないのか・・? 小澤さんのインタビューでは、モーツァルトについての意見に大いに賛同!ですね。 天からふってきたような音楽。なので、今の私には手に余るというか耳に余るというか・・ うけとめきれません。ベートーヴェンも同じく天才であることは間違いないのですが、 モーツァルトは全く異質の天才のような気が。なんというか・・神様がのりうつってる みたい。でなければあんな発想・・・音符の並びは出てこないだろう、と。そらサリエリも 絶望するわ・・とこれはアマデウスの話でしたな(笑)。 サイトウキネン関連の書籍はまだ他にもあるみたいなので、目を通してみることに します。水戸管弦楽団の本は読んだのですが、そう簡単に演奏会いけなさそうなものの 資料にばっか目を通してどうするんだっつーの私・・。 でも、日本のオケ(このオケはかなり例外ですが・・ソリストの集合オケだもんね)が海外で 頑張ってる記録を見るのは楽しいね。多少誇張やひいきが入ってるのかもしれなくても。 本書も読んでてわくわくします。眺めているだけで楽しい1冊。 追記:いろいろ興味を持って資料みてる割には、私は小澤さんのファンだとは言えないの です。小澤さんのCDを数々聴いてみても、いつもいまいちピンとこないから。 (ベルリンフィルのピクニックコンサートの映像は良かったけど) 綺麗な・・まとまった演奏だなとは思うのですが。だからこそ、実演をみてみたいと 切に願っているわけなのです。数々の輝かしい評価や功績が本当のものなのか どうか。自分の目と耳で確かめたい。 2003.10.05 |
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