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 魚玄機の詩





魚玄機(八四三〜八六八) 
字は幼徴(恵蘭)。晩唐の女流詩人。
長安の娼家に生まれるが、聡明で読書を好み詩に巧みであった。
補闕の李億の妾となるが、正妻に疎まれて咸宣観の女道士となった。
侍女緑翹を嫉妬して殺したため斬罪に処せられた。
唐代女流詩人中薛濤と並んで双璧とされる。
「唐女郎魚玄機詩」一巻が今に伝わる。




江陵愁望有寄(江陵の愁望、寄する有り)

楓葉千枝復万枝   楓葉千枝 復た万枝 江橋掩映暮帆遅   江橋に掩映して 暮帆遅し 憶君心似西江水   君を憶(おも)えば 心は西江の水に似たり 日夜東流無歇時   日夜 東に流れて歇(や)む時無し 幾重にも枝を伸ばした楓の葉が、橋の上にまで覆い被さって見通しをわるくしている。 日暮れになってもあの人を乗せた船は戻ってこない。 あの人を思う心はまるで西江の水のようだ。 夜も昼も東に流れてとどまることがない。