愛されたかった。愛したかった。
物でなくなりたかった。
捨てられたくなかった。
さびしくて。
さびしくて。
さびしくて。
一人はもう厭だった。
生まれ直したかった。
手を赤く染めることもなく、笑って居たかった。
大好きな人たちと、明日を信じていたかった。
生まれ変われるなら、真っ白になりたかった。
憎むことも怒ることもなく、
泣くことも笑うことが感じたままにできる、そんな風に。
そうして、「俺」は死んで、「僕」に、なった。
時々ユメを、見る。
それはとても悲しいユメだ。
僕じゃない僕のユメ。
多分、それはぐちゃぐちゃで曖昧な記憶の向こう。
その僕は泣いている。
笑うことも泣くことも出来なくてココロで泣いている。
誰にも聞こえない声で、泣いている。
表情の浮かべた方もわからずに、ただ、言われる事をこなすことで、捨てられたくないと主張していた。
ゴシュジンサマにとってはモノでしかないこと、解かってたのに。
それでも罪を犯した。
手は真っ赤だった。
死にたくなくて、捨てられたくなくて。
愛されたくて。
血塗れの手で足掻いていた。
叶うはずもないのに。
それでも、それでもひとりになりたくなくて。
もしかしたら愛してもらえるんじゃないかってありえるはずもない、奇跡の様なこと思いながら。
だけど。
あの日。冬の日。
捨てられた日。
とうとう、無理してたココロは壊れた。
ずっとしたくないことをして、それでも居たかった、場所。
他に行くところなんかなくて、其処しかなかった場所。
その場所から捨てられた其の時に。
もう死んでしまうのだと思った。
もし死ぬなら生まれ変わりたいと思った。
生まれ変われるならなりたい自分があった。
叶うなら雪のようになりたいと、夢の中の僕は思っていた。
冷たく降り注ぐ雪はそれでもどこか包み込むように優しく。
何処までも何処までも白くて。
それはとてもキレイだったから。
もう傷つけないでいいように。
もう血に染まらないでいいように。
白く、きれいになりたかった。
そうねがいながら眠るようにココロが砕けた。
次に目が醒めたら僕じゃない僕は、今の僕になっていた。
願いは叶ったんだろうか?
でもすくなくともイマのぼくはユメの僕よりシアワセだと思う。
だって僕は笑える。泣くこともできる。
だいすきなヒトたちが、いてくれる。
白く、きれいになれたかはワカラナイ。
でも笑えるならすこしだけ、夢の僕の願いは、かなったんだろう。
時折見るそれはユメ。
とてもさびしいユメ。
とても悲しいユメ。
笑うことも泣くこともできない、僕じゃない僕の、ユメ。
粉々に砕けた、僕じゃない僕のカケラ。