旅行の手配も完了し、あとは出発の日を待つばかり。
1ヶ月のお給料をつぎ込んでの旅行だから、節約できるところは、節約しなくっちゃ。
と、言うわけで、旅行に持っていく荷物は、最小限にした。
でもさ……。
ヨーロッパでのバレエ鑑賞って言ったら、社交界の一部。
やっぱり、フォーマルで、ビシッと決めたいよね……
冬のデンマークって、寒いんだろうね……きっと。
ホライズンの深井さんの話では、ホテルは王立劇場のすぐそばってことだけど、フォーマルドレスにコートぐらいじゃ、寒さはしのげないのかな?
とりあえず、"まっそ"に相談してみた。
建物の中は、かなり暖かいから、心配ないって言う返事。
なになに?
『デンマークでは、バレエを見に行くときには、ヘルメットをかぶるのがマナーです。忘れずに持ってきましょう』
ヽ(´〜`; ォィォィ……なんて言うことを……。
いつもの"まっそ"の冗談は、無視、無視。
だけど……。
桜子、フォーマルドレスなんて持っていないじゃん……(>o<")
たしか、社交界の夜の正装って、ロングのドレスで、袖のないものだったはず……。
ん〜〜〜〜。
またまた、困った……。
深井さん、曰く、「それほど厳密じゃないから、普段着で大丈夫ですよ」。
少し、安心(´▽`) ホッ。
でもさ……。
せっかく、ヨーロッパに行くんだもん。
普段着でバレエ鑑賞はつまらない……。
え〜〜〜い。
思いきって、ドレスを奮発することに決めた♪
日本はちょうど、秋の結婚シーズンを前に、フォーマルドレスが、よりどりみどり。
2.3軒のブティックを見てまわり、一枚のドレスを発見。
黒のベルベットのジャンパードレスに決定♪
これなら、普段でも着られるし(^-^)
なかなかのお買い物に、満足、満足♪
太い二の腕は気になるけど、「旅の恥は掻き捨て」ってことで、まぁ、いいっか(笑)
それでも、なんか、物足りない。
シルクのストールでもほしいところ……。
げっ……。
今、流行りのストールって、安いのでも、四、五千円する。
完全に予算オーバー。
あっ♪
編物、得意じゃん、私って……。
ファーの毛糸を買えば、ずっと豪華なストールが安く出来る。
うんうん、名案。
ってわけで、早速、毛糸を買ってきた。
黒のベルベットに合わせた、シルバーグレーのファーは、う〜〜ん、大人の色気を感じさせる。
もっとも、身につけるのが、桜子だから、大人の色気には、程遠いけど(笑)
英語力には、全然自信がない桜子だけど、現地でのガイドは、"まっそ"がしてくれるって、メールが入った。
らっき〜〜〜♪
ん〜〜、いい旅になりそうだわ。
期待に胸膨らませて、せっせとストールを編む。
3日で仕上げて、あとは出発を待つばかり。
少し大きめにボストンバックと、小さなボストンバックに、最小限の着替えと洗面道具、カメラ、ガイドブックと、困ったときの英会話の本を入れて、準備完了。
出発を10日後に控えている時、深井さんから、メール。
『今、コペンハーゲンで、"オペラ座の怪人"が上演されています。
デンマーク語によるものですが、出来がよかったので、おすすめです』
ミュージカルか……。
バレエも好きだけど、もちろん、ミュージカルも大好き♪
そうだ! せっかくだから、"まっそ"を誘ってみよう。
興味、あるかな……?
デンマークでは、バレエを見るとき、ヘルメットが必需品なんて冗談言っているようじゃ、ミュージカルなんて、縁がなさそうだもんね。
メール、メール♪
おおっ、返事が来た〜〜〜♪
うふっ、エスコートしてくれるって(笑)
コペンハーゲンの夜が楽しくなりそうな予感。
ん? どんな予感って?
や〜〜ね(笑)
楽しい想い出ができる予感よ。
えっちな想像しないでね(笑)
出発の日を、ひたすら待つばかり。
これから、珍道中と、事件が起きるのも知らないで、桜子の心は、すっかり、デンマークに飛んでいるのでした。