『沖縄に行きたい!』
初めてそう思ったのは、沖縄で海洋博が開かれた時だった。
小学生だった桜子には、沖縄は「日本ではない」(すでに本土復帰はしていたが)でも、「外国でもない」、そんな特殊なところに思えた。
もちろん、戦争中の沖縄決戦のことは、なんとなくだけど知っていたし、日本の一部であることは、わかっている。
ただ、漠然と昭和47年に本土復帰するまで、アメリカの統治下に置かれていたせいで、同じ日本だとは思えなかったのだ。
それから10数年の月日を過ぎるまで、沖縄のことなど思うことはなかった。
歴史の時間に、沖縄決戦の話をされても、「ひめゆりの塔」のドラマや映画を見ても、沖縄に心を奪われることはやっぱりなかった。
『沖縄に行く!』
新婚旅行先を決める時、「どこに行く?」との問いかけに、婚約者(元ダンナ)が、そう言い出した。
今から20年ちかく前のことだ。
当時、婚約者は"三度の飯"よりGOLFが好きで、沖縄でGOLFがしたかったらしい。
桜子のほうは……。
実を言うと、沖縄に対してあまりいい印象がない。
母校が初めて甲子園に出場したときの相手が、沖縄の学校で、無残な逆転負けをしているせいもある。
口伝えに聞く「ごはんがまずい」を言うのも気持ちを鈍らせる。
半分、渋々と沖縄旅行を承諾したが、かなりゆーうつだった。
結局、結婚式直後には、旅行に行くだけのまとまった休みがとれないからと、後日改めて新婚旅行に行くことになり、沖縄行きの話は消えた。
さらに10数年が過ぎ、その間に何回か、沖縄行きの話は出たが実現はしなかった。
きっと、沖縄というところには、縁がなかったんだろうね。
何度も沖縄に行くチャンスもあったし、計画もしたけれど、なかなか実現はしない。
そんな桜子が、初めて沖縄に行ったのは、2年前。
ヤフーのチャット部屋で沖縄好きの部屋を見つけ、改めて沖縄が少し身近になり、七度目の正直で、初めての沖縄行きとなりました。
この時の沖縄行きの最大の目的は、税理士試験の受験です。
『えっ? 試験って、好きなところのどこでも受けられるの?』
そう思う人もいますよね。
はい、国家試験は、受験地を選べます。
今は、どの試験会場でも空調設備が整っていますが、数年前までは、今では考えられない理由で受験地を選ぶ受験生がいました。
税理士試験は、毎年8月の上旬に試験があります。
その会場のほとんどが大学の校舎です。
さすがに今では、冷房のない会場はありませんが、それもこの7,8年の話。
まだ、冷房が充分になかったころは、いろんなうわさ話があったもんです。
「札幌の会場は、夏でも涼しいから、合格率がいい」(うそです 笑)とか。
「東京の某大学では、汗で解答用紙が腕について、破れやすいから合格できない」(これは、ほんとう。 昔の受験生は苦労したんですね。 だからといって、合格できないわけではありませんが)とか。
「大阪の試験会場だけは、冷房がある」(ホントみたいです。 でも大阪かどうかはわかりません。冷房のあるところは限られていたようです)
そんな訳で、受験地を選ぶことも、受験テクニックの一つだったんですよね。
さて、桜子が沖縄を選んだ理由は……?
すごく単純な理由です。
「受験生の数が少なそうだから!」
別に、受験生が少くなくても、もちろん合格できるわけじゃありません。
でも、受験者が少ないほうが、試験のプレッシャーも少なそうな気がしたんですよね。
桜子、殺しても死にそうもないくらい、ずーずーしさを持っていますが、意外とプレッシャーには弱いんです~(=^‥^A アセアセ…
東京近郊の会場では、なんたって人が多い。
周りのすべての人が、桜子より頭が良さそうに見えて、試験が始まる前から凹んでしまう。
桜子は、そーゆー人です。(汗)
たまたま、チャットで知り合った友達が宿を経営しているので、かなりお気楽な気持ちで受験地を選びました。
今、考えるとこのお気楽さが、相変わらずの珍道中を生むことになったのですが……。
"Nice to meet you!"を読んで下さった方は、桜子の珍道中ぶりをご存じですよね?
外国でも、国内でも、桜子の旅行は、珍道中続きです(笑)
この前の夏、三度目の沖縄に行ってきました。
沖縄での珍道中エピソードも、いくつか集まりました。
(好きで集めた訳じゃないけど……汗)
いろいろあるけど、桜子は沖縄中毒になりつつあります。
旅行記には、いいことばかり書きたいのですが、(えっ? それじゃおもしろくない?)
桜子の旅行記は、けしていいことばかりじゃありません。
でも、桜子が沖縄中毒になった理由をわかってもらえたら、うれしいです。
ちなみに、新しい小説『海色の風〜君のいる場所〜』では、沖縄での風景が出てきます。
"Jeg elsker dig"や"桜"では寒いところが出てきていますが、今度の小説に南国を選んだのも、桜子が沖縄中毒になった結果でしょう。
そろそろ、4度目の沖縄行きの時期となりました。
きっと、新たなエピソードがまた生まれるでしょう(笑)
それは、随時書き綴ることにして、桜子の珍道中〜沖縄編〜を読んでやって下さい。