超有名病院だけじゃない子宮温存実績 婦人科がんの主なものに、子宮頚(けい)がん、卵巣がん、子宮体がん、卵管がん、膣がん、外陰がんがある。子宮頚管に発生する子宮頚がんにかかる人は1年に約1万800人といわれ、40〜50代に最も多い。卵巣がんは10年前までは約5000人と子宮頚がんと比べて少なかったのが、ここ10年の間で50〜60代に急増し、2010年には1万人を超えると推定されている。この2つのがんが婦人科がん中で圧倒的に多い。
子宮頚がんは集団検診や企業の定期健診の普及で80%以上が早期に見つかり、死亡率が女性のがんで、唯一低下傾向をたどってきている。それに対し、卵巣がんは「サイレント・キャンサー(何も語ってくれないがん)」といわれるように、症状が出るころには骨盤内や腸などの腹腔(ふっくう)、肺などの腹腔外に転移しているケースが多く、がん治療技術が進歩したにもかかわらず、依然難治がんである。
これらの婦人がんで、患者本人、家族が留意しなければならないのは「転移・再発がん」である。子宮頚がんは病期Ⅳ期で、肝、肺、骨に遠隔転移し、再発は2年以内に起きる。卵巣がんの場合は、たとえ原発がんで治療を受けたとしても、約半数が再発する。卵巣がんは病期Ⅲ期で、腹膜内に転移病巣が現れ、腹腔内に大量の水がたまった状態になる。Ⅳ期では肝、肺などに遠隔転移する。
女性の大部分は、国立がんセンター中央病院、慶応義塾大学病院、癌研究会付属病院、大阪府立成人病センターといった超有名病院や、それに準ずる地方のがんセンター、大学病院での外来・入院診療を目指すのが常である。これらの病院にかかって子宮・卵巣温存をしたいとする人が多いが、子宮頚がん0〜Ⅰa期適用のレーザーや円すい切除術での子宮温存術による妊娠・出産症例の多い、例えば東京では杏雲堂病院や国立第二病院、関西では大阪労災病院、天理よろづ相談所病院など実績のある病院は数多くある。
【医療ジャーナリスト 丹羽幸一】
●●●●●病気別に25の名病院リスト掲載●●●●●
【婦人科がん】 |
病院名 |
診療科名 |
所在地 |
ワンポイント評価 |
札幌医科大学病院 |
産婦人科 |
札幌市 |
膣式子宮全摘出を世界ではじめて考案、症例多数 |
北海道社会保険中央病院 |
産婦人科 |
札幌市 |
子宮頚部腺がんの卵巣温存手術で5年生存率94.4% |
北海道大学病院 |
産婦人科 |
札幌市 |
子宮がんの卵巣温存手術、進展がんの術後放射線治療 |
岩手医科大学病院 |
産婦人科 |
盛岡市 |
子宮頚がん細胞の自動解析分適法、化学・内分泌療法 |
秋田大学病院 |
産婦人科 |
秋田市 |
卵巣がん再発防止のための手術+抗がん剤+免疫療法 |
栃木県立がんセンター |
婦人科 |
宇都宮市 |
婦人科がんの前がん病変および早期がんの検査診断 |
防衛医科大学校病院 |
産婦人科 |
所沢市 |
卵巣がんの外科手術を組み合わせた集学的治療法 |
埼玉県立がんセンター |
婦人科 |
埼玉・伊奈町 |
5年生存率は子宮頚がんⅠa期100%、子宮体がんⅠ期90% |
千葉大学病院 |
産婦人科 |
千葉市 |
子宮頚がんのp53遺伝子関与のモデル樹立等遺伝子診断 |
千葉県がんセンター |
婦人科 |
千葉市 |
子宮頚がんの小線源照射療法の適応拡大 |
都立駒込病院 |
産婦人科 |
文京区 |
子宮頚・体がんと卵巣がんの手術と放射線+化学療法 |
東京大学病院 |
産婦人科 |
文京区 |
転移・再発を考えた診療と卵巣がん腫瘍マーカー検査 |
杏雲堂病院 |
産婦人科 |
千代田区 |
エキシマ・ダイ・レーザーによる非手術的子宮頚がん治療法 |
国立がんセンター中央病院 |
婦人科 |
中央区 |
全国医療機関画像送信ネットワークづくりの中心役割 |
癌研究会付属病院 |
産婦人科 |
豊島区 |
子宮頚がんの円錐切除術、体がんの手術+科学・放射線治療 |
東京医科大学病院 |
産婦人科 |
新宿区 |
抗がん剤シスプラチンに耐性を持つ患者に免疫療法 |
慶応義塾大学病院 |
婦人科 |
新宿区 |
早期子宮頚がんの子宮温存目的のレーザー治療法 |
国立東京第二病院 |
産婦人科 |
世田谷区 |
5年生存率は子宮頚がんⅠ期90%、体がんⅠ期95% |
神奈川県立がんセンター |
婦人科 |
横浜市 |
初期子宮頚がんの子宮温存・高齢者卵巣がん手術 |
国立横浜病院 |
産婦人科 |
横浜市 |
卵巣がんの腫瘍マーカー検査と免疫・温熱療法 |
北里大学病院 |
産婦人科 |
相模原市 |
子宮頚がんのレーザー切除術・円錐切除術の再発1例のみ |
山梨医科大学病院 |
産婦人科 |
山梨・玉穂町 |
子宮・卵巣温存療法・進行期がんの集学的治療法 |
信州大学病院 |
産婦人科 |
松本市 |
病理・免疫・発生因子・病期等に基づく治療法の決定 |
新潟大学病院 |
産婦人科 |
新潟市 |
悪性度・進展・予後判断と最適治療法決定に実績 |
聖隷浜松病院 |
産婦人科 |
浜松市 |
婦人科検診車が出動し、早期がん発見に力を入れる |
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