何でか突然、旅に出たくなってしまった。
というわけで、今日、家を飛び出した。
現実逃避?したかったのだろうか?
何かから逃げる気持ち、、気ぜわしく過ぎていく毎日に、どこか嫌気がさしていた。
鞄ひとつと紙袋いっこをもって、出て行った。
その場に、引き止める声はなかった。
ドアをがちゃりとあけ、閉める音。
そして歩き出したぼくの足音だけが、その場にふわふわと漂っていた。
鞄に荷物をつめながら思っていたこと。
『たったのこれっぽちにしかならないのか。
今まで生きてきた人生の価値ってこれだけ?』
形にすると、とてつもなく、ちっぽけに思えた。
いらないものを切り捨てていくと真実が見えてきた。
ふるいにかけると網目から沢山零れ落ちていく砂のように
今まで周りを囲っていた壁が
ガラガラと音を立てて崩れ去っていった。
こうしてぼくは家を出た。
でも、特に何も思わなかった。感じなかった。
今まで暮らして来た家なのに。
きっとココも、ぼくにとってはただの壁だったのだろう。
見たくないもの、逃げてきたものから身を守るための壁だった。
「さてと、これから何処へいこうか?」
そうつぶやきながらも、ぼくはすでに、行き先を決めていた。
・・・海。
海へ行きたかった。
名の知れた、大きくて広い海。そういうんじゃなく、
名前もないような、ちっぽけな海がよかった。
「とにかく川に沿って行けば、何とかなるだろうか?」
ただ漠然とした考えしかなかったので、とりあえず、本屋に言って地図を買った。
まず、今ボクのいる場所の一番近くにある川を探してみた。
「・・・っと、、
あ、あった。えぇと、、。]