らぶちょこれーと



恋がしたい。

顔を見るだけでも、

話をするだけでも、

手をつなぐだけでもドキドキするような、そんな恋がしたい。

最近は、そんな恋をしたことがない。いつからときめきというものを忘れたんだろうか。
ときめきって。そんな言葉自体、忘れてるんじゃないの?
なんて、ジャージ姿でコンビニで買い物してちゃ無理か・・。
今日も私の大好きなチョコレートを買おうとレジに並ぶ。
小さい頃からこのチョコレートが大好きで、毎日のように買ってるんだぁ^^
「いらっしゃいませぇ」
ドキンッ・・・
「ありがとうございましたぁ」
名札には「赤西」って書いてあった。
赤西さんかぁ、下の名前はなんていうのかな?
なんかしゃべればよかったかな?
今日から入ったのかな?
彼女いるのかな?
ジャージで来なきゃ良かったな。
うわっ・・なんでこんな事考えてるんだろう・・。
・・・私、村上かのは一目惚れをしてしまったのだろうか・・。
・・・で・・なんで雨降っちゃうかな〜?傘買えと?やだって。
走って帰れば帰れなくもないけどさ、もう少ししたら止むだろう。
なんていうのはここに残りたい理由だったりして。
ドアを出て、「あちゃー」って顔して戻って、本棚のところで立ち読み。
なかなか自然だったと思う・・・。
雑誌を見る振りして、レジをチラチラ見る。
その度に鼓動が高鳴る。
やっぱり、かっこいい・・。

恋をしました。
顔を見てるだけで、胸がドキドキする。

ときめきを取り戻しました。

雨がやんじゃった。もっと一緒にいたかったのになぁ〜。
明日も来るかな?明日も来よう。
雨の降った後の、道路はキラキラ光ってキレイ。
こんな気持ちにさせてくれる、恋ってフシギ。

〜次の日〜
来てしまいました、今日はいるかな?
あ・・・いないんだ。残念。
今日も大好きなチョコレートを買う。
レジは知らないオバサンだ。
今日はなんだかつまらない一日。
家に帰っても、思うのは赤西さんのことばかり。
今日のチョコレートはなんだか苦く感じた。

また次の日、次の日、と毎日のようにあのコンビニに行く。
そしてチョコレートを買いに、赤西さんのレジに並ぶ。
そんな繰り返しのある日、またチョコレートを買おうとすると
チョコレートが品切れだった。
ガーン。ショックぅ・・今日は赤西さんのレジに並べない〜。
他のもの買おうにも、今欲しいものないし・・。
ん〜、決めた!!今日は他のもの買おう!!
「はい、これでしょ?」
ドキッ!こ、この声は・・・
恐る恐る、でもちょっとうれしい気持ちで振り返る。
やっぱり・・赤西さんだぁ!!
「はい、最後の一個だからさ、とっといたよ。いつもこれ買う子でしょ?」
いつも私が買うチョコレートを持って、笑顔で差し出してくれてる。
「あ、あの・・ありがとうございます」
「どういたしまして」
そう言ってニコっと笑ってレジに戻る。
うわぁ・・うれしい・・。覚えててくれたんだぁ・・。
やばい!うれしすぎ!
!< 赤西さんのレジに並んで、チョコレートを買う。
「あ・あの、本当にありがとうございます」
「どういたしまして。こんな事でよかったら、またとっておくから」
コンビニから出ても、なんだかフワフワした気分。

家に帰ってじっとチョコレートを見る・・。
うわ・・うわ〜、もう食べずにとっておきたい・・。
でも、仕方なくチョコをほおばる。
今日のチョコは一段と甘い。
どうしても、とっておきたくてレシ−トとパッケージを机の引出しにしまっておいた。
自然と顔がにやける。そして鼓動が高鳴る。
赤西さん・・いい人だぁ・・。

お母さん「ちょっと、かの!!醤油買ってきて!!」
人のいい気分をぶち壊しだぁ!!
まぁ、いいや。コンビニ行けるんだし!
もう、結構夜だなー。外が真っ暗だぁ。
コンビニに着いて、真っ先にレジを見る。
あら〜、もういないのか・・。
醤油を買ってコンビニから出る。なんだか、赤西さんのいないコンビニはつまんない。
醤油の袋を前後にブンブン振って歩く。
「そんなに振り回しちゃ、あぶないよ」
聞き慣れた・・いや慣れてないかもしれないけど、この声は絶対あの人だ
「え・あ・・赤西さん!!」
「あれ?俺名前言ったっけ?」
「あ、あの・・名札見て・・」
「そっか、俺名前聞いてなかったな」
「あ、村上かのです」
「ふ〜ん、珍しい名前だね」
「へ、変ですよね」
「ううん。可愛いと思う、俺は」
「そ、そうですか?ありがとうございます。あ、後こないだもありがとうございます」
「いいって、あ!そうそう、俺は赤西仁。よろしく」
「仁って名前も珍しいですね」
「やっぱり?でも、俺は気に入ってるんだ」
「かっこいいですね、仁って」
「え?俺が?やっぱりぃ〜なんつって。名前だよね」
「あはは、赤西さんも充分かっこいいですよ」
「ありがとう、かのちゃんも可愛いよ。後さ、敬語やめない?それと、仁でいいからさ」
「あ、はい・・じゃなくて、うん。ところで何で、ここにいるんですか・・じゃなくて、いるの?」
「無理すんなって、普通にすればいいんだから^^俺今バイトの帰りなの」
「ずいぶん遅いんだね。大変そう」
「まぁ、自分で決めた事だし」
「そっか、すごいなー仁は。そんなんじゃ彼女と遊べないんじゃない?」
「俺、彼女いねーもん。常時募集中^^」
「え、あ・・そ・そうなの!?」
「何そのびっくりの仕方は」
「かっこいいから、てっきりいるかと思って・・」
「あはは、かのちゃん彼女になってよー、なんて無理か^^;」
「いいですよ。なんて、私なんかじゃつりあわないよ。じゃ、ここ家なんで、また」
「おぅ!また買い物来てな」
ドキドキドキドキドキドキ・・・

私・・すごい、話しちゃった・・あんなに・・。
しかも名前で呼ばれるなんて・・。う・・うれしいなんてもんじゃないよ・・。
顔真っ赤だし。
「彼女になってよー」って心で繰り返されていく。

恋をしました。

話すだけでドキドキする。

ときめきを取り戻しました。
今日はコンビニに行けなかった。
会いたかったけど、会えない。
会うと、心臓が破裂しそうだから。
でも、会いたかった。でも、なんだか会えなかった。
おかしいよ、私。

夜、外をフラフラ出歩く。自然と足がコンビニに向かっていた。
後一歩。その一歩が踏み出せない。何で?私は会いたいのに。
明日こそは、明日こそは行こう。絶対!!
そう思ってUターン。私は弱い人間だ・・・
「何で今日来なかったんだよ」
ちょっと怒ったような声。でもすぐ分かる。あなただって
「じ・・仁」
「待ってたのに。何で来なかったんだよ」
私服だから、きっとバイト帰りなんだ。
「あ・・あの・・」
「なんて、怒っても仕方ねーよな。はいこれ」
そう言って差し出されたのは、いつものチョコレート。
「え、あ・・お金」
「いらないよ。プレゼント^^」
「な・・なんで?」
「あげたかったから」
「ありがとう・・今日行けなくてごめんなさい」
「・・・寂しかったんだけど・・」
「え?」
「今日・・かの来ないから寂しかったんだけど」
「さ、寂しかったって・・」
「ん〜〜〜と。まぁ、単刀直入に言うと・・・」
仁の顔が真剣になる。ちょっとだけ、怖いかもしれない。
「言うと?」
「かのが好き」
う・・わぁ・・心臓がいつも以上に高鳴ってる・・
「わ・・私も好き・・仁が好き!!」
声が震えた。
さっきまで、真剣でちょっと怖かった仁の顔が、力の抜けたようにふにゃって笑顔になる。
レジでも見たことないような、満面の笑みで私のくれたのと、同じチョコを食べる。
「よかった」
そう言って、キスしてくれた。
甘いチョコの味。大好きなチョコと大好きな仁と。
「俺さ、いつもこのチョコ買う、かのの事結構気にしててさ。
いつもレジ打つ時、ドキドキしてたんだけど気づかなかった?」
照れ笑いする仁がかわいい。
「私だって、レジならんで買う時、ドキドキしてたんだからぁ
それから、話をした時だって・・それからそれから」
一生懸命話をしてる私のおでこに、仁のおでこがくっつく。
2人でクスクス笑いあって、キスをした。
チョコの味。大好きなチョコと大好きな仁と。

恋をしました。

顔を見るだけでも、

話をするだけでも、

手をつなぐだけでもドキドキするような、そんな恋をしました。

〜あとがき〜 読んでくれてありがとうございましたぁ><
なんか、甘い話が書きたくて、書いてみました。
どうでしたか?
感想・苦情(笑)待ってマス。